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追憶 〈詩〉

夜中にふと目が覚めたから
あなたの肌に触れて息をした

心臓の音が手を伝ってくる
私を生かすリズム
いつかどうやっても別れが来るなら
今の幸せのまま溶けてしまいたい

あなたの湿った肌や柔らかい髪の毛
確かに触れられるのに留めてはおけない

すべてを覚えていたいのに
指の間こぼれていく何気ない記憶
あなたが大切にしてくれたことも
愛しさを帯びた眼差しも
必ず忘れてしまうだろう

ずっと続くと信じられるほど子どもじゃない
なりふり構わず手に入れるほど大人じゃない

グラデーションの上で心を通わせた2人は
初夏の空気のようにさらっと別れた
また会うかのようにさらっと別れた

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