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コロナ禍における体験・ビジネスモデルのオフライン→オンラインについて

コロナ禍の影響で多くの業種がオフライン体験・ビジネスモデルのオンライン化への対応を迫られている。そしてそう言った試みに関する記事を見ると、オフラインの体験・ビジネスモデルを丸ごとオンライン化しているものだったり、オンラインだからこその特徴やコロナ禍での生活者の動き、最新のトレンドを踏まえて趣向をこらしたものも多く見受けられる。オンライン化の実験期と捉えても良いだろう。

同じ業種でも取り組み方が大きく異なっているケースもあり、その違いを見ると実際に価値を提供している顧客ニーズの違いが浮き彫りになってくるのが面白い。(もちろん取り組み自体の戦略の精度の違いをただ示していることもあるだろうが、そこは一旦置いておく。)

例えばオンラインスナックの取り組みで明確に違ったのがこの2つ。

どちらもスナックをどうオンライン化しているかの記事であるが、オンライン化に向けたアプローチが異なっている。

前者は最近のトレンドであるオンライン配信およびチケット制にして、オフラインでは空間的に制限されていた人数という問題を解消しつつ、ママの空間という形でオフラインと同様の安心感・居心地の良さを提供することで、価値の提供およびマネタイズに成功している。

後者はオフライン体験をオンラインに丸ごと移植したような設計をしており、提供価値およびマネタイズはこれまでとは変わらないような印象を受ける。(実際にどれだけ成功しているかはわからない。)

私が気になったのはオンライン上だからこその戦略の優劣というよりも、彼らがオフライン時にどんな体験を大切にしていたかの違いである。

前者は「守られた空間」と書いてある通り、ママが作る場による不特定多数の対話の場なのだろうと考える。ママの管理がほどこされた空間だからこそ見ず知らずの人と楽しく会話ができる。

後者は女性との非日常的な対話を大事にしているのだろう。だからこそオンラインの価値としても女性従業員との1対1の価値や他の客に見られない安心感の提供という点を重視している。

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個人的にはオンライン化に向けた取り組みから見える違いは非常に面白いと感じている。オンライン化を進める中で改めて自分たちが提供していた価値やビジネスモデルは何かを考える機会だからである。もちろんオフラインでも十分検討してきた内容には違いないが、オンライン化という変化と向き合うためには自分たちの強みをはっきりさせないと間違った方向にいってしまう。そしてこの試行錯誤によって改めて提供価値を考える機会にもなっている。(特に前者の記事はその印象を受ける。)

ただ、やはり自分たちがオフラインで持っていた強みがコロナ禍においても有効なものなのか自体は考えざるを得ない。それはコロナ禍によって生活が単にオフラインからオンラインに変わるだけでなく、そもそもの価値観や生活様式すら変わっていくものだからだ。自分たちの強みや提供価値を認識した上で、それが既存の顧客に刺さるものなのか、そもそも既存の顧客は現状どのような状態で何を課題に感じているのか、実は新しい顧客開拓をした方がビジネスになるのではないか等、顧客調査が重要な意味を持つだろう。そしてそこで出たニーズと自分たちの強みや提供価値を検討して、顧客体験・ビジネスモデルのオンライン化を進める必要がある。

コロナ禍によって改めて、「自分たちは何者で誰に何を提供して何でマネタイズするか」を考え実行する機会になってきたことは間違いないだろう。

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