でんせつは　はじまった

高校卒業後
某大手ボールペンメーカーの資材部に就職した。
入って早々に
その年の同期全員、
新商品を都内のデパートで販売することが決定した(二週間限定で)
私は上野担当になった。

お弁当を買いにきた人に売る。というのは高校生の頃バイトでしていた
でも
人に商品を勧めて買ってもらう。なんてことは初めてだ。

こちらから話しかけないと素通りされてしまう。

うまく声もでないしなにより恥ずかしい
どの様に声かけしたらいいかもわからない
全然、売れない.....

蚊の鳴くような声しかでない
向かいにいるデパート店員さんが
こちらをちらちら見ながら笑っているようだ
恥ずかしさで顔が真っ赤になり
悲しくなってきた
帰りたい。。。

涙が一粒こぼれたのが合図かのように
とめどなく流れてくる
ぬぐってもぬぐっても。
鼻水まででてきてしまった
トイレにかけこみ
涙を拭いた。
目が真っ赤だ。

すると、
そんな重苦しい雰囲気の
販売員に
なぜだか、おじさんたちが足を止めて優しく話しかけてくれる
千円もするボールペンを買ってくれた。

カードタイプのボールペン&シャープペンで
見た目がカードで珍しかったのもある。

でも
泣きながら販売している人なんて
たぶん見たことがないだろう

まだ18才の私は
泣きながらでも完売することができた。

とろは　なきおとしを　おぼえた。
とろは　レベル10に　あがった。
(ドラクエ風に言うと笑)

そして　でんせつは　はじまった！