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「オトナ帝国」が過去と未来を繋ぐのはラストのセリフにしんちゃん◆矢島晶子の「ずるいぞ!」があるから、なわけで

ではひとまず書き纏めるには大きすぎるネタではある
「オトナ帝国」こと「嵐を呼(よ)ぶ モーレツ!
オトナ帝国の逆襲」。

いくつかnoteで書かれている感想等も観たのですが
下の世代の感想と浅い部分が多いので、少しは深い
部分を伝えることが出来ればなあ、と思ってそろそろ
筆を進めている感じですが(まあ確かに過去にあった
映画クレしんフォルダのコメントが火を噴くぜ、な
一面も隠せるワケはないのですが)。


診断の私的ポイントは沁みる名言の数々。

「ねえとうちゃん、オラがわかる?」
をはじめとして名言は数々。
スタッフが頑として削らなかった、といふ
「バー・カスカビアン」のシークエンスはやはり
必見かな、と。

ただ、「イエスタディ・ワンスモア」を
カーペンターズの曲!とだけ一点突破している人のも
観てしまったので、「それだけじゃないだろう」は
出さないと流石にまずかろうと。

そのものズバリ「イエスタディ・ワンスモア」といふ
小説があるんですわな。小林信彦の名作。

これには続編があって、忌野清志郎や宇多田ヒカル、
椎名林檎ら数多くのアーティストが救おうとした
東芝EMIはどうして(何もしなかったアレによって)
あえなく潰えていったかの元兇が、この本を読めば
理解出来る(そこのヒロインがさんざその人を罵倒して
いるのですぐわかる)、ってのもあり私は大好きなの
ですがそのエピソードについてはまた別口で。
(小林信彦「ミート・ザ・ビートルズ~イエスタディ・
ワンスモア Part2~」[新潮文庫]ってヤツですが)

●スタッフ&キャスト
はWEBアニメスタイルのメインデータがそこそこ
使えるから、そこから切り出しのピックアップをして
調えてみるか。

監督・脚本/原恵一
絵コンテ/原恵一、水島努
演出/水島努
クレジットはそうなってますが、これはこうクレジット
しないと「ギャラが発生しない」といふことからの方便、
と云われています。
 だから実質的にはブレスト(ブレインストーミング)を
経て(プレゼン含めた話で原恵一氏は結局5時間近く
万博の話をしていたそうな。むろんそのくらいの熱量が
ある、といふことは「アニメージュ」を完売させた
「おそ松さん」やモデルグラフィックスを完売させた
「ガルパン」のように説得力と信頼がある、と)
いきなり絵コンテレベルに落として原恵一側と水島努側
から摺り合わせて作っていった、とは云われている処。

ねんどアニメ/石田卓也
「ダメダメのうた」
作詞/LADY Q、作曲/LADY Q、編曲/森俊也、
歌/LADY Q&しんのすけ、みさえ(キングレコード)

この時期のテレビシリーズ主題歌がOP。「ポリンキー」
などのCMなどで知られた石田卓也氏がクレイアニメを
担当しているのはいいのですが、問題は主題歌自体。

なまじっかこの頃某学院にいた為、既に線画にもなって
なかった恐怖のアフレコ用映像を見てしまった経験が
あるので(で制作会社が潰れて打ち切り、だっけ)、
なんか素直に受け取れない感情が蟠(わだかま)るの
ですけどどうしても。

音楽/荒川敏行、浜口史郎
音楽協力/イマジン、斉藤裕二

以前田中公平氏にも「クレしん」音楽のオファーが
あって、それを蹴ってしまったばっかりに同じ事務所
(「イマジン」)の荒川氏にお鉢がまわった、って話も
あったけど。
 なのでイマジンがメイン協力。浜口史郎氏も参加されて
いるので、このラインは水島努ルートで『おおきく振り
かぶって』『SHIROBAKO』と繋がっていくのだけど。

https://togetter.com/li/779913

銀之助◆松尾銀三[最後は銀プロ]

松尾銀三さんはこの映画が遺作になります。「どれみ」
シリーズのオヤジーデなどでも有名な声優さんでしたが
この作品が遺作となり、松尾銀三さんの実家とされて
いた「チロルチョコ」の松尾製菓がTVシリーズの
スポンサーを降りた、とも云われております。
(銀之助を引き継いだのは◆チョー[俳協])

「元気でいてね」
作詞/白峰美津子、作曲/岩崎元是、編曲/岩崎元是、
歌/こばやしさちこ(日本コロムビア株式会社)

EDは2つ並べて流れますけど、ED扱いは小林幸子の方で
「今日までそして明日から」
歌/吉田拓郎、詞・曲/吉田拓郎

はIS(挿入歌)扱いなのがいかにも。

協力/日本万国博覧会記念協会
原恵一氏が結局5時間近く万博の話をしていた、そして
その後も話してるスタッフ達がなかなか帰ろうとしなかった
といふ強いエピソードを持つだけに、別の異称として
「最強の万博映画」と言われているのは納得。そのお墨
付きに近い形で日本万国博覧会記念協会のクレジットが
あるところにまた一つ意味があるのかなと。

まあ現在・過去・未来の位相を超越する何かがこうも
刺さる「オトナ帝国」に何故あるのか、といえば、
これはもう当時の証言にある通り、

「オトナ」とか、キャストとスタッフが収録中にマジ泣き
してるっていうからね

なことから、これはやはり共通して通底しているのは
アニメ『ウマ娘』の第2期と同様のムーブメントと
理解力、ってことなのでしょう。

その解釈を一層複雑にしながら繋ぎ止めているコトバを
一言で現すとおそらくそれはラストのセリフにしんちゃん
◆矢島晶子の「ずるいぞ!」があるから、なのかなと。
(これもまた幾重にも解釈出来る表現でありかつ主張の
一つでもあるから、かと)

で、最後は背景(背景動画)込みで東京タワーを駆け上がる
しんちゃんについて一供養。
迫力あるこのシーンを担当したのが後に京都アニメーション
で指導役となった(そして例の放火事件で亡くなられた)
木上益治(きがみよしじ)取締役(別名義だと三好一郎)
氏の仕事と言われております。その熱量と共にまた合掌
したくもある何かがあのシーンにはあるのですが。

といふあたりで「オトナ帝国」を自分なりに書き纏めて
みました。

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