社会課題解決と事業成長の両立について

私はこのタイトルの2つを両立させたい。この両立はインパクト投資領域だと考える。

この実現に向けて取り組むことに対して、私を支えてくださっている方々からも賛否両論のアドバイスを頂戴する。

なぜなら従来、社会課題の解決にはその課題に向き合い、非営利に取り組む傾向の事業が一般的であった。

それ自体はとても意義があり、そのような方々の取り組みがあってこそ、世の中の課題解決に向けた正義感が人々の生きづらさを支えてきた。

いっそのこと、私もNPOや一般社団法人にして取り組んでゆけば、より共感されやすく、助成も受けやすい。そのため気持ちのゆとりも得られやすい。しかし本当にそれでいいのか?非営利でもいいのだが、それでは資金がどうしても足りない。この領域は、非営利団体を支援する助成財団資源も得られにくく、一般投資領域も得にくい。ちょうど難しい領域である。

財源も明確に分けなければならない。開発資金をどうするか?共感・同情のこの2つをかけ合わせて寄付狙いも良いかもしれない。

でも私のゴールはここではない。テクノロジーを用いて社会課題を解決していくことであり、人が支援する仕組みだけではどうしても足りないところをテクノロジーでスケール化することで、解決していく手法を用いる。


話をもう一度戻すと、社会課題と事業成長、本当はどっちに向かうべきなんだろうか?社会課題に向き合っている当事者からすると当然その社会課題を抱えている人を最優先。当事者でない方々からするとやや共感性が当事者に比べると劣ってしまう。それは致し方がない。

国家というは究極のインパクト事業だと私は考える。政府としても社会的に手を差し伸べなければならない人たちにも手を差し伸べている一方、伸ばすところも伸ばし、国家の成長戦略も描かなければならない。

これをスタートアップ事業として置き換えてみよう。

参考にしたのが下のリンクの図

https://nf-startup.jp/wp-content/uploads/210930_a-4_02.jpg

画像1


私が行う社会課題解決事業、LOOVICは、このインパクト投資とESG投資のちょうど重なる部分のオレンジの箇所だ。

投資家の方によって思考が様々であり、投資市場ではこの一般的な投資と書かれているように、左端の紫の箇所が一般的だ。

そのため、我々のような取組でいかにリターンを得られるか?という話をしても、紫の箇所を前提としていた場合は、やや路線が異なってしまう。

我々が開発しているナビサービスは、空間認知の課題を解決する。ただし、この空間認知というのは、空間認知でとても困る方々から取り組む。

このような方々は、視空間認知障害と言われる、業界ではメジャーだが、一般の方々にはあまり知られない言葉である。彼らは知らない場所へ行くと、課題の強さにもよるが、人の手助けなくては戻ってこれない。このような方々、国内で推定550万人と言われる。

彼らの悩みはもっぱら迷うことである。確かに交通事故の危険もあるが、目が見えているので、視覚障害の方々が最優先に考えるのが外出の課題と同時に交通事故の危険というのに対して、視空間認知障害とは考え方が異なる。

SDGs 誰一人残さない未来を考えるときに助けなければならないと見られる事例が視覚障害である。とても課題は大きく、私も助けていきたい。そのため、沢山の方々が技術的な開発などですでに取り組みしている。

視覚障害が30万人と言われるので、視空間認知障害は人数の割には視覚障害ほど名前がメジャーではない。

なぜなら、すごく複雑でわかりにくい。理解されにくい。見た目も話し言葉も至って自然だから、伝わりにくいのである。身近な例だと、認知症の方々である。あえて550万人には、認知症全体の数字を入れておらず、我々の技術で助けられる軽度認知症の方々を含めた数字になっている。

視空間認知障害には、地誌的障害、道順障害、空間無視、過集中、注意分散、失認などいってさらに複雑である。

視空間認知障害の方も視覚障害の方々と同様に、外出することに課題があるため、障害度合いに応じてガイドヘルプサービスの行政の支援対象となっている。だから悩みは同じなのである。

我々LOOVICは、あえて視空間認知障害の方々の取組から開始している。なぜなら、私の子供がその当事者である。グレーゾーン発達障害の6.7%にこの症状が見られ、彼らはナビを使えず、音声だけのナビも使うことができない。

高次脳機能障害にも20%の方々にこの症状が見られる。

厳密に言えば、ナビも見ることができる。音声だけのナビも聞き取れる。しかし、実際にナビを使用することについて大きな課題があることがあまり知られていない。

ナビを見ると一般の方々でも危険性はありながらも使えないわけではない。一方で視空間認知障害を抱える方々には迷うということもそうだがより難易度があるために、その他の方法で支えなければならない。なぜなら、ナビ画面を見ることで、彼らは一般の方々以上にヒヤリとする機会が増してしまう。

なぜか?同時処理が苦手、過集中、注意分散、空間無視と、必ず視覚に注意を払わなければならず、画面を見ることが一般の方々以上に人にぶつかりやすくなってしまう特性を持つ方もいる。間違って、交差点に突入してしまっては大問題である。せっかく目が見えているのであれば、その特性を最大限活かす方法の技術的なアプローチが必要である。

我々はこの実現のためのハードウェア的なアプローチは取り組みする事業者が見当たらず、前人未到のところにチャレンジしている。

というわけで長々書いているその理由は、実現にはハードウェアもクラウド側のソフトウェア側としてのアプローチの両方が必要であり、この社会課題の解決にはそれなりのコストがかかるのである。

ハードウェアかつ社会課題ということで、我々の事業はより一層一般の投資家の方々からすると、敬遠されがちである。一般普及での将来性を考えればとても面白いものになることは確信しているが、それ以前にやらなければならない優先すべき社会課題も解決すべきであり、事業成長もしなければ、投資家の方の信頼を得にくい。この両面をどうやって解決していくか?

そのためにはインパクト投資領域を重点的に検討してくださる投資家の方々にお願いをしていかなければ解決できるプロダクトの資金が足りない。

私はすでにこの事業に500万円以上私財を投入してきている。なぜここまでやるか?それは、解決したい・しなければならないの両方の課題を持つ当事者意識であり、間近でその課題を見ているから行っている。そうじゃないとここまでできない。

もう少しという所まで来ている。社会課題の解決と同時に一般普及で利用価値を人々に実感を得てもらい、事業成長もさせたい。一見両方をクリアする困難さは見えるがなんとか実現していきたい。

しかしLOOVICという名前で取り組むこのプロジェクトはこれで終わりではない。このような苦手を苦手としない社会をつくることをビジョンとしているからである。このナビの解決だけなく、もっと我々の生活には苦手がある。

デジタル庁が言う、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化へ。

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