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『ペリーヌ物語』をざっくりと語ってはみるか。

ともあれ、馬車が移動手段といい、多分に「家なき娘」で、
母への思慕と別れもある、ってことで「銀砂糖師」こと、
『シュガーアップル・フェアリーテイル』に『ペリーヌ物語』
へのオマージュがあるのかな、ってことでこの際『ペリーヌ
物語』をざっくりと語ってはみるか、と。

とりあえず何本かアニメは観られたからこのあたりで一本に
仕上げよう。記事が書けたら風呂焚いて入るか。ただ『吸血鬼
すぐ死ぬ(二期)』のCパートは創作のモチベーションと
SAN値を削る魔物だから一本書くまでに観るのはBパート
までにしておきな。|torov|note

日曜夜7時半の枠はもともと『ムーミン(旧)』からカウント
する史料もままあるんだけど、『新ムーミン』でりんたろうが
おだちまくってトーベ・ヤンソンの信用を失くし(まあこれは
最終的に『とんがり帽子のメモル』にスナフキンリスペクトな
リュックマンを出した名倉靖博氏が『あひるのクワック』を
やってた頃来日したトーベ・ヤンソンと対談するなどしてとり
なし、やがて地獄のスナフキンが爆誕する『楽しいムーミン
一家』へと継承されるわけですが)。

近い時代の名倉靖博さんの仕事と言えばアニメ『3月のライオン』
EDで使われた{ORION}(米津玄師)のアニメーションを
担当したことなどで知られています。

 なお、この余波に関しては以前まとめてあったから、そちら
を引いてはみる。

>虫プロの72年版『新ムーミン』にも、トーベ・ヤンソンは満足
>せず、1992年くらいから以後は日本ですら再放送を自粛する
>という形になってしまいました。

上の名倉さんとの対談時にも出て来ていて、その後覚書的にそう
なった、って話なのですが。

まあ初期のおおすみ正秋版(人形劇出身の演出家で、ムーミンの
恋人役にアイヌ語源(花、の意)からノンノと付けたのはこの人)
はともかく、『新ムーミン』でやりたい放題やらかしていた
りんたろうの悪業をトーベ・ヤンソンが許さなかった、って一事
だけでもこの場合はむしろ「適切」だったな、といふのが当方の
見解、ってヤツになるのかなと。

(まあ岸田今日子も広川太一郎も高木均も主題歌歌ってた藤田淑子
も亡くなっている世界で、かつ「親と子のフジテレビ」もとうに
喪われた現状でそのテの我儘が通らなくなるのは、至極必然なの
かなあと)

典型的な日本海側特有の花曇り日和(別名自転車日和,2019.06)

まあ日本アニメーション制作に固まってからだと4作目になる。
(『フランダースの犬』『母をたずねて三千里』『あらいぐま
ラスカル』と来て『ペリーヌ物語』。次が『赤毛のアン』)

日本アニメーション、という「母艦」で考えると、かなりの
爛熟期にあたる作品。
 まあ考えて観ればそうだろう。正月に始まり大晦日に終わる
全53回、という金字塔みたいに律儀なプログラムコンテンツ
ではあったのだから。

 これは結局カルピス名作劇場と「スター千一夜」をゴールデン
タイムに配置していた「母と子のフジテレビ」が爛熟していた
時期ならではの出来事だったと見るべきなのだろう。

 一方で日本アニメーションも人が増え過ぎて作品を多数廻す
ようになり、宮崎駿は『未来少年コナン』、高畑勲は2話ほど
コンテ切った後次回作の『赤毛のアン』の為に離脱、1000本斬り
コンテマン時代の富野由悠季(当時の表記だと「とみの喜幸」)
だけが53本中10本のコンテを切っている。
 当初起用される予定だった(朝ドラ「なつぞら」ヒロインの
モデルだった人の夫でもあった(でも「なつぞら」に出て来た
夫は多分に高畑勲オマージュだよなあ))小田部羊一氏は、
「マンネリ」を理由に辞退して退社してしまった時期。

 なので主力スタッフの体制はこんな構成か。

監督●斎藤博、腰繁男(補佐)
プロデューサー●中島順三、松土隆二
脚本●宮崎晃、加藤盟(補佐)、佐藤嘉助(補佐)
絵コンテ●斎藤博(1・4・13・36・42話)、
とみの喜幸(2・5・9・11・19・30・38・41・
45・48話)、
高畑勲(3・6話)、
黒田昌郎(7・16・18・21・23・26・29・37話)、
池野文雄(8・10・12・14・15・17・20・22・
24・25・27・28・31~35・43・44・46・
47・49~53話)
キャラデザ●関修一
作画監督●小川隆雄、桜井美知代、村田耕一、百瀬義行
音楽●渡辺岳夫
音響監督●浦上靖夫
企画●佐藤昭司

 いわゆるこの頃若手主体な日本アニメーションのメンツで
『牧場の少女カトリ』と『あひるのクワック』を経て、会社を
またぐが(テレスクリーン時代迄だが)『楽しいムーミン一家』
までのラインである程度構成されている、とも観ることが出来る。

https://m.youtube.com/watch?v=YiHSMnpezMU

一応かつて何処かに投下したメモが出て来た。『ペリーヌ物語』
の魅力をいくつか記してあるようだ。

>ペリーヌ物語
なかなかいいですよね。しかも本放送は正月から大晦日まで
やった作品だとか(名作劇場の1年スパンとしては最長の53話ある)。
また「寅さん」の脚本もやっていた宮崎晃氏の圧倒的な脚本による
構成力と説得力の高さを知る上でも重要な作品だと私は思っています。
(なんといっても椎名高志がこの作品を幼少に見ていたお陰で
「GS美神」の主役がペリーヌ役の鶴ひろみになった、といふくらい
影響はあったようですし)

宮崎晃氏は数年前の暮れに亡くなられたのですが(2018年の11月だっけ)
『牧場の少女カトリ』『あひるのクワック』『楽しいムーミン一家』
以外だとスタジオぴえろ仮想中華風ファンタジーの礎になった作品
でもある酒見賢一「後宮小説」を原作にした『雲風』こと『雲のように
風のように』くらい。だったので、それに渇望してたので、一時期は
遡って『ペリーヌ物語』にまで手を出していたのでした。


>遠回しにただ甥で重役なだけのテオドール 
がこの頃出たての銀河万丈が本名の田中崇で出ているのも何気に
ポイント高いし。

まあテオドールの発声自体がテレビシリーズで観るとそんなに安定
していないな、と思ったらまだ銀河万丈が田中崇時代だったので、
それは後から考えてみると納得だった、と。
まあペリーヌやってた鶴ひろみだって、この頃は子役から上がった
ばかりの頃でまだ表記も「あめかんむり」がある時期でしたからねえ。

 で、ちょっとだけ冒頭の方に「家なき娘」と書きましたが、
これが『ペリーヌ物語』の原作。むろんエクトル・マロなんで、
同時代にアニメ化された出崎アニメの名作『家なき子』と同じ作者。
で、リベンジかけたらここの枠での最終作になった『家なき子レミ』
も含めてある意味意趣めいた競作の香りがしてるあたりなのもまあ
後代から観れば「時代の相克と相違とすれ違い」だなと。

 ってことで、あと一つこの作品にも参加していた山内昇寿郎さん
の話題でも突っ込もうかと思っていたけど、まあこのあたりにしますか。
そっちは『私がおじゃる丸をシリーズで常時録画しなくなった理由』
とかで。
 『ペリーヌ物語』をざっくりと語ってはみるか、でした。

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