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対話が持つ力とは何か?

前回は、「Zoomオンライン革命とはなにか」をお伝えしました。
https://note.com/torus2020/n/ncaf3b285dcdf

さて、
ここ数年で、「対話」という言葉を耳することが多くなりましたよね。
オンラインに限らず、「対話」とはなんでしょうか?

本日は、トオラスの共同創設者である田原真人の2018年の文章をご紹介します。


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「対話が持つ力とは何か?」


文科省が2018年に掲げた新しい学習指導要領の目玉は、

「主体的・対話的な深い学び」
 
です。
 
ここに出てくる「対話」という言葉を、聞きなれない方は、
たくさんいるのではないかと思います。
 
・会話
・議論
・対話
 
の区別は、どこにあるのでしょうか?
どうして、対話が、主体性や、深い学びと関係するのでしょうか?
 
今日は、この点について書いてみたいと思います。
 

会話の辞書的な意味は次の通り。
  
会話 : 主として言語の発声・手話・ジェスチャーなどによる意思表示によって
共通の話題をやりとりするコミュニケーションや、あるいは話をする行為全般
 
お互いに、話したり、聴いたりするようなコミュニケーションを、
一般的に、会話と呼んでよさそうです。
 
一方で、誰かだけが一方的に話し、残りの人が黙って聞いているだけというのは、
会話ではなさそうですね。

では、次の「議論」は、どうでしょうか?
 
議論 : 一つの話題について、複数の人が意見を述べ合い論じ合うこと。
 
ものごとを話し合って決めるようなときは、議論をする場合が多いです。
決めるためには、話題の前提を揃えたり、評価軸を決めたりする必要があります。
その中で、いろんな角度から論じて最適解を見出していきます。
 
議論の特徴は、
 
・枠組みと評価軸の設定
・最適化
 
です。
 
では、最後の「対話」にいきましょう。
 
対話の意味は、辞書の意味ではなく、私の感覚だと、
次のような感じです。
 
対話 : お互いに本音で話し、聴きあうことで、自分が前提として持っている
思考の枠組に気づき、それを変化させる可能性に開かれること。
 
人間は、誰もが思考の枠組みを持っていて、それを元に、
ものごとの善悪や、正しい、間違いを判断しています。
 
その人の価値観というのは、
どのような思考の枠組みを持っているかということで、
言い換えられるかもしれません。
 
世の中には、いろいろな考え方の人がいますので、
本音で深く話していくと、
お互いの違いがはっきりしてきます。
 
それぞれが、「正しい」と思うことが違うことに気づくのです。
 
そのときに、自分の「正しさ」を、お互いが強く主張し合うと、
激しく対立しますが、自分の「正しさ」をいったん保留して、
相手の世界から見たら、どういう景色が見えるのだろうということを
探索していくと、自分と違う「正しさ」を主張するのも分かるなぁー
という感覚が生まれてきます。
 
一方で、それを受け入れると、今までの自分の思考の枠組みの中に、
矛盾が生じてきます。
 
そのような矛盾を生み出すようなものを受け入れることを、
私は、「ゆらぎを受け取る」と呼んでいます。
 
ゆらぎを受け取ると、
自分の思考の枠組みを修正する必要が出てきます。
自分の思考の前提を見直していく必要が出てきます。
 
そのうちに、思考の枠組みが動いて、
ゆらぎを統合して、矛盾を解消することができたりします。
 
それを、「思考の枠組みがリフレーミングされた」と言います。
 
議論のときは、思考の枠組みを揃えることが大事になりますが、
対話のときは、違った思考の枠組みを持っている人と話すほうが生成的です。
 
閉じた環境だと、思考の枠組みが揃ってきて、
議論は効率的に進み、物事が素早く決まっていきます。
 
しかし、思考の枠組みの前提を問い直すことが、
難しくなっていきます。
 
私は、学びのプロセスは、

1)思考の枠組みを設定して最適化する。
2)対話を通してゆらぎを受け取る
3)思考の枠組みをリフレーミングして置きなおす
 
ということを、グルグル回していくことだと考えています。
 
1)で重要視される話し合いが「議論」であり、
2)3)で重要視される話し合いが「対話」です。
 
これまでは、1)の部分が重要視されていましたが、
今後は、1)-3)のサイクルをグルグル回すことが、
大切になってくると思います。

そのために、考えが近い人も、考えが遠い人も、どちらも大切です。
 
考えが近い人は、
協力しやすいです。
 
考えが遠い人との対話は、
自分にゆらぎをもたらしてくれます。
 
Zoomを使って遠隔地と繋がるオンライン対話は、
自分が考えもしなかったようなゆらぎを、
いつも私にもたらしてくれます。
 
私は、毎日のようにゆらぎ、毎朝のように、リフレーミングしています。
 
そのような生活を通して、頭が柔軟になり、いろんな視点が自分の中に入り、
アイディアが次々と湧き出てくるようになりました。
 
同じ組織内や、同じ地域の人は、
共通点が多く、発想も似てきがちです。
 
あなたは、どのルートで、自分の中に「ゆらぎ」を取り入れていますか?
Zoomでのオンライン対話を、あなたの日常に取り入れてみませんか?


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いかがでしたか?

今では、Zoomだけではなく、
LINEのグループ通話、Teams、Google Meetなど、
オンライン対話をするツールがいくらでもあります。

オンラインに限らず、リアルも含め、対話によるゆらぎを取り入れることは、
変化の激しい時代に生きる現代人にとっては、
非常に重要なことかもしれませんね。


次回は、「学習者中心主義というパラダイムシフト」についてお伝えします。
https://note.com/torus2020/n/n6eac0faa12e7

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