嶺北高校魅力化/ハウスマスターの仕事
私はおせっかいなお母さんにはなりたくない
島村美穂(2020年4月着任)
「嶺北高校魅力化プロジェクト」とは、高知県の嶺北地域の唯一の高校をますます魅力的に、元気な学校へと進化・深化させていくプロジェクトです。生徒数は、高1生32名、高2生34名、高3生36名の100名超となり、様々な活動がさらに活発化していく過程にあります。地域外からの入学生が生活する「寮」や「公営塾」などを中心に、高校生の学びの環境の充実に取り組んでいます。
女子寮のハウスマスターで高校生との共同生活も約半年になりましたが、刺激も楽しいことも多いですね。ちょうど昨日のことですけど、普段は一対一で話さない子がいるんですが、珍しくひとりでリビングにいて悩みをバーっと話してくれたんです。どうしても学校の延長線上だけではあんまり言えないことだってあると思うんです。ほとんど見せてくれない一面を見せてくれて、ちょっと心を開いてくれたのかな?みたいな嬉しさがありました。
ハウスマスターになる前に、日中はよく会議しているらしいと聞いていて、実はイメージが湧いていなかったんですが、実際に活動が始まったら、毎週会議があるので最初は驚きました。嶺北高校魅力化の会の会議、学校と役場の職員さんとの会議、ハウスマスターと公設塾「燈心嶺(とうしんりょう)」の会議、ハウスマスターだけの会議、寮生との会議など。どれをとっても、嶺北高校の魅力化のための大切な場であり時間なんです。
ちょっと変に聞こえるしれないんですけど、寮生が10代半ばの高校生ということを忘れることがあるんです。彼女たちがしっかりしていることもあるんですけど、そのくらい私は彼女たちをひとりの人間として一緒に生活しているという意識があります。寮生にも話したことで、「私はおせっかいなお母さんにはなりたくない。自主性をどんどん出して学んでいってほしい」と。今は気になってついつい注意してしまうこともあるんですが、理想としては寮生から「今日島さんから、何も言われてなくない?」と言われるぐらいになりたくて、そのために全力でサポートしていきたいです。
自分たちで寮をつくる意識が強い学生との距離感
松久大樹(2018年7月着任 /現在は任期終了)
嶺北地域は4町村でひとつの高校しか存在しないので、 そこの高校生が少なくなって高校が無くなってしまうと、過疎化が一気に加速するという問題があるんです。大学で勉強していたわけではないんですが、旅をする生活を通して過疎地域の文化の衰退に触れ、個人的に関心があったところ、人のご縁で協力隊に携わることになりました。 もともと僕自身が大学生のときに自治寮※1 に入っていたこともあって、嶺北高校の寮に関わることになった当初から、自治寮の要素を前面に出して活動してきました。
今は例えば寮生の自治組織「おたま。」※2 がありますが、寮生が自分たちでルールをつくってそれに従って動くというのは、社会に出てから役に立ってきたなというのが自分自身にあったので、そこを寮生には経験してもらいたいと思っています。じゃあ自分が何をするかと言うと、「何もしない」というのが一番労力を使うところで、それは日々の生活の小さな問題点も寮生自身に気付いてもらいたいという想いがあるからなんです。 嶺北高校生は学習意欲が豊富で、自分たちで寮をつくるという意識が強い学生が集まっていますが、さらに自主性を伸ばしてもらい、寮からハウスマスターを追い出せるぐらいになってほしいと思っています。寮生には、協力隊の任期終了までに僕を追い出せたら、免許皆伝を授けますみたいな感じのことを言ってます(笑)
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