感じながら静かでいる
庭仕事をすると、文字通り、地に足がつく。体のエネルギーが、普段ほとんどそこに使われている頭から、下の方へと降りてきて、どっかりとする。
そして、自分がとても「まともな」人間な感じがするのだ。
仕事を終え、地面に寝転がって、空を眺めれば、頭に浮かんでいた心配事はすっかり通り過ぎて、もう一度、一から始められるという気持ちになれる。
「庭仕事は瞑想である」とはヘルマン・ヘッセ。
私たちの頭は本当によくトレーニングされていて、実によく動く。そのうちに自動操縦状態になっているものだから、いざ自分できちんとコントロールしようと思っても、舵取りを自分に取り戻すのはなかなか難しい。瞑想が時に簡単ではないのも合点がいく。そんなわけで頭が静かな時間というのは、人生の中のとても貴重な時間だ。
庭仕事をすると、確かに頭は静かになる。が、もう一つ起こることがある。感じる力が花開くといったらいいだろうか。
小さな庭でも足を踏み入れれば、そこには五感を刺激するものが無数にある。緑一色に見える中には無数の葉や茎、小さな花の中のおしべめしべ、あぶの羽音、ありの動き、土の湿り気、砂つぶの多彩な色、かすかな匂い、手に柔らかな命の触覚、葉のすれあう音、、、、次から次へとそれを感じたくて夢中になる。
この全ては一体誰が創ったの?
答えのない問いに、私はただそこに一緒にいる。
この感じながら静かでいる心の状態というのは、きちんと考えたり、思い描いたりするためには、とても適した状態だと思う。ヘッセの作品へと実っていったインスピレーションや発想がそこから生まれていったと想像する。これはどんなことをクリエイトしたい人にも適した、そして必要な心の状態だろう。
私は三十年間、アバター®︎という意識のトレーニングを教えているが、この感じながら静かでいる状態に熟達するにしたがって、人の創造力が格段に増えていくことを見てきた。こうしたトレーニングが、家庭で、学校で普通に行われるようになったら、健康な身体を創ることを皆が当たり前に大切だと思うように、健康な意識を創ることが皆が当たり前に大切だと思うようになったらいいなと思う。健康な意識が健康な未来を創る。
(アバター®︎はStar's Edge Internationalの登録商標です。同社が全権を保有しています。)
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