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そろそろ「パン屋の二代目」は出てくるので。大塚明夫と、『アリスと蔵六』について

ひとまず「銀英伝参り」もフェザーン方面に参りました
ので、そろそろ「パン屋の二代目」チュン・ウー・チェン
は出てくるところでございます(なんとか一章までは突破
したのでオリジナルの理論展開までは来ました)。

チュン・ウー・チェンといえば◆大塚明夫[江崎→マウス]
以外には考えられない世代ですので、ぼちぼち大塚明夫氏と
少し前に話題となった「声優魂」(星界社新書)に関しての
本質と、私はあんまり大塚明夫氏が参戦してきた作品の本流
(周夫氏の持ち役を継いだ『忍たま』とかスネークとか)
に触れていないので(『ナディア』のネモ船長くらいかなあ)
個人的に推しておきたい過去の作品へとシームレスに語れる
のであればいいかなあと。

もともとよくネットで引用されていたのは選民思想の思惑
たっぷりなTK(とダイヤモンド社は大概腐臭に似たオードゥル
を放ちすぎ)なので、あくまでも元本を通読しての感想のみ
コミコミで、と。

簡潔に大塚明夫氏の主張をまとめれば、昔の事務所(江崎
プロ時代)は声質が似てるから、といふ理由で納谷六朗を守る
ために(侍ジャイアンツで一緒にやってた)富山敬の事務所入り
を断ったこともある事務所だった。

 けれども実父・大塚周夫氏の紹介で(しっかりとしたコネで)
ちゃんと音響監督廻りの紹介を納谷六朗の家族(六朗氏を含め
2014年に亡くなるまで親身にしてくれた光枝(納谷光枝ないしは
小野光枝)氏に、根っからのマネージャー体質で、光枝氏
亡き後一度はマウスプロモーションを継いだが、現場に戻りたくて
後継を立てて音響スタジオの主(音響監督)に戻った納谷僚介氏)
に受けた恩義を大塚明夫氏はしっかり感じ取っているから、
今の事務所(マウスプロモーション)を動くつもりは一切ない
(それはマネージャー絡みでピアレスガーベラに移籍した石田彰や
事務所が厳しい時にイチ抜けたしてフリーになった小野大輔や
六朗氏がなくなる手前でフリーとなり、ある程度は旧事務所の
メソッドで戦えたけど、3年したらブッ倒れて休業した細谷佳正
みたいにならないって決意表明でもあるけど)。

河の会(劇団三十人会,1960-1975頃)
  │(主なかつての在籍者は富山敬、雨森雅司、高橋和枝、
  │肝付兼太、青野武、納谷六朗、向井真理子、
  │加藤みどりなど)
  ├←りんどう(-1964.09解散,ここからの流れの別働隊
  │はあり、竜の会を経て1965年に事務所を作った
  │若本則昭(則夫)の師匠でもあった黒沢良はこの流れ)
  ├→劇団三十人会解散を受け設立 劇集団 劇派
  │ (1975.10-)[植田譲→中川謙二]
  ├→劇団河(1975-,兼本新吾や矢田稔がかつて所属し、
  │愛川欽也と同年の2015年に没した白川澄子も在籍)
  ├→愛川企画室(愛川欽也の個人事務所)
  └→独立 江崎プロダクション(1974.04-2000)
     │(有限会社として設立-1995株式会社化)
     │[江崎加子男]
     ├←元は同人組織として創立(1969.04-1974)
     ├(附属養成所)江崎プロダクション付属養成所
     └→組織変更 マウスプロモーション
       │(株式会社マウスプロモーション,2000-)
       │[江崎加子男→納谷光枝(小野光枝)→
       │納谷僚介→長谷川たか子]]
       ├(附属養成所)マウスプロモーション
       │付属俳優養成所
       ├録音制作部が分離独立し兄弟会社に 
       │音響制作・アフレコ・録音スタジオ
       │スタジオマウス(株式会社STUDIO MAUSU,
       │2005.03-)[納谷僚介]
       └→マネージャーの槇潤がが独立 
        ピアレスガーベラ(2011.10-)[槇潤]
        (PEARLESS GERBERA,株式会社ピアレスガーベラ)

・主な江崎末期~マウスプロモーション略年表

1999.10 井上喜久子がフリーに
2000 組織変更で株式会社江崎プロからマウスプロモーションに
2003 不祥事でトップが退いたアーツビジョンを援けに
   江崎加子男が代表取締役が会長へと退く
   小野光枝が代表取締役社長に

2005 録音制作部が分離独立し自前のアフレコスタジオ設立
   (スタジオマウス,株式会社STUDIO MAUSU)

2007.10 北村弘一が死去

2010.07 斉藤昌が死去

2011.03 「東北地方太平洋沖地震」に際して納谷光枝名義で
     公式HPにコメント発表
2011.11 マネージャーの槇潤がが独立し、石田彰も事務所を離れる
     株式会社ピアレスガーベラ設立

2014.01 納谷光枝が死去、スタジオマウスの納谷僚介が承継
2014.03 第8回声優アワードで細谷佳正が助演男優賞、
     納谷六朗が(キートン山田と共に)功労賞受賞
     その後この年のうちに細谷佳正がフリーに
2014.11 納谷六朗がラジオもどき出演を見合わせ
2014.11.01 81プロデュースに移籍していた元在籍の
      弥永和子が死去(67歳没)
2014.11.10 高倉健死去
2014.11.17 納谷六朗死去
2014.11.28 菅原文太死去

2016 小野大輔がフリーに
2017 細谷佳正が休業
2018 ゆーりんプロから杉山里穂が加入
2019 黒沢ともよが東宝芸能へ移籍
2020 シグマ・セブンから田丸篤志が加入

でもこれってコネのない声優未満の若者に薦められる道じゃ
ないしな、といふ視点で語られている話なんじゃないのかと。

確かにその視点なら肚の据わっていない、社会経験も乏しい若者は
「声優として生き残れない」と主張するのもわかるかなと。

ただ、納谷僚介氏とのやりとりがあったけど、直に事務所に
来て云々、って寝言もまたコネがちゃんとある人のやりくちだから。
それやった人の代表格はいきなり池澤夏樹の娘でギリシャ人のハーフ、
といふことで『ウエディングピーチ』のガヤから始まり、
事務所を替えて数年後には「エキセントリック少年ボーイ」
も手がけた作曲家が「1曲じゃおさまらない」とそのキャラに
3曲も付けたことで知られる現在の日本SF協会会長ですから。


といふことで、そんな大塚明夫おじいちゃんが蔵六として
紗名ちゃんにメロメロな作品がまあ個人的に推しておきたい
アニメ『アリスと蔵六』です。

さてさて、基本的にはゆにこの日常回にハズレなし。
を象徴する第6話『樫村家』こそ至高ではあるのですが、
そこに至るまでの経緯をCMでしっかり紹介した
ダイジェストCMは見つかるかな、と。

BD版のバージョン2CMが端的ですごくいい。

ダイジェスト版で行くなら、これがわかりやすい。

音楽制作■ランティス
音楽プロデューサー■佐藤純之介、臼倉竜太郎
音響監督■岩浪良和
キャスト
紗名◆大和田仁美[青二(ジュニア)](当時)
樫村蔵六◆大塚明夫[マウス]
樫村早苗◆豊崎愛生(ミュージックレイン)

一条雫◆小清水亜美[ac1](当時)
内藤竜◆大塚芳忠[クレイジーボックス]
山田のり子◆広瀬ゆうき(A応P)(サンミュージック)(当時)

“ミニーC”・タチバナ◆能登麻美子[大沢]
雛霧あさひ◆藤原夏海[アーツ]
雛霧よなが◆鬼頭明里(プロ・フィット準所属)(当時)
鬼頭浩一◆松風雅也[青二]

クレオ/敷島羽鳥◆内田秀(リンクプラン-プロ・フィット系)
美浦 歩(みほ あゆむ)◆高橋未奈美(当時)[俳協]

現状との比較で言えば、まだ鬼頭明里は準所属で、
(また谷村が匙を投げたので、岡本信彦が社長になった
ラクーン・ドッグの所属)。

大和田仁美も青二のジュニア所属、まだ主立った出役が
『SHIROBAKO』のディーゼルさんくらいしかなかった頃かと。
 いつでもどこでも小うるさいキャラに付きがちな山田を
やってた広瀬ゆうきはまだA応Pやってた頃(脱退して
からは青二のジュニア扱いなんだっけ)。
 高橋未奈美はまだエルコンドルパサーやる以前だから
まだ高橋ミナミ表記ではない、といふところが(当時)
表記の注釈になります。

(ま、小清水はね。「残念の伝道師」ですし。最近
個人事務所立ち上げたんだっけ、くらいの補足で)

W大塚揃い踏みで、第1部には番長もいる、ってところが
なんだか強そうなキャスティングなんですが。
(番長とは「おはスタ」で角田信朗と一緒に「大ちゃん
数え歌」ベースの小西康陽(ピチカート・ファイブ)
アレンジで「おはかぞえうた」歌ってた◆松風雅也[青二])

1部が原作の1・2巻準拠で、2部が3-5巻準拠。
でもアニメ版はすごく整理されてて、2部の冒頭とかも
オリジナル。あの動機付けは確かに引き込まれるし、
とっかかりとしては素晴らしい。

やっぱり大塚明夫の声で説教されると問答無用の説得力が
ある。

「いい加減にしやがれぇぇええええーっ!」

(本当にワンダーランドに説教した…)

「ワンダーランド、膨張止まりました!」

【アリスと蔵六】第12話

名言の宝庫はやはり4話か。

【アリスと蔵六】第4話 感想 蔵六に説教されたいみなさん : あにこ便

第4話『人でないモノ』
脚本:ヤスカワショウゴ 
絵コンテ:山川吉樹 演出:関田修

作画監督にかつて「日ペンの美子ちゃん」書いてた方の
佐藤元(最近は声優にも同姓同名の佐藤元がいるので)
が参加しているんだっけ。

『たしかにこの子は危なっかしい。目を離すとすぐに
騒ぎを起こす。迷惑もいいところだ』
『でもなあ そんなのは誰でもやることだろう。
間違ったら反省して次から治せばいい。それだけのことだ』
『それにこの子はメシがうまければ喜ぶし不器用なりに
人を気遣ったり顔色をうかがったりもする』
『面倒を起こしたときだって悪気があって何かしたことは
一度もなかったよ。紗名はそういう子だ。ちゃんと心がある』
「ですからそういう個人レベルの話ではないのです。
そもそもあなたは彼女をどうこうできる立場ではないと…」
『聞けよ 年寄りの話だ』

第4話『人でないモノ』

やっぱり大塚明夫の声で説教は身に沁みてくる。

『俺たちはどのみち皆どっかしら不完全だ。皆それぞれ一人だとわからないことやできないことがあって持たれ合ってなんとかやってる』
『あんただってそうじゃないのかい』
『…なぁ この子がもしお前さんの言うとおりエイリアンみたいなものだとしてそれは本当に問題なのかね?』
『一緒にやってくことは本当にできんのかね』
「はぁ……」

第4話『人でないモノ』

矢張り肚の据わり方と年季が違う。

『なぁ…蔵六。私は人間じゃないんだぞ。
お前にすごい迷惑かけるんだぞ。早苗にもだぞ』
『だからどうした。お前が何者だろうとしんどい時は
誰かと一緒に居るもんだ。無理すんな紗名』
『だいたいな どんな理屈があろうとこんな乱暴な連中の
ところに居てやる道理はない』
『外に何があるのか見たくて出てきたんだろう?
だったらそうしろ。言ったことは曲げるな』
『俺はな 曲がったことが大嫌いなんだ』

第4話『人でないモノ』

つまらない政治力でコロコロ替わってしかも
そのカットの仕方に愛がない「金ロー」垂れ流してる
ならサッサと【アリスと蔵六】の1部再構成して
流した方が人気出るんじゃね?とは思いますが、
そこまでの気が少しでも廻るなら、日テレが
本質的に小バカにされる数々の悪業を引き起こしては
いないでしょう、とも思えるのですが。

まあこうした荒事の1部と迷い事(もしゃもしゃ)
の2部の間にゆにこ脚本が挟まってる構成も整ってて
好きなのがアニメ『アリスと蔵六』なのでした。

(紗名のストレートな「ちゃんとしたものになりたい」
は効き過ぎるのでゆっくりと耳を塞ぎつつ)