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PSG vs リール

最終スコア4-3。
合計7点も入り、2-0、2-3、4-3と互いに逆転し合う、しかも勝敗を決したのは後半アディショナルタイム、GOATメッシの直接FK、という非常にエキサイティングな試合だった。

何故PSGはこれだけ苦戦し、最後には逆転できたのか。その理由を考察する。鍵となったのは、ヴェラッティ、キンペンベ、ガルティエ監督である。

両チームのスタメンは以下。

PSG  4-3-1-2
ドンナルンマ
ペンベレ、ラモス、キンペンベ、ヌーノ・メンデス
ヴィティーニャ、ヴェラッティ、ファビアン・ルイス
ネイマール
メッシ、エムバペ

リール  4-2-3-1
シュヴァリエ
ディアキテ、フォンテ、ジャロ、ウェア
アンドレ、アンドレ・ゴメス
バンバ、ゴメス、カベッラ
デイヴィッド

リールは攻守ともに積極的で走力溢れるプレーを示した。試合を通したポゼッションでは53%でPSGを上回っていた。しかし、この試合の見所は「リールのハイプレス vs PSGのプレス回避」だった。
リールは20番ゴメスを最前列に押し上げ、4-4-2でハイプレスを仕掛けてきた。特にPSGのGK、CB、SB、CMFへのハイプレスを長時間続け、高いインテンシティを見せた。これだけのプレスを受けると、どのようなチームでも多少落ち着きを失う。
そんな中、違いを見せたのはヴェラッティだった。個人技でプレス回避を何度も成功させる。PSGの1点目は、ヴェラッティが運ぶドリブルで1列目を突破し、2列目を引き付けたところでフリーになったネイマールへパスを出し、エムバペのスーパーゴールに繋がった。2点目もほぼ同じ。相手のプレスを1枚剥がし、フリーのネイマールへパスを出したことで、速攻を発動させた。
ファビアン・ルイスも同様に、何度か個人技でプレス回避していた。このようなプレーができると、MNMの爆発力が活きてくる。

これで2-0。この日は久しぶりに楽な試合になるかと思われた。
しかし、ここからPSGは崩れていく。

リールの1点目は仕方がなかった。ショートコーナーのバックパス時、PSGの上がるラインと入れ替わるようにリールの選手がゴール前に飛び込んできたため、対応できなかった。良いセットプレーの形を準備してきた相手を褒めるべきだろう。

2点目もCKから。ヴェラッティが相手のユニホームを引っ張り、PK献上。軽くしか引っ張っていなかったので、かなり厳しい判定だったが、軽率なプレーだった。全く挑発されているようには見えなかったし、VARがあるこの時代、非常に不用意だった。

そして3点目。ヴェラッティが中盤で囲まれボールを失い、最終ライン裏へのロングボールに抜け出され、逆転された。プレス回避で貢献していたヴェラッティだったが、捕まってしまうこともあり、諸刃の剣だった。

忘れてはならないのが、これら2失点に絡んだもう1人のキーパーソン、キンペンベ。
2失点目のCKは、彼の謎のバックヘッドで与えていた。クリアできたように見えたし、CKにならず背後の相手選手に拾われていてもおかしくなかった、意味不明かつ危険なプレーだった。前半にもドンナルンマへのヘディングパスを相手に奪われ、大ピンチを招いていた。
3失点目の場面では、バンバの裏への飛び出しに一切対応できていなかった。というより、飛び出しに気付いてすらいなかったように見える。ベルナトと同じくらいのタイミングで戻っていれば、防げたかもしれない。
長期離脱による試合勘不足か。早く本格復帰してほしい。

87分まで2-3。PSGの今シーズンは絶望的な終わりを迎えたかに思えた。しかし、75分にガルティエ監督が動いたことで、流れは確実に変わっていた。ダニーロ、ザイル・エメリ、ソレールをそれぞれRHV、CMF、RWBに同時投入し、フォーメーションを変えたのだ。時間帯とスコアにより、リールのプレス位置は下がっていた。ただそれはそれで厄介だった。GKまで来なくなった分、CBやCMFが囲まれやすくなり、ビルドアップに苦労していた。しかしこの采配により、数的優位を作りやすくなり、時間とスペースと共に前進できるようになっていた。

ついに待望の同点弾。クリアボールをザイル・エメリが拾って、左のベルナトに展開。ヴェラッティとワンツーで抜け出す。そして折り返しをエムバペが蹴り込んだ。

極めつけはアディショナルタイム5分。ゴール正面の直接FKをメッシが決めた!とても文章で表現できるゴールではない。あえて割愛する。
この直前、FKを獲得したのはドリブル突破を試みたメッシだったが、パスを出したのはまたしてもヴェラッティだった。この時間帯においても前線へのランニングでエムバペからのパスを引き出し、繋いでいた。この日の彼は天使にでも悪魔にでもなった。評価は分かれるだろうが、全4ゴールに絡む貢献をしてもアシスト一つ付かないので、悪い部分ばかりが目立ちがちな点は不憫である。

総括すると、ヴェラッティとキンペンベが良い仕事をしたり試合を壊しかけたりしたことで、シーソーゲームになり、ガルティエ監督が名采配により流れを引き戻した。そして最後はGOATの一振で勝負ありだ。この試合が今シーズンのターニングポイントになることを願う。

以上。



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