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青汁の訴求表現を開発する

先日、記載したとおり、定期的に『戦略的ヘッドコピー開発術』の内容を共有しています。

第2章 ケーススタディ
健康食品ジャンル 市場分析と訴求表現開発手法

青汁の訴求表現を開発する

ここでは仮に「青汁」をテーマにして訴求表現の開発を試みてみます。

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①市場年表による市場分析 ※上記の分析

低価格と品揃えで活性化された健康食品市場は、有効性に特化した単品通販主流となるが、薬事表現規制の強化によって、ある規模の通販会社は、TVCMを活用したマスマーケティング手法へと移行した。結果、市場を牽引する健康食品単品通販会社は、特化した特性を失っている。

②市場戦略の設定

マスマーケティング手法により企業規模は拡大されたが、商品もしくはブランドとしての特化した特性は失われた。つまり、データベースマーケティングにおける顧客生涯価値を高める「ファン作り」への重要なファクターである「個性」が希薄になった。
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「個性」の確立による顧客生涯価値の追求

例: ウインドウズは、市場をほぼ占拠したが、マッキントッシュは、特化した独自の「個性」を以て、PC領域以外にも確固たるポジショニングを確立している。

③「青汁」市場分析  トレンド動向キーワード抽出

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青汁市場もまた健康食品市場全体の動向と同じく、マスマーケティング化傾向にある。

訴求キーワードの動向としては
 (1)「まずい」→「おいしい」
 (2)「ケール」→「大麦若葉」
 (3)「冷凍」→「粉末」
 (4)「野菜不足」→「健康」
また一部企業による
 (5)「一杯50円」
という低価格路線も見られる。

説得材料として、 マスマーケティングを展開している企業においては、希薄になりつつあるが、テレビショッピングなど展開している企業においては、いまだ他社原料との栄養素比較とともに「野菜との栄養素比較」もセールストーク上の重要なファクターになっている。

④-1 訴求表現開発の方向性の検討(ポジショニングの検討と仮説設定)

戦略的前提を
 「個性」の確立による顧客生涯価値の追求
とするならば
 (1)訴求力の強化により「個性化」を図り付加価値を高める
 (2)低価格競争はしない


訴求キーワードの動向に対しては
 (1)「まずい」→「おいしい」
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 「おいしい」は一般表現であり、重要な訴求要素であるため
 訴求表現の精度を追求できる可能性がある。

 (2)「ケール」→「大麦若葉」
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 原料での栄養素比較は、すでに過去のファクターとなっており、「ケール」「大麦若葉」など原料による訴求力は低下していると思われる。「野菜との栄養素比較」は、重要なファクターだが、説得材料としては一般化されているため「個性的」なアプローチではない。

 (3)「冷凍」→「粉末」
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 メイン訴求とはならない要素であり、これもすでに「当たり前」

 (4)「野菜不足」→「健康」
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広く浅い「健康」といった表現傾向にありながら、「野菜不足」という基本的な消費者欲求は普遍的であり、あらたな表現開発による訴求力回復が期待できる。
また、「健康」の欲求対象のフォーカスがあまく、対象を絞り込み明確化することにより、訴求の精度を高められる可能性がある。

④-2 訴求表現開発の方向性の検討(ポジショニングの検討と仮説設定)

④-1の結果により
訴求開発における戦略的な留意点として、3つの方向性の仮説設定をしてみた。

(1)「おいしい」 に対する優位性の明確化
(2)「ケール」「大麦若葉」に対する優位性の明確化
(3)「健康」「野菜不足」に対する対象の明確化


④-3 留意点

次に具体的な訴求表現開発のプロセスに入る前に、表現開発において意識すべき点を挙げておきます。

(1) 訴求表現開発にあたり、仮説設定した方向性のどれにあたるのか、常に確認し軸がぶれないようにする

(2) 競合商品と商品内容が同じでも、訴求表現の精度やアプローチの角度により、優位性は図れる可能性がある

(3) 訴求表現強化のためには、同ジャンルのトレンドキーワードだけでなく、市場全体のトレンドキーワードも意識し活用す

(4) 訴求表現を強化するために、効果的なネタを付加する。※専門家、識者等のコメントも

(5) 訴求表現に限界があれば、効果的と思われる訴求表現を前提として、商品を改良もしくは開発する

④-4 一般的なコピー例

野菜不足の中高年に!
おいしい青汁!

基本的にはシンプルであり、対象の明確化と優位性まではいかないが特徴を示しています。比較検証により結局このコピーが一番効率的な場合もありますが、このコピーには、市場状況から見出される戦略的意図はほぼ皆無です。どの競合他社でも使用できるコピーで、優位性は存在しないと言えます。

次回は、戦略的訴求表現開発におけるキーワード抽出プロセスを解説します。


『戦略的ヘッドコピー開発術』の内容は、不定期投稿となりますが、適宜UPしていきます。以下のようにマガジンとして読みやすくまとめ始めましたので、ご活用ください。

マガジン【戦略的ヘッドコピー開発術】
https://note.com/toshi_iwamoto/m/m7c0dbbb1b96f

※今のところ無料提供予定です。

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