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最高の栄誉

日本ではあまり知られていない、本場カナダのラクロスリーグについて。

そもそもカナダでは日本で主流のフィールドラクロスよりもボックス(インドア)ラクロスの方が盛んです。幼少期より年齢、レベル別に分けられ、各リーグで地区大会の優勝を目指します。
その中でも盛り上がるのがジュニア部門(21歳以下)とシニア部門(社会人リーグ)で、ジュニアA,B、シニアA,B,Cとレベル分けされています。

ボックスにおける最高峰はお馴染みのプロリーグ、National Lacrosse League(NLL)であることは間違いありませんが、シニアA(Senior A)もトップリーグとして認識されています。NLLを「商業化した北米プロリーグ」、シニアAを「カナダの伝統的トップリーグ」、のように考えると分かりやすいかもしれません。両リーグはシーズンがほとんど被っていないため、世界のトップ選手たちは両リーグでプレーします。※
シニアAは建前上、アマチュア社会人リーグですが、地元でかなり盛り上がるため裏で大きなお金が動いており、トップ選手には相当額のお金が支払われます。待遇もプロ仕様で、移動から用具の支給までかなり高度なケアが施されます。地域に根差したチームであり、伝統や歴史があるので、「シニアAでプレーする」というのは子供達の憧れでもあります。

そんなシニアAですが、東西二つのリーグがあります。東のMSL(Major Series Lacrosse)と西のWLA(Western Lacrosse Association)です。東西リーグでそれぞれリーグ戦を行った後、優勝チーム同士がマン・カップ(Mann Cup)と呼ばれる優勝トロフィーをかけて、7番勝負(7戦中4戦勝てば勝利)を行います。本大会は1910年以降、(コロナ禍で中止になった2020年、2021年を除き)毎年大会が行われてきた歴史ある大会で、マン・カップを獲得することはカナダラクロス界において最も栄誉あることだ、という人もいるほど権威あるものです。

というわけで多くのカナダ人エリートラクロス選手たちはマン・カップ優勝を目指し、シニアリーグ(サマーリーグの異名も持ちます)を戦います。シニアAは言わずもがな、シニアBもそれなりのレベルであり、シニアBの優勝カップであるプレジデンツ・カップ(Presidents Cup)を獲得することも名誉なことだとされています(プレジデンツ・カップ獲得者にはLyle Thompsonをはじめ世界のトップ選手たちが名を連ねます)。

ちなみにジュニアAの優勝カップはミント・カップ(Minto Cup)、ジュニアBの優勝カップはファウンダーズ・カップ(Founders Cup)と呼ばれ、(マン・カップ、プレジデンツ・カップと合わせ)この4つはカナダ人にとって大きな意味を持ちます。

以上、少々複雑なカナダのリーグを説明しました。派手さには欠けるものの、伝統的で渋くてかっこいい、等身大なカナダ人らしいリーグなのです。
「すごそうなこと」ばかりが注目され意味を持ちがちな今の時代に、清々しいほど硬派でレベルの高いシニアリーグでプレーできていることを嬉しく思います。

WLA開幕まであと半月ほど。幸運にも、シニアAの強豪、Maple Ridge Burrardsからトレーニングキャンプに招待していただき、まだメンバーに残ることができています。かなり競争が激しく、レベルも高いですが、多くを学びながら食らいつきたいと思います。
シニアBの方は先日開幕。今はシニアBのチーム(Port Coquitlam Saints)でもプレーしており、ラクロス漬けの日々を送ることができています。ここからが勝負なので、この環境に感謝しながら目の前のことに注力していきたいと思います。



※今年からPLLがシーズン中に他のリーグ参戦を禁じたため、トップ選手たちがシニアAとPLLどちらのリーグでプレーするかに注目が集まっています。シニアリーグの「地味さ」は魅力でもありますが、やはり新規ファン獲得には向いておらず、近年はPLLやNLLの方が"盛り上がっている"と言えるでしょう。




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