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私たちが想い描いている世界

あけましておめでとうございます!
2021年始まりましたね。

2021年は、私たちトオラスにとっては真の意味でチャレンジの年になりそうです。

これから数回にわたって、
トオラス共同創設者である田原真人が、
トオラスの前身である「与贈工房」をはじめたときの想いをお伝えしていきたいと思います。
いずれも、2018年ごろの文章です。

2020年をもって、田原真人はトオラスを離れることになりましたが、
彼が語ってくれた言葉は、
私たちが変わらず発信し続けたい言葉です。

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「私たちが想い描いている世界」

田原真人です。

私は、生きている状態とは何か?ということに、ずっと関心がありました。
自分が人の期待に沿ってしまっていて、
自由に生きていないという実感があったからです。
 
自由を模索する中で、大学で物理学科に進み、カオス理論と出会いました。
初期条件のわずかな違いが、大きな違いへと引き伸ばされていくシステムでは、
未来が予測不可能になること(バタフライ効果)を知ったとき、
「誰も予想ができないのであれば、正解は存在しない。」
と思い、とっても解放された気持ちになりました。
 
その後、大学院に進み、複雑系の物理という枠組みで、
カオス理論と生物の自律性を結びつけるための研究に取り組みました。
 
私が、注目したのは、細胞性粘菌(さいぼうせいねんきん)の自己組織化でした。
この生物は、はじめは、単細胞アメーバとして活動し、
飢餓状態になるとシグナルを出し合ってコミュニケーションを取って集まり、
合体して多細胞生物になるというライフサイクルを持ちます。
自由に動き回っていたアメーバが
多細胞という組織の一部になっていく様子に、
私は、社会に取り込まれて自律性を失っていく人間の姿を重ねて、
自分はいったい、どれだけ自由なんだろうか、
社会の中で自由に生きるとはどういうことなんだろうかと考えていたのです。
 
また、組織や社会というものは、
コミュニケーションによってできているのだから、
コミュニケーションを変えれば変化するのだという考えを持つようになりました。
 
博士課程3年のときに、私は、学生結婚していたパートナーとの関係や、
親子関係に生じた様々な矛盾に耐えきれなくなり、
大学院を中退することになりました。
他人の期待に沿って生きていた私は、
親の期待や、パートナーの期待、研究者としての満たすべき条件など、
自分の容量を超えた期待や条件に応えきれなくなってストレスをため込み、
パートナーとの関係が悪化した結果、
パートナーが心身のバランスを崩してしまったのです。
 
カオス理論を学んでいた私の人生は、8年間にわたるカオスへ突入しました。
物理の予備校講師をやりながら、
パートナーや、自分と向き合う日々が続きました。
はじめは、元の状態に戻ることが回復だと思っていましたが、
その試みはことごとく失敗し、
回復不能な状態になってはじめて、
自分がこの状況を創り出しているのだということに気づきました。
 
その後、世界の見え方が転換し、自分の傲慢さを手放すことができました。
それと同時に、すっかり分からなくなっていた心の動きを、少しずつ感じられるようになってきました。
 
自分の心の動きを感じながら、小さな幸せを大事にして生きていこうと思い、
実際にそのような生活を送っていました。
 
しかし、2011年3月11日に起こった東日本大震災と原発事故をきっかけに、
人生が再び一変しました。
人間のいのちよりも、組織における立場が露骨に優先される状況を見て、
心が大きく揺さぶられたのです。
また、科学者が、真実を語るよりも、立場から発言することを優先する姿に失望しました。
 
この状況を生み出している社会システムを変えたい。
社会システムを支えている組織の在り方を変えたい。
組織の在り方を支えている教育システムを変えたい。
 
そう思って、いてもたってもいられない気持ちになりました。
自分の中で、何かが立ち上がって、自分を突き動かし始めたのです。
 
予備校講師の仕事を辞め、すべてをリモートワークにしました。
日本人として教わってきたことを、いったん見直したいと思い、海外に出ました。
「反転授業の研究」というコミュニティを作り、
教育について根底から考えました。
粘菌をヒントに、オンラインコミュニティの自己組織化に取り組みました。
 
2013年頃から、新しい学びのパラダイムを自ら学ぶことで理解しようと思い、
WizIQ、GoToMeetingなどのWeb会議室を使ったオンラインワークショップを
繰り返しやるようになりました。
 
オンラインでの反転授業のやり方を、「反転授業の研究」の仲間と一緒に
試行錯誤をしながら開発しました。
 
Web会議室を8アカウント購入し、
工夫して、オンラインでグループワークをやったりしました。

2015年にZoomと出会い、
これを使えば、簡単にオンラインでワークショップができることに感動しました。
 
同時に、世界が変わっていくことを確信しました。

組織や社会はコミュニケーションによって成り立っていて、
コミュニケーションが変われば、変わるからです。

そのような想いから、私たちは、
完全リモートの生命的な組織「与贈工房」を2016年に立ち上げました。

Slackで情報を共有し、
Zoomのオンラインワークスペースで顔を合わせて仕事をし、
Zoomでミーティングをしています。
 
メンバーの中には、まだ、リアルで会ったことのない人もいますが、
信頼関係で結ばれています。
 
私たちは、次のビジョンを掲げ、歩き出しています。
 
「すべてのいのちの存在が大切にされ、
誰もが自分を十全に生きられる社会への
パラダイムシフトのプロセスを生きる。」
 

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いかがでしたか?

私たちトオラスは、生き物のような組織なので、
常に変化し続け、同じ形に止まっていることがありません。
「トオラスって、結局なんなの?」と聞かれても、答えに窮してしまうのは、
「今はこういう感じ」としか答えられないからなのです。

しかし、私たちの歩んできた歴史を垣間見ていただくことで、
なにを大事にして歩んでいる組織かをおわかりいただけると幸いです。

次回は、
「違いがうまれ続ける開かれた空間」についてお伝えします。
https://note.com/torus2020/n/n07b41c5c24eb


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