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#16 注意報や警報の情報を見るときの基本

この記事では気象台から発表される特別警報や警報、注意報の見方をもう一度確認するとともに、警報級の事象が起こりそうなことを早めに察知する方法を紹介します。

この記事は「デジタル防災リテラシー」マガジンのステップ3の記事です。

情報量の多い気象庁のホームページで確認する

テレビやインターネットの気象情報のページなどでも注意報や警報の発表状況は確認できます。ただし、情報が「出た」・「出ない」のレベルでしか分からないので判断のための情報がそれだけでは不足気味になります。このため、常に気象庁の気象警報・注意報のページから確認するのがお勧めです。下のように図表形式で今後の見通しに関する情報が分かるので、この例を使って何が読み取れるか考えてみてください(図の下に読み取り例を載せています)。

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上の詳細情報から読み取れることの例
・大雨特別警報(浸水害)(土砂災害)が発表されたことから、過去最大級の内水氾濫や土砂災害がすでに起こっている可能性があること。
・重大な内水氾濫に対しては昼まで、土砂災害は雨のピークが終わっても18時頃まで最大限の警戒が必要であること。また、その後も注意報レベルの状況は残り、全て終わるのは日付が変わったあたりになること。
・洪水警報が発表されており、中小河川の外水氾濫(被害として重大なもの)に対しては昼まで警戒が必要ということ。
・1時間の最大雨量が正午までの時間帯では70ミリに達する可能性があること。
・土砂災害警戒情報が発表されており、がけ崩れや土石流の可能性があること。
・竜巻の可能性もあること(雷注意報の備考欄参照)。

このように、詳細な情報を見ると判断材料が増えます。メリットは大きいので、必ず気象庁のページを利用するようにしましょう。

気象警報・注意報
https://www.jma.go.jp/jp/warn/

上位の情報が出そうな状況かを確認する

注意報や警報が発表されている中でこの先さらに状況が悪くなり、注意報から警報や特別警報、警報から特別警報へと切り替える可能性がある場合、先ほど見た注意報・警報の詳細情報の色がトラ模様になります。

トラ模様の例が次の図です。大雨警報、暴風警報、波浪警報のところには警報を示す赤色の背景に特別警報の紫色の斜め線が、高潮注意報のところには注意報を示す黄色の背景に特別警報の紫色の斜め線が入っています。

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上の例では0時から6時の間に特別警報級の事象(大雨・暴風・波浪・高潮)が予測されているので紫のトラ模様が入るというわけです。

もし、注意報のときに警報級のことが予測されたら何模様になるでしょうか?答えは黄色の背景に赤色の斜め線です。斜め線を見た時には、どの時間帯で警報級となると予測されているか把握します。より悪くなる前に対応すべきことを完了しておきましょう。

早期注意情報(警報級の可能性)を使う

注意報や警報の詳細情報の表だけではなく、この先警報クラスの事象が見込まれる時には別の情報でもその旨が伝えられます。ここでいう「警報クラスの事象」というのは、警報を出す基準に該当しそうな事象、つまり、重大な災害が起こるレベルの事象が予測されていることを意味します。

この先の5日間のうち、そうした警報レベルのことが起こりそうかを示すのが気象庁の「早期注意情報(警報級の可能性)」という情報です。

早期注意情報(警報級の可能性)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/keika/index.html

警報級の可能性は上のURLからアクセスしても良いですし、自治体ごとに表示される注意報・警報の詳細情報からたどっても出てきます。これまで何度も取り上げてきた注意報・警報の詳細情報の表の下に次のような早期注意情報の表が示されます。

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この情報は、大雨、大雪、暴風(暴風雪)、波浪が対象です。対象となる時間帯に警報レベルの事象発生の可能性が高ければ「高」のマークが、中程度であれば「中」のマークが示されます。「中」とついたら「きな臭い」と思い、「高」とついたら「これは来る」と受け止めておくと良いでしょう。「中」でも「高」でも何らかのメッセージがある場合は今後の推移に留意する必要があります。

「情報発表はなかったり、遅れるかも」を念頭に

注意報や警報、あるいは特別警報はいつもタイムリーに発表されるとは限りません。状況の変化を追うような形で後追い的に発表されたり、事前予告(トラ模様での予告や早期注意情報(警報級の可能性)の中での言及)なしで警報が発表される場合も少なからずあります。

このため、警報などの発表だけを使って避難などの判断をするのではなく、レーダーで捕らえられた雨雲の動きや今後の雨の予測、危険度分布なども使って自分なりに状況把握や今後の見通しを持ち、判断していくと良いでしょう。

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