オンライン学習のやり方-「元教師」の提案

「元教員」でも生きていけるって示したい。そんな思いです。

最近は親子オンライン体験フェスを運営カタリバオンラインに参加など
オンラインでの学びの場にいくつか関わらさせていただいています。

「オンライン学習」のやり方、僕の中で少し見えてきました。
緊急事態宣言解除とはいえ、オンライン化の流れは続くでしょう。

現時点でのアイディアを以下に書きます。僕の中に溜まった、たくさんの方からの知見。どなたかの参考になれば。

子どもを相手にした学びの場を想定していますが、大人相手にも使っていただけるはずです。

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”授業”か”学習”か?

授業は、何かの伝達。
学習は、相手の中に何が起こるか。ここは明確に分けたい。

子ども達がワイワイ考えを出し合う時間が途中にあったとしても、
最後に講師が出て「まとめると…」とか「こういう考え方もあってね…」と"伝える"ことにゴールがあるのなら、それは"授業"と僕は呼びます。

好い悪いではなく、どちらなのか目的をハッキリ分ける。だからやり方も分かれる。
伝えたいことがあるのなら”授業”型、と割り切った方が、絶対によいです。


"学習"って何?

以前の記事の最後に書いた通り、その子が感じたことを「学び」と、僕は呼びたいと思います。
オンライン化でそれも「学び」と認められるようになるはず。

ああそっか、やってみよう、そうなんだ、あれと同じだ…

そんな気付き、変わるきっかけを起こすこと。それをオンラインでやる時の多少のtips。それがこの記事です。

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オンライン学習を考える上で、忘れてはいけない前提


①やるなら「双方向」にしたいですよね。でも…

 双方向ってすごく難しい。(元教員だから嫌というほど経験しています)
 伝えたいメッセージがある時ほど双方向は難しいのです。

 楽しい時間にしようと講師は意気込む。あれこれやる、たくさん話す。
 そうして聞き疲れた子ども達の興味がしぼむ瞬間、何度も見てきたのです。


②ましてや子どもは家にいる。集中は短いです。

 教室ではオトナが怖い顔をすれば(←出来ればやりたくありませんが)
 勉強している‶風に‶カタチを整えることはできます。
 
 オンラインではできません。だから進め方が大事です。


自戒を込めて、これらを心に刻みながらtipsを書いていきます…

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tips1.どちらか決める。伝達?双方向?

"授業"=伝達。"学習"=双方向だとして。
どちらかだけに絞る。双方向なら伝達は諦める。

双方向の活動に必要な共有事項は、本当に短く、見やすく、分かりやすく、テンポよく。
(スライド1~2枚、最大3分くらいが限度か)

"授業"=伝達が悪いなんてことないです。でも伝達は伝達でやり方があるのです。


tips2.早く本題に入る

①人の集中はとにかく短いからです。
自己紹介も、全員に聞かない方がよいのでは。4~5人目くらいから空気がドロッとして、”聞いているフリ”が目的になりやすいです。

※本題に関わるスモールトークを入れる、などは大事だと思います。

②双方向の活動を入れると、高確率で時間が足りなくなるからです。
でもそれは予想以上に盛り上がった証拠で、嬉しいこと

最後に駆け足で伝えないと!となるのが嫌なら、初めから伝達スタイルを選ぶ。その方が設計しやすいです。駆け足で伝えると結局伝わらないし…


tips3.大事なことは常に掲示する

オンラインだと特に、話が流れていきやすいからです。

進め方、何を考えてほしいのか、言葉の定義、情報提供…。教室の黒板のように、見たい時に参照できる状況にしたい。
大事なことは、画面の端に常に載せてあるイメージ。
(だから1枚が限度ですね)

KP法のように紙を画面に写すのも一つです。ZOOMであればPCとスマートフォンの2台で入り、1台の名前を下のように変えることで代用できます。

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tips4.音声とチャット、役割を分ける

参加者は基本ミュート、音声は講師だけになりますよね。その音声は進行の言葉が多くなります。

つまり子ども達がもつコミュニケーションは、チャットと表情に限定されます。文字・視覚情報で子ども達が”つぶやき”を出せるようにする。それが盛り上がるかどうかの肝。

チャットで、あるいは紙にペンで書いて表示してもらう。講師が音声でそれに反応する。文字のやり取りがどんどん盛り上がっていく…。

チャットが音声をリードする。これを、オンライン学習の活気を測る指標にできそうです(同じ記事ばかりで恐縮ですが)。

スマホの音声認識能力が上がれば、タイピングが苦手な子や低学年の子も参加できるようになりますね。

(低学年の参加者が多いのなら、書く時間をとる、絵もOKと伝えるようにする、言ってもらって代わりに書く…など出来そうです)


tips5.ブレストの時間を入れる、ツールを使う

上述の通り、文字ベース・視覚情報のやり取りがカギになりそうです。

チャットなど文字のやり取りが活発化すると、Aさんの反応にBさんが反応、また誰かが反応、講師はそれを促進・交通整理…という形になります。

つまりブレスト的に、そこで生まれるものを楽しむことになります。その方向に振り切っちゃいましょう。何が生まれるか。
だから初めに書いたように、そこで生まれるもの、その子が感じたことが「学び」の中身になってくるのです。

・文字や視覚情報ベース
・ブレスト的にそこで生まれるものを楽しむ
適したツールを組み込むことで、これらを促進できます。

例えばメンチメーター。子ども達がKP法的に紙に書くことも出来ます。
ミニホワイトボードを参加者それぞれが持っていたら絶対に便利ですよね。

賛成と反対、意見と意見の距離。それらが見えること。
付け足していいよ、変えてもいいよと伝えること。
そうすることで、「あなたが感じたことが、あなたの学びだよ」と言える場が出来ていくのだと思います。

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ここ、個人的にすごく大事。

僕は”ブレスト”こそが人と人が一緒にいる意味、少し大げさに言えばその人が存在する意味、つまり人権だと思っています。

追々そのことも書いていけたら。


tips6.人数の問題を考える(どうすればよいのか…)

文字・視覚情報のやり取りをする上でちょうどよい人数がありそうです。

ZOOMだとギャラリービューで一覧できるのが最大25人。
(設定を変えれば50人もいけるようですが、実用的ではない印象)

ブレイクアウトルームにすると各部屋の人数も、進行も気にかかる。
(経験上、6人以上だと意見のかみ合いや双発は難しくなると思います)

ここはまだ見えていないところです。

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「学び」ってなんだろう

そんな問いがずっと頭にあります。教員時代から。

その子が何かを感じる、そのきっかけに誰かの意見がある。
おかげで5分前に考えてもいなかったことに出逢えた。だから互いの存在に意味がある。

そこで感じた事、気付き、変化、やってみよう、そうなんだ、同じだという気持ち。それらはオトナが限定できるものではない。
だから、その子が感じたことを「学び」と呼んでよい場が大事なのではないか。

やっぱりこれが、僕の学び観なんだよなあと、この記事を書いて思います。
オンラインもオフラインも手にすることは、その実現を助けてくれそうな気がしています。


書いた以外にもある、オンライン学習の可能性

これから研究していきたいテーマたちです。箇条書きだけ…

・オフラインの代替ではなくオンラインならではの価値

・オンラインとオフラインのハイブリッド

・オンラインのリアル会場参加感、手触り感、全員が特等席→オンラインの方がやりやすい授業もある、普段見られない視点・近さで見られる

・オフラインだと会場近くの人しか行けない、オンラインだと地球がフィールド、時差対応するために敢えて夜の回を作るなども出来る

・子どもの声で内容が変化していく

・目線が与える影響、自分と講師と参加者が並列に並んでいる

・ツールの使い分け ①ZOOM ミーティング→一番近い、やり取りしやすい ②ウェビナー→最大1000人双方向型会場、受け身が少し強いが指定されればやり取りできる ③Youtube配信→TVを見る感じに近い、コメントを書くことはできる、定員無制限


お読みいただき有難うございました!

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