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溜池随想録

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コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)時代に書いたソフトウェアに関するエッセイです。
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#SaaS

溜池随想録 #8 「クラウド時代のITビジネス」 (2010年1月)

溜池随想録 #8 「クラウド時代のITビジネス」 (2010年1月)

クラウドを提供するビジネス

 SaaS/クラウドは、情報処理の世界に大きな変化をもたらす。パラダイムがすっかり変わるまでには数年の時間を要するだろうが、この世界に大きな変化が起きることは間違いない。

 では、ITビジネスはどう変化するのだろう。
 まず、クラウドを提供するビジネスが急成長するだろう。この分野には、IaaS(HaaS)やPaaS、SaaSのベンダーが含まれる。
 すでに、多くのパ

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溜池随想録 #6 「クラウド・コンピューティング」 (2009年11月)

溜池随想録 #6 「クラウド・コンピューティング」 (2009年11月)

SaaSとクラウド・コンピューティング

 「クラウド・コンピューティング」という言葉は、2006年8月にサンノゼで開催されたサーチエンジンに関するカンファレンスで、GoogleのCEOであるエリック・シュミットが最初に使ったという説が通説になっている。しかし、コンセンサスのとれた定義はない。人や会社によって微妙にクラウド・コンピューティングの定義は異なっている。とりあえず、ここではインターネット

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溜池随想録 #5 「SaaS と規模の経済」 (2009年10月)

溜池随想録 #5 「SaaS と規模の経済」 (2009年10月)

ロングテール

 4、5年前に「ロングテール」という言葉が流行した。「Web2.0」を象徴するバズワードの一つである。2006年には” The Long Tail, Why the Future of Business is Selling Less of More”という本も出版されている(著者はワイアード誌編集長のクリス・アンダーソン、邦題は『ロングテール、「売れない商品」を宝の山に変える新戦

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溜池随想録 #4 「SaaS と規模の経済」 (2009年9月)

溜池随想録 #4 「SaaS と規模の経済」 (2009年9月)

規模の経済

 SaaSと規模の経済の話をする前に、規模の経済とは何かを簡単に説明しておこう。

 まず、事例としてパッケージソフトのビジネスを考えてみよう。あるパッケージソフトの開発に要したコストが1億円で、このソフトをCDに格納し、説明書をつけてパッケージにして販売するコストを1本につき1000円かかると仮定しよう。
 もし、このソフトを1万本生産すれば、総コストは1億円+1000円×1万本=

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溜池随想録 #3 「SaaS (Software as a Service)」 (2009年8月)

溜池随想録 #3 「SaaS (Software as a Service)」 (2009年8月)

SaaSとは何か

 SaaS(サース)とは、ソフトウェア・アズ・ア・サービスの略で、直訳すれば「サービスとしてのソフトウェア」となる。簡単に言えば、ソフトウェアが提供していた機能を、インターネットを通じてサービスとして提供(あるいは販売)する仕組みのことである。

 これまではソフトウェアを自分のパソコンや社内のサーバーにインストールして利用していたが、SaaSの場合には、ソフトウェアはインター

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