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「Global Digicon Salon 025 ジョブズ没後12年〜アップルと日本文化・禅」を開催


「世界を変えた男」スティーブ・ジョブズが2011年10月5日に亡くなってから12年。命日にあたる日本時間(JST)で2023年10月6日(金)10:00〜12:00、米国西海岸時間(UTC-7)で2023年10月5日(木)18:00〜20:00に、Global Digicon Salon 025 ジョブズ没後12年〜アップルと日本文化・禅」を開催しました。
記録映像はこちらにあります。
https://youtu.be/WqBYhEMt9PI
パネリストとしてお招きしたのは、生前のジョブズをよく知るダン・コトケさん。膨大なジョブズ、アップル関連書籍・記事を執筆している林信行さん。そして、ジョブスをはじめIT革命のキーマンたちを数多く記録してきたカメラマンの小平尚典さんです。
ダンさんは、リード大学時代にジョブズの親友となり、一緒にラム・ダス著『ビー・ヒア・ナウ』などのスピリチュアル系の本を読み、カリグラフィの講義を受講し、「オールワンファーム」というヒッピー・コンミューンに参加。さらに、一緒にインド旅行をして、導師を探し求めました。しかし、導師はすでに亡くなっており、失意のうちに帰国したジョブズは、自宅のあるロスアルトスで「俳句禅堂」を主宰する禅僧・知野弘文と運命的な出会いをします。
ジョブズの死後、その知野弘文が1992年に雪深いオーストリアの山小屋で説話している貴重な記録映像がYouTubeで公開されていることが判明しました。
しかも、その映像によって、ジョブズが「自分は悟りを得た。その証拠がこれだ」といってApple Iのボードを弘文に見せていたことが明らかになったのです。
「Apple Iのボードが悟りの証拠だ」というのは、奇妙な話です。
しかし、その一言によって、ジョブズの一生が「悟りを実証する旅」であったということが明らかになったといっていいでしょう。
たとえば、ジョブズの最も有名な写真、Macintoshを膝にかかえて正面を見据えている写真は、座禅の正式なポーズ、結跏趺坐をしています。
ジョブズの最後の作品といっていいアップル本社、Apple Parkが円形をしているのは、禅における悟りの境地を示す円相そのものです。
では、ジョブズにとって「悟り」とは何か?
それは、「人間は道具を作る動物であり、道具によってその能力を増幅することができる。こうした道具のうち、コンピュータは人類史上最上位に位置するもので、アップルはこのコンピュータを個人に解放し、人類を前進させるミッションを実践しているのだ」ということではないか? 実際、ジョブズ自身が、そうした表現をしている映像が2つ残っているのです。
ひとつは、Macintoshを発売したころのもので、「Wheels for the Mind(知的自転車)」というCM表現に結実しています。もうひとつは、NeXT時代のもので、長らく「失われたビデオ」と言われていました。
次に、ジョブズに日本文化がいかに大きな影響をあたえたかということですが、2020年、NHKニュース9が、ジョブズが川瀬巴水の作品をはじめとする日本の新版画に深く魅せられ、数多くコレクションしていたということを報じました。
その原点は、中学高校時代の友人、ビル・フェルナンデスの家にありました。フェルナンデスの両親は、スタンフォード大学で日本文化について学び、魅せられ、数多くの新版画をコレクションして壁に飾っていたのです。そして、フェルナンデスの証言によって、ジョブズが新版画のシンプルでエレガントな美しさを生涯愛し、それをアップル製品で表現していたのだということが明らかになりました。
そして、2023年の7月、NHKは「スティーブ・ジョブズの発想の原点 日本」という特集をしました。龍安寺をはじめとする日本庭園のシンプルでエレガントな美を愛し、信楽焼のなめらかな曲線、肌触りにも魅せられていました。
ジョブズが発見した禅の「悟り」、そして、日本文化の「シンプルでエレガントな美しさ」。それらが、ジョブズが「世界を変える」原動力となり、その結果として、アップルが時価総額世界一企業になったのだとしたら•••。
なぜ、我々日本人は、それらの無限の価値を認識することができず、ないがしろにしてきているのでしょうか?
そして、その結果として、進むべき方向性を見失なって、長期低迷を続けた挙句、没落の一途を辿ろうとしているのでしょうか?
今回のこのGlobal Digicon Salonによって、皆さんが今一度、ジョブズの生涯に学ぶことの重要性を認識し、日本文化のシンプルでエレガントな美しさ、禅の「悟り」の深い意味とその無限の可能性について考え始める機会となれば幸いです。

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