えいじさん
クラウドファンディングがきっかけとなり、農家の方との距離がさらに縮まった気がしている。これまでも、大阪人ならではの馴れ馴れしさで、農家さんの素顔を見てきたという自負はあったのだが、そこからさらに踏み込めたような気がしているのだ。
それは、こうした倉庫での作業を撮らせてもらっていることにも表れていると思う。倉庫は彼らにとっては企業秘密だらけ。自社のノウハウがすべて詰まっている宝の山なのだ。そこに、取材ですといって近寄っていったところで、絶対に撮らせてはもらえない。長いプロセスを経て、この距離感で撮影をさせてもらえるようになったのだ。
もちろん、畑の中にも入れてもらっている。でも、ここで僕が気をつけていることは、「空気のようにそこにいる」こと。出来るだけ普段の姿を撮りたいので、着飾らず、カッコつけず、汗もそのまま撮りたい。だから、自分の存在感はなるべく消すように努めている。
えいじさんのこだわりは、「手仕事」。どれだけ大変でも、その方が絶対に美味しいものができると信じているからだ。
黙々と、ただ黙々と。そんな言葉しか思い浮かばないほどに、作業は続く。時々こちらを振り返っては、シワを作って笑顔を見せてくれる。僕はそんな瞬間を狙って、ただひたすら待つのだった。
美瑛で最も人気の宿を作り上げたえいじさんは、いまでは正真正銘の美瑛の農家となった。手仕事にこだわり、それを自らの武器として戦う戦士。そんな言葉が似合う。
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