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「汝、星のごとく」を読んで

「汝、星のごとく」
著者:凪良ゆう
オーディブル版の感想文。

最近の本屋大賞ノミネート作品から、気になった作品の感想です。
「汝、星のごとく」は、四国の島が舞台となって物語が始まります。以前、岡山に住んでいたときに四国の同僚とよく話をする機会がありました。その時のことを思い出し懐かしくなって、読み始めました。

物語は、青埜櫂と井上暁海の十七歳から三十二歳までの物語です。二人の互いを思う気持ちの動きや生活をしていく上でのさまざまな苦悩が描かれている。読んでいくうちに二人の生きざまに引き込まれてしまいました。


「自分の想い」に正直に生きていくとは

この物語を読み終えて、自分の人生を振り返りながら「自分の想いに正直に生きてきただろうか」と考えさせられた。学生時代から社会人になると、その後の人生は「選択」の連続です。

その選択を迫られたとき、周りの意見や選択後の人間関係などさまざまなことがらを考えて迷います。

結果的に「自分自身がどうしたいのか」という自分の想いを貫く選択をしたときが、その人にとっての「正しい選択になる」のではないかと感じた。

時間とともに人の捉え方も変化していくものです。「この人は、間違った選択をした人」と思って、その人を、反面教師と捉えていた人。でも人は成長するにつれて、反面教師となる人の「生き方」を否定しつつもその生き方も容認できる日がくるのだろうとも感じた。

「出会い」と人間関係とは

人との出会いにおいて、共感やフィーリングで引かれることもある。しかし、繋がり合う中で、価値観の違いがありそのギャップに苦しむこともある。「私が求めているのはそこではない」と感じることがあり、付き合っている中で行き違いが生じることがあった。


物語の中盤にかけて、心がつらくなる場面があり、以前勤めていた会社での出来事を思い出した。会社では同期の同僚とよく食事にでかけていたころのこと。会社組織でのジレンマや上司の愚痴を共有していた。しかし、ある出来後を境に、関係が希薄になってしまった。ちょっとした価値観の違いから、その機会もすくなくなり、いつも間に自然消滅してしまった。人間関係の難しさを感じた時だった。

この物語での人間関係はもっと難しい外的要因が絡んでいる。また、男女関係においての難しさがさらに関係性を複雑にしている。

物語の後半において人間関係において、さらに主人公のこだわりが影響してくる。ここでも外的な要因もからんでくるのですが、ネタバレになりそうなので詳細は省きます。

まとめ

ヤングケアラーやネグレクト、トランスジェンダーなどさまざまな社会問題が絡んでいて物語に引き込まれてしまいました。物語を読み進むにつれて、心がつらくなるところがあります。しかし、主人公の生き方が「この先どうなるのだろう」と思うと、やめられず読了していました。

「自分がどうしたいのか」自分の思いに正直に生きていくには、どうすればよいのか。生きていく上での選択を迫られたときは、迷わず自分の思いを大切にしていこうと思いました。


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