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矛盾を抱え、生きていくことー前半ー

 最近、長いアイデンティティー・クライシスという、先の見えないトンネルの中から脱出しつつあり、自分の中のアイデンティティーというものがようやく少しずつだが、固まってきた。その契機となった一連の出来事と、その出来事の過程で醸成された自分の考えをまとめていきたいと考える。少し長いので、記事を前半と後半の2つに分けて、投稿しようと考える。最初に、僕にアイデンティティー・クライシスが生じた背景を述べていく。


 僕は家庭環境が少し複雑だ。両親のアピールもあって、周囲からすると恵まれた家庭に見えるのかもしれないが、両親はいわゆる毒親だ。両親はかなり保守的で、差別意識が高く、しつけのためなら暴力もいとわないという考えだ。僕は金銭的な問題もあるのだが、僕は未だに部屋も与えられず、また、最近こそ僕に気を遣うようになったが、以前まで平気でタバコを吸うものだから、僕の鼻炎も本当にひどい状況だ。また、不平を述べれば、親だから感謝しろ、養ってやっているから感謝しろと言われたことが何度もあった。別に好きで生まれたきたわけじゃないのに。何度も一人暮らしを考えたが、親の反対や金銭的な理由等の様々な理由から不可能であった。僕はそんな両親や、また、軍隊の様な中学校生活を経た結果、皮肉にも、高校時代に見事に周囲の期待通りの優等生になった。毎日自分で自分を追い立てて、生きるようになり、成績はそれなりに良くとも、まるで後ろから何か影のような者が僕を鞭打ち、その痛みで人生という道のりを走り抜けているようだ。


 そんな中、大学生活で転機が生じる。金銭的な問題や精神的な問題で、入学前に掲げていた目標を何一つ達成できなくなったのだ。これまで与えられてきた目標をひたすらこなし、前向きに生きることだけが自分のアイデンティティーであった。両親は金持ちになれ、好きなことを仕事にしろと言い、学校の先生は安定した生き方をしろと言い、その双方の矛盾を解決するために、自分ができることはただただ目の前の目標をクリアすることだと考えていたのに、それができなくなってしまい、また家族とのトラブルもそこに重なった。また、これまでは安定した将来をつかめと言っていた学校とは違い、大学では終身雇用を否定し、「起業や副業をし、自分の好きなことを仕事に」のスローガンをよく聞くようになった。その中で、これまでの社会と学校で唱えられてきた、与えられたレールの上を歩く追従者としての生き方と、これからの社会や大学、両親が唱える、レールを自ら作り出す開拓者としての生き方の板挟みになった。
 僕はどちらの生き方にも良否があると思うし、人生とは基本的に苦行だから、どのような生き方をしようと、生きていること自体が素晴らしいのではないかと考えている。それ故に、一方の意見に偏り、もう一方を否定することがダメなことなのだと考えているが、いずれにせよ、選択を迫られるし、そしてそのどちらの道も僕には馴染まず、自分の中で大きな矛盾を抱えることになり、苦しみ、大学でカウンセリングを受けることになった。

                           ー後半に続くー

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