見出し画像

📷オリンピック・フォトグラファーが見た🥇霊長類最強金メダリストの涙💧【本来だったら東京2020オリンピック期間中なので、五輪写真の裏舞台を少し📷🌸-その3】

 フォトグラファーという仕事の最大の魅力は、歴史的な出来事を至近距離で見る事が出来る事です。時にはコーチよりも、もしかしたら審判よりも。それを出来る限りお伝えしたい!写真では伝わりきれない(かもしれない)所を補いたい!そんなnoteです!

 楽しみにしていた東京2020オリンピックが1年延期になってしまい、本来だったら自国開催のオリンピックに熱狂していたはずのこの夏。ロイター通信のフォトグラファーとして2度のオリンピック、3度のサッカーFIFAワールドカップを撮影した私の世界的なイベント撮影の舞台裏を知っていただき、来年への楽しみを膨らまして、この夏を乗り切りましょう!📷🌸

その1、その2も合わせてご覧下さい!

 私は2012ロンドン、2016リオと直近2度のオリンピックはレスリング、柔道を中心に撮影させていただきました。実はこの2種目の取材歴はとても長く、ロイター通信の前に勤めていた会社、新卒で入社した東京スポーツ新聞社が一般財団法人東京スポーツ新聞格技振興財団を通じてレスリングと柔道を応援していることもあり、この競技の様々な取材を経験させて頂きました。こうしてその経験をお話させて抱けることは、その経験が私にとって、本当に財産になったということに他なりません。

 私の初めての本格的海外出張は1998年スウェーデンで行われたレスリングの世界選手権でした。この男子グレコローマンスタイルの世界選手権では2年後のシドニー五輪で銀メダルを獲得する永田克彦選手などを取材しました。

 そんな私が特に心に残っているのはやはり2016年のリオ・オリンピック、レスリング女子53kg決勝です。それまで世界大会16連覇中で、個人戦連勝記録は206。「霊長類最強女子」の異名を持つ吉田沙保里選手が遂に破れたからです
 フォトグラファーである以上、あらゆる展開を想定して撮影に望むものの、自国の英雄選手、ましてやその偉大な連勝記録が始まる前から、よく知っている選手を応援する気持ちは当然あります。しかし、国際通信社の仕事では吉田選手だけを追いかけるわけにはいきません。決勝で吉田選手を破った、アメリカのマルーリス選手から見れば、大金星、大快挙です。勝った事と負けたことが同時に大ニュースの決勝戦です。歓喜の姿と悲哀の姿を同時にまたはどちらかを撮るか?フォトグラファーとしてとても差が出やすい場面で、逆に言うと腕の見せ所でした。

 この4年前の出来事、まだ皆さんの記憶にも鮮明に残っていると思います。とりわけ最強女子の名を欲しいままにし、国民栄誉賞も受賞し、明るいキャラクターで人気者の吉田選手が敗戦とともに人目をはばからずに号泣し続けたことに驚き、心打たれた人も多いと思います
 しかし私は全く驚きはしませんでした、なぜなら吉田沙保里選手のそのような姿を見るのは初めてではなかったからです。彼女のそのような姿を見たのは、今から遡ること19年前、2001年のレスリング全日本選手権女子56キロ級準決勝のあとのことでした。
 19歳の吉田沙保里選手は当時の世界選手権覇者であった、21歳の山本聖子選手(今は大リーガーのダルビッシュ有選手夫人)に勝利目前の試合終了間際、見事な大逆転負けで勝利を逃しました。その後、リオ五輪同様に人目もはばからず、会場の代々木第二体育館の片隅で泣き続けていたのを私はずっと見ていました。中京女子大学(現・至学館大学)のチームメイトが傍で慰めても、彼女の涙は止まらずに、吉田選手の勝利に対する執念というか、競技に対する情熱と、とんでもなく真っ直ぐな人柄をその時ハッキリと認識しました。
 その涙の敗戦から吉田選手の206連勝の個人戦連勝記録が始まりました。私は吉田選手や五輪4連覇の伊調馨選手、気合いだ!の五輪銅メダリスト浜口京子選手らの出場した、2002年ギリシャでの世界選手権などを取材。日本選手は2年後のアテネ・オリンピックで正式競技に決まっていたこともあり、気合十分。あまりの強さに試合があっという間に終わってしまい、写真が全然無くて困ったことをよく覚えています。
 世界選手権やワールドカップで圧倒的な力の差で金メダルを獲得後は、当時は取材メディアもほとんどいなかったので、選手団とともに行動させていただいて、大会後の観光なども一緒に行かせていただきました。スポーツ紙の紙面用にパルテノン神殿などで写真を撮らせていただき、とても楽しい思い出になったことをよく覚えています。

 そして、15年後の2016年、ロイター通信のフォトグラファーとして取材した、リオ五輪決勝で再び吉田選手の真っ直ぐで大粒の涙を見ることになり、私はフォトグラファーとしての運命めいたものを感じました。そして、207連勝目を止め、金メダルを獲得したアメリカのヘレン・マルーリス選手がかつて、吉田選手のライバルだった元世界女王・山本聖子さんの指導を受けていたと言う事実にも、また別の運命を感じずにはいられません。

 本日はここまで、オリンピックの裏話はまだまだ続きます。次回もお楽しみに📷🌸

画像1


この記事が参加している募集

カメラのたのしみ方

ご覧いただきありがとうございます❗️ 「スキ」「フォロー」「コメント」「サポート」がココロのヨリドコロです。どうぞよろしくお願い致します❗️