私の素人料理②ぶり照り焼き
0.前置き
平日の夜は、基本的に同じものしか食べません。
これを費用計算すると、こうなります。
醤油などの調味料系費用や、ガス代などの調理系費用を足せば、たぶん合計300円くらいの食事でしょう。毎晩献立を考えるのは面倒なので、これらの品々を「固定メンバー」にして、もう一品を加えることで変化を付けています。
今回は「ぶりの照り焼き」です。そもそも照り焼きは、どちらかと言えば好きな味ではないのですが、私にとって料理とは「この味は何で出来ているのか?」という好奇心を満たすのが目的ですから、とりあえず作ってみます。
1.材料の準備
材料はひとつだけ。ぶりの切り身です。
とにかく安い。
調味料は、醤油とみりんのみ。たいていのレシピではさらに砂糖とお酒を挙げていますが、みりんが甘いものなので砂糖は不要と考えて省略、日本酒は家に常備していないのでこれも省略です。前回の醤油ラーメンといい、今回の照り焼きといい、料理素人の私からすると「秘伝の材料」があるように思ってしまうのですが、ずいぶんとかんたんな材料で出来ていることに毎度ながら驚きます。
塩をまぶして冷蔵庫に戻します。登場して早々に退場です。
2.湯を沸かす
まずは「固定メンバー」から始めます。味噌汁を作るための鍋です。
3.みそ汁の具ときゅうりを切る
みそ汁の具は、大根と長ネギと豆腐(後入れ)。この形に切る特別な理由はありません。きゅうりは酢和えに用います。大根と長ネギは先ほどの鍋へ投入。きゅうりは塩水に漬からせておきます。
4.かつお節を削る
湯が沸騰するまでにかつお節を削り終え、沸騰したら火を止めて、出汁パックに入れたかつお節を鍋に投入し、3分待ったら取り出します。
5.納豆には青ネギを
出汁を取る3分の間に、納豆用の青ネギを刻みます。
友人から勧められて読んだ「謎のアジア納豆」(高野秀行著、新潮社、2016年)は、日本ではまだよく知られていない「納豆という食材」の可能性を取材した名著でした。納豆はとても奥が深いので、その研究には「粘り強さ」が肝心です。
とはいえ、私個人は「日本における普通の食べ方」を愛します。同書には、手前味噌ならぬ「手前納豆」という秀逸な造語が出てきますが、私も漏れなく手前納豆の「納豆ナショナリスト」にちがいありません。
具には青ネギが必須。有れば白ごまも。付属のタレと辛子は極力使わずに、醤油と別売の辛子で頂きたいものです。
納豆自体は、国産大豆であれば何でもいいのです。こだわりといえばこだわりなのかもしれません。納豆にかぎらず、私は大豆の国産消費にこだわっています。
農林水産省の統計によると、食用大豆の80%が輸入であり、輸入総量の70%強がアメリカ産です。このアメリカ大豆がはらんでいる危険性については、専門家でもないのであえて説明しませんが、少なくともすすんで口にしようとは思いません。
納豆はそれでも国産が広く流通しているからいい。味噌もそうです。問題は醤油です。醤油は庶民的なスーパーで見かける商品のほぼすべてがアメリカ大豆を使っています。いろいろ調べるうちに発見したのがこれです。
北海道の福山醸造が発売している「道民の醤油」(200ml、300円前後)です。鮮度を保つ真空ボトルなのも良い。味は他の濃口醤油よりもコクが深い印象があります。北海道のアンテナショップや百貨店の北海道物産コーナーで販売しています。
おや?気付けば料理のことなどすっかり忘れて、おすすめの大豆製品について熱く語ってしまいました。私は手前納豆ならぬ「手前大豆」なのかもしれません。
6.鍋に味噌を突っ込む
百均で購入した愛用の味噌汁棒は、味噌汁の杯数ごとの目盛りがある優れものです。
味噌が溶け切ったら、豆腐をひと口大に切って鍋に投入し、弱火で温めておきます。
7.きゅうりを三杯酢で和える
塩水に浸かっていたきゅうりを取り出し、水気をとってから三杯酢で和えます。
三杯酢とは言いながら、酢:1、味醂:0.75、醤油:0.5くらいにしています。
8.照り焼きと玉子焼き
このタイミングでようやく、照り焼きを始めます。温かく食べるものは最後に回さざるを得ないからです。冷凍のご飯もこのへんでレンジにかけます。
軽く水洗いをして、まぶされた塩を取ったら、油を敷いたフライパンに投入します。
両面が白くなったら、醤油大さじ1、みりん大さじ2を入れます。
あとは文字通り「照る」まで待つのですが、時間がかかるので、その間に玉子焼きも済ませてしまいます。
9.盛り付ける
所要時間30分、費用400円の食事が完成しました。
ぶりの照り焼きの味は、味が薄くて思ったより旨くありませんでした。砂糖を抜いたことで薄くなったのかもしれませんが、だとすれば薄くても全然問題ありません。食えないほど不味くはない。
要は食えればいいのです。
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