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クラ交易と関係人口論~関係人口創出は「手段」なのか~

疑問に思っていることのメモ書きです。

クラ交易とは

クラ交易とは、パプアニューギニアで行われている(らしい)特殊な交易です。

クラ(Kula)は、パプア・ニューギニアのマッシム地方(英語版)で行われる交易である。トロブリアンド諸島、ルイジアード諸島、ウッドラーク島(英語版)、ダントルカストー諸島などの民族によって行われ、クラ交易とも表記される。クラの交易圏は円環状のネットワークであるため、クラ・リングとも呼ばれる。

クラ (交易) - Wikipedia

簡単に言うと、貝殻でできたアクセサリーを異なる島間で交換していきます。ただ、このアクセサリー、身につけられないそうです。つまりアクセサリーとしての価値はありません。

ですが、クラ交易に参加する人たちは、アクセサリーを手に入れるために文字通り命がけで航海し、異なる島へ渡ります。

なぜクラ交易を行うのでしょうか。内田樹氏は次のように解説しています。

交換の第一の目的は、その実用性ゼロの装身具の交換がスムーズに行われるように、クラ儀礼の当事者の間で揺るぎない信頼関係を築くことです。

内田 樹  「ローカリズム宣言―「成長」から「定常」へ」p135

クラ交易において、最優先の課題は「異族のうちに信頼できる友達を作ること」。第二の課題は「航海術の習得」です。

内田 樹  「ローカリズム宣言―「成長」から「定常」へ」p136

クラ交易と関係人口

久米島で「関係人口創出」を目指した取り組みを色々やっていますが、そもそも関係人口ってなぜ、なんのために創るのだろう、というのをずっと考えていました。

今後人口減少に伴い地域の担い手も減るから、その埋め合わせのためでしょうか。
観光よりも消費額の多いリピーターを獲得するためでしょうか。
ふるさと納税の納税額を増やすためでしょうか。
どれもしっくりきません。

思い至ったのはこの「クラ交易」でした。
関係人口の創出。簡単に言うと、自分の暮らす地域に愛着のある友達をつくること。それだけでいいのではないかと。関係人口の創出自体が手段ではなく、僕にとっては「目的」。それでいいんじゃないかと。

友達をつくるためにプロジェクトをつくる

僕は島内外の複業ワーカーさんに案件を紹介する仕組み、「複業ギルド」を運営しています。

また、「久米島をシェアの島にする」ことを目指し、「シェアランドプロジェクト」を立ち上げ、活動しています。

これらの活動について改めて思ったのですが、現在のモチベーションとして、どちらかというと想いを同じくする友達や仲間が欲しくてやっている気がしています。

つまり、複業ワーカーさんが儲かるとかシェアの島にするといったビジョンの実現が一番に得たい結果ではなく(もちろん得たいですが)、色んな人と関わりながらプロジェクトを一緒しているプロセス、それ自体が一番得たいものなのではないかと。

マンガ「ハンターハンター」のこのシーンを思い出します。

これからも、お互い消費しない関係を。

関係人口というキーワードがバズりだした頃、僕の書いた以下のブログも若干バズったのですが、今でもなお同じことを思っていたりします。

本当に地域と人との良好な関係をつくる上で、「関係人口」という言葉に注目するフェーズは、一刻も早く脱出すべきかもしれません。関係人口という言葉の元、おそらく、以下のようなフェーズ遷移が今後起きていく気がします。

フェーズ1:定住人口しか重視されないまち
フェーズ2:定住人口に加え「関係人口」というキーワードが注目されるようになったまち
フェーズ3:「関係人口」の名の下、地域内外が消費されるまち
(外部が地域側を消費するケース:無意味なPR動画作成、イベント乱発、名ばかりコンサル、旅行商品の大安売り など
地域側が外部を消費するケース:ふるさと納税やクラウドファンディングの乱発、ボランティアや低賃金労働などの労働搾取、お金を巻き上げる方式の第二町民制度など)
フェーズ4:2,3が見直され、ようやくお互い消費しない関係をつくれる世界

フェーズ2,3を一刻も早く抜け出す、もしくは飛び越えるくらいの感覚でいたいものです。そのために、「関係人口」という言葉は、一刻も早く死語にすべき言葉かもしれません。

「関係人口」は、一刻も早く死語にすべき言葉かもしれない

いずれにせよ、友達と呼べる関係をこれからも作っていきたいと思いました。


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