個展『New Dawn Fades』3.22-4.2(4)
『Someone Drowned In My Pool』(誰かが私のプールで溺死した)
James George Thirlwell のプロジェクト「Wiseblood」の曲です。アルバムをリリースするごとに名義を変える(プロジェクト名でリリースしたり)ので、少々把握しづらいのですが日本ではジム・フィータスの名前が一番通じるかなと思います。
美しい渓谷、茫洋とした海、陰鬱な沼。風景の中に現れる「水」を眺めていると3回に1回くらいこの曲を思い浮かべます。もう頭から離れないのです。エンディングで繰り返される Someone drowned in my pool... in my pool
Someone drowned in my pool Someone drowned in my pool… この言葉から何かが、かなり具体的なビジュアルが脳裏に浮かぶのです。ただ今の僕にはそれを実現する能力がありません。それでも今回制作した『†Someone Drowned In My Pool』は、この脳裏に浮かぶ作品世界の重要なピースを完全に満たすものです。実際のところ今回制作した作品の中で、もっとも直接的に「これから取り組むこと」に繋がる重要な作品になりました。
四捨五入すると還暦という歳になっちゃうと、生臭さが抜けるというか死生観や性癖を絡めても湿っぽくならないと言いますか、年寄り特有の乾いた感じが中高年の油っぽさを中和してくれるのではないかと。油断禁物ですけど。
なんだってこんなことをnoteに書いているかというと、もういろいろなことを取り繕うのはやめようと思ったからです。
病と死とか、エロティシズムみたいな散々コスられまくった概念を制作の軸に置くのは、ちょっとどうかと思うし… 何よりこの手の創作物はあらゆるジャンルで優れた作品が群雄割拠しているので、世界の隙間でコソコソやってるおっさんが手を出すことに躊躇するのです。
なんですけど。それは重々承知しているのですけれど。
「厨二病のじじい」で終わっちゃうリスキーな判断ではありますし。
でもいいんです。やり残したことを一つ一つ潰していくことにしたので。
制作の動機になったものを誠実に実現しておきたいのです。
その為にはもっと勉強もしなければなりませんし、残された時間はもう全然たりないのです。そんなこと言ってバカみたいに長生きしたらそれはそれで面白いですけど、頭と体が制作に使える程度にちゃんと動くまでという意味では、もう完全に折り返し地点すぎている前提ですから。
丹野 徹 個展『New Dawn Fedes』
会期:3月22日〜4月2日 11:00-19:00 ※土・日・祝日・最終日は17:00まで
場所:靖山画廊(東銀座)
作家在廊(予定)3月22日 ,23日 ,24日 他
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