とらや、赤坂店の美備録
「日本人は、本来こうあるべきだ。」
虎や赤坂店菓寮。資本主義の波に揉まれた就活生が忘れいた、本来の日本人の文化精神を引き出してくれた場所。
和菓子 〜回雲〜
つぎからつぎに口へ入れる洋菓子と違い、和菓子は長い時間をかせて味、空間、時間をたのしむ。五感をフルに使い、全身で使い、記憶に残る。押切ったひと口を、高楊枝の先で刺す。口に運ぶ。また押し切って刺す。
器の黒に映える、というより黒が映えている。
(普段このサイズの食べ物は一、ニ口で行っちゃうよなあ。)
抹茶
抹茶をすする。あのざらざら感がない。心地よい苦味と軽い泡がしばらく留まって、落ちる。減らない菓子。残された器のめりめりとはじけ落ち揺れる泡。(動詞が三つもならんだ)
たった一つの和菓子と、お抹茶をいただくのにかかった、時、に馳せていたい。そこで想い出す。
ぽってりかわいらしい和菓子のひとつや、途中で出逢った胡桃、ときたての抹茶のあわ、客が各々和らぐあの空間。お久しぶりです、お元気でしたか、と若い女性店員が話しかける。そうか、ここには常連もいるものなのか。そういうのはてっきりこじんまり飲食店だけのコミュニティだと思っていたがこんなところでも。丁寧な接客。
空間
建築の木の匂い。窓の外から雨の匂い。窓側に向けられた席。店内空間を楽しみたかったのに、キョロキョロするわけにもいかずずっと窓の外の景色を見ておりました。
コロナで窓が空いていなかったら、車の音は聞こえなかった。外から遮断された世界、、、もっと閉ざされた世界だったのかもしれないなあ。
日本は美しいなあ。
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