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得点関与数から見る2022-23シーズンのPSG

今シーズンも終盤に差し掛かっている。チャンピオンズリーグでは惜しくもベスト16で敗退したものの、リーグ・アンでは史上最多11回目の優勝に近づいている。そろそろ1年を総括する時期であり、補強・移籍に関する噂も増えている。

そこで、ここでは得点関与数(ゴール数およびアシスト数)から今シーズンを考察してみる。以下のサイトを参照した。

FBREF
BBC

得点関与数

4/30現在、試合数は44。
ゴール数は106。1試合平均2.4ゴール。
得点力としては十分だ。

それではこれら106ゴールのうち、チームの看板であるMNMはどれだけ関与したのか。以下のように分類してみる。

・MNMのみで完結したゴール(ゴール、アシスト共にMNMの誰かが記録)*:48
・MNMの誰かは関与したゴール(ゴール、アシストどちらかはMNMの誰かが記録):33
・MNMの誰も関与しなかったゴール(ゴール、アシストどちらもMNM以外の誰かが記録):23
・オウンゴール:2
*PKや直接FK等、アシストがない場合は1つ目に分類。

実に48(45%)ものゴールが3人のみで生み出され、直接的に関与したゴールは81(76%)にもなる。異常に高い数字だ。

例えば、非現実的なペースで得点を積み重ねるハーランド擁するマンチェスター・シティと比較するとどうだろう。彼らは今シーズン128ゴールを奪い、そのうち49(38%)をハーランドが決めている。これはこれで信じがたい数字だが、得点関与数(ゴール数+アシスト数)が10を越える選手は、ハーランド、マフレズ、アルバレス、フォーデン、デ・ブライネ、グリーリッシュ、ベルナルド・シルバ、ロドリと多い。PSGの場合、MNMの3人しかいない。

考察

ここまでが客観的な事実。
ここから先は、この事実をどう受け止めるのか、主観を交えて考察してみる。

まず、MNMの得点関与数、読者の皆さんはどう思われただろうか。筆者はそのあまりの多さに改めて驚いた。彼ら3人以外からはほとんどゴールが生まれないのである。しかもここで「関与」とカウントしているのは、ゴールとアシストのみ。例えばクロスをゴール前で押し込んだゴールがあったとすれば、その前の起点となったスルーパスをMNMの誰かが出していたとしても、関与したとカウントされない。そこまで含めたらほぼ100%になってしまうのではないだろうか。
本記事を書こうと考えた動機は、純粋に「MNM以外からはほとんどゴールが生まれない。一体どうなってるんだ」である。ここまで極端な偏りを見せるチームは、世界中どこを探しても他にいないのではないか。そう言っても過言ではない気がする。

では何故MNMはこれだけ得点関与できるのか。簡単に言うと、圧倒的な能力の高さがあるからだろう。全員が「ビッグクラブにさえ1人いるかいないか」と言っても良い超スーパースターだ。それが3人も揃っているのだ。彼らの共演とゴールショーを毎週のように見られるPSGサポーターが幸せ者であることは間違いない。

ただ、ネガティブな側面も大きい。その最たる例が守備免除だ。2-3人がほとんど守備をしないことで、残りの8-9人の負担は相当大きい。ポジティブには「守備免除により攻撃で力を遺憾なく発揮し、実際にこれだけの結果を残している」と言えなくもないが、他の選手は守備に奔走し攻撃に出て行く余力がなかったり、ネガティブトランジッションを意識してそうしたタスクを与えられなかったりしていることは想像に難くない。そうすると、総合的にはチームとしての攻撃力が落ちる。相手チームからすれば、MNMさえ抑え込めば良く、他の選手は脅威ではないからだ。チャンピオンズリーグでのバイエルン戦が良い例だろう。1試合目では、怪我の影響でエムバペが短い時間しか出場できず、不在の間は防戦一方だった。2試合目では、メッシがファール覚悟で潰されまくり、流れを断ち切られた。そうした時、他の選手たちがビッグチャンスを作ったことはほぼなかった。

個人的には、現在のPSGの攻撃を見ていて気になる点がいくつかある。基本的な攻撃は、エムバペのスピードを生かしたカウンター、あるいは、細かなパス交換による中央突破。特に後者は、ワンツー、浮き球、フリック等による即興的でハイテンポな点が魅力だが、再現性が低い。ネイマールの離脱後は、メッシとエムバペ以外の選手が絡まなくなってきていることも問題だ。

また、クロスが極端に少ない。ゴール前に高さと強さがないので、多用しないことには賛成だが、中央突破し続けるのは不可能だ。もっとチームとして、速く低いクロス、マイナス気味のクロスの形を作れないものなのか。
そのためには、ポケット侵入も鍵になるが、これも少ない。現在の基本フォーメーション3-5-2なら相性は悪くないはずなのだが、華麗な連携は見られない。左右CBは攻め上がりが不得意であり、MFも前述の理由からなのか、スペースへ走り込む動きは少ない。
最後に、ショートパスばかりで、サイドチェンジが少ない。そもそもミドル/ロングレンジのパスを出すのがラモスとヴェラッティしかいない。禁止されていることはなさそうなので、他の選手たちが蹴らないのは能力の問題なのか。ショートパスばかりだと、距離感、テンポ、相手選手の目線が大きく変わらないので、攻撃が単調になる。空いたスペースを素早く突くこともできない。

まとめ

まだまだ書きたいことはあるが、ここで筆を置くこととする。チームガルティエやMNMは解体すべきか?最適なフォーメーションは?連れてきたい監督や選手は?色々と妄想しながら、移籍話を追いかけるのは楽しい。その際の参考に、本記事が少しでもなれば幸いだ。

以上。







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