見出し画像

『Das ist Sapporoとは何か』【北海道コンサドーレ札幌観戦日記】

Twitterを日常的に使わなくなった今、どうやって思っていることをアウトプットをしようか考えた結果、試合の感想を日記にしてみようという考えに至りました。マッチレビューとかではありません。ご了承下さい。

5-1で大勝したFC東京戦に続き、今節湘南ベルマーレ戦も4-2と大量得点で勝利しました。逆転された時はどうなることかと思いましたが、そこからの再逆転劇は見事なものでした。

ところで、湘南戦後にミハイロ・ペトロヴィッチ監督(以後ミシャ)が「Das ist Sapporo!(これぞ札幌!)」と発したのが少々話題になっているみたいですね。確かに、この攻撃力からはミシャサッカーの真髄をひしひしと感じます。

ちょうど良い機会なので、今回は湘南戦を振り返りつつ、今年の北海道コンサドーレ札幌のサッカーについて掘り下げていこうかなと思います。

浅野雄也加入による2トップの復活

今季の札幌でまず目につくのが、サンフレッチェ広島から新たに加入した浅野雄也だと思います。単純なスピードだけでなく、俊敏性や技術力も兼ね備えたこのシャドーストライカーは、リーグ戦13試合で7得点2アシストという素晴らしい結果を残しています。

彼、そして札幌にとって転機となったのが小柏剛との2トップの採用でした。

これまでのミシャサッカーは、CFにポストワークが得意な選手を配置し、スピードやドリブルに秀でたシャドー2枚を生かすというスタイルでした。そのため、CFは非常に重要なポジションとなります。これまでもジェイ・ボスロイドやアンデルソン・ロペス、興梠慎三といったリーグ屈指の選手たちがこの役割を務めていました。今季も元韓国代表であるキム・ゴンヒという優秀なFWが在籍しており、彼を中心に攻撃を組み立てていくものと思われていました。

しかし、第3節アルビレックス新潟戦後に負傷離脱。第6節川崎フロンターレ戦で復帰するも第9節のアビスパ福岡戦のファールによりまたしても負傷。左膝内側側副靭帯損傷、右足関節捻挫という大怪我を負い、終盤戦頃までの離脱が確定してしまいました。

そんな中、第4節の横浜F・マリノス戦でお披露目されたのがこの2トップでした。ミシャ就任以降では2019年の前半戦に鈴木武蔵とアンデルソン・ロペスを起用して以来の採用だったので、我々サポーターの多くが驚いたものと思います。

札幌の2トップはトップ下に配置されたドリブルやパス、キープなどのチャンスメイク力と運動量を持つ選手がタクトをふるい、スピードやパワー、駆け引きに秀でた2枚のFWがゴールに迫る形。いわばCFの役割がトップ下に移り、シャドーがより攻撃的に振る舞うフォーメーションです。

これならばCFを欠いていようともある程度攻撃の形が出来上がります。しかし、これまでは小柏しか2トップの適正を持つ選手はおらず、2019年以降このフォーメーションが日の目を見ることがありませんでした(ちなみにこれまでCFを欠いた時は0トップなどでなんとかお茶を濁して戦っていました)。

しかし、2トップの適正を持つ浅野の加入でこの状況は変わったわけです。

2トップの採用のメリットはシンプルに1つ。速攻の強化です。これは2019年も同じで、スピードとパワー、そして決定力を持つ武蔵とロペスの能力を最大化するために採用されていました。彼らが生きるスペースを作るために自陣に引きこもったりもしてましたね。オールコートマンツーマンからのショートカウンターやオープン合戦による殴り合いを狙う札幌にとって、相性の良いフォーメーションといえるでしょう。

小柏と浅野というスピードと技術を持ち、得点にも関与できる2人が最前線に立つ事で、札幌の攻撃力は飛躍的に高まりました。フットボールラボによると、ゴール期待値はリーグ4位、チャンス構築率はリーグ6位と高い水準を記録。得点数はなんとリーグ1位となっています。

浅野を中心とした選手たちの決定力が向上したのが2トップ採用によるものかは分かりません。ただ、2トップを採用した試合で浅野が4得点、小柏が3得点3アシストと結果を残していることから、何かしらの影響はあるのかもしれません。

湘南戦でも浅野1得点、小柏1得点1アシストと2トップを中心に結果を残しました。福岡や鹿島アントラーズのようにスペースを消してくるチームには苦戦を強いられるかもしれません。ただ、そうしたチーム以外から勝点を奪い取れば目標の一桁準備も十分狙うことができるでしょう。

小柏と浅野が負傷離脱する事なく、現在の2トップが長続きすることを祈ります。

プレッシングの成熟

今季の札幌の何が変わったかと聞かれれば、多くの人は「決定力が上がった」とか「選手のレベルが上がった」と答えるでしょう。ただ、私は今季一番の変化はプレッシングだと答えます。

湘南戦でも見られたように、今季の札幌はボール保持とマンツーマンプレスでビルドアップを試みる相手をカウンターの餌食とします。手順はいくつかありますが単純なものです。 

なんならの手段で相手を押し込む
(裏抜きロングボールポゼッションなどなんでも可)
→敵陣でボールを失う

→相手がロングボールを選択→1.へ

→相手がショートパスを選択→2.へ

  1. 岡村大八が競り勝ってボールを回収。相手の布陣が乱れていれば素早くカウンター、カウンターが難しければ再びボール保持へ。

  2. ボールホルダーがスペースを見つける前に周囲の選手ごと囲い込んで、選択肢と時間とスペースを根こそぎ奪う→ボールを奪い返してショートカウンター、難しければ再びボール保持へ。

はっきり言えば、構造自体は昨季までと大きく変わりません。しかし、この"即時奪還"が今季の大きな肝です。昨季は興梠やガブリエル・シャビエルなど、攻撃面で大きなクオリティを発揮するものの、守備面では運動量不足からマンツーマンに適応しきれない選手が何人かいました。しかし、今季は前述した小柏や浅野、青木、駒井、金子などのアジリティと運動量を兼ね備えた選手が前線に揃い、攻守において高いクオリティを発揮しています。

今季、特にここ数試合の得点の多くがこの敵陣からの即時奪還、所謂ゲーゲンプレスから生まれています。湘南戦では1点目と3点目がそうですね。

またしてもフットボールラボからですが、いくつかデータを見てみましょう。

「プレス開始時から5秒以内に攻撃を終了させる」ハイプレスではこれまでのシーズンと比較しても高い成功率を誇ります。また、コンパクトネスにおいてもマンツーマン導入以降最もコンパクトな陣形となっており、間延びせずハイラインを保てていることが伺えます。

https://www.football-lab.jp/sapp/style/?s=63

守備成功率…ハイプレス後5秒以内に相手の攻撃がシュートまで至ることなく終了した割合。

https://www.football-lab.jp/sapp/style/?s=61

ショートカウンターとロングカウンターの指数はそれぞれリーグ2位と3位。ショートカウンター時のゴール率に関してもリーグ一位と堂々たる記録を残しています。

数字や得点の面から見ても、札幌のプレスは間違いなく成熟してきています。前述した2トップと合わせた破壊力は抜群。ボール保持を主体とするチームは札幌を天敵として認識していることでしょう。

金子を中心とした現有戦力の活躍

現在の札幌を語るにおいて金子拓郎の存在は欠かせません。カットインや右斜め45度からのコントロールシュートなどの武器を持つ評価の高い選手でしたが、左足を切られた際の選択肢の少なさや周囲との連携に課題が見受けられました。

しかし、今季はこれらの課題を克服して覚醒。左足を切られようと大外からペナルティエリアを深くえぐると、利き足ではない右足から精度の高いクロスを折り返し、得点を演出する。湘南戦でもこの形から駒井善成の先制弾をアシストした。また、サイドでコンビを組む田中駿汰とのコンビネーションも成熟してきた。ボールを持った際の優先順位は変わらずドリブルだが、その選択肢を削がれた際は相手を引きつけてシンプルに駿汰に使う。そこからのアーリークロスやポケット侵入でさらに好機を演出することができるようになった。

金子のスタッツは13試合5ゴール3アシスト。ドリブル数、クロス数、それらの成功率でもリーグ屈指の数字を残しているらしく、「覚醒した」と言われるのにも納得です。

今夏には鈴木武蔵、檀崎竜孔に続く札幌からの欧州移籍の可能性もあるかもしれません。

また、彼以外にも守備の要である岡村や駿汰、ボランチにコンバートされた福森晃斗、鉄人菅大輝など、昨季以上に活躍している現有戦力たちが数多くいます。彼らがより成長し、札幌を高みに導いてくれると期待したいです。

感想

結局試合の感想ほとんど書けずじまいや...

なのでここに書きます。FC東京戦と同じく押し込んでプレスしてボコってお終いというようなゲームでしたが、今回は2点取られて一時逆転されたのが痛かったですね。特に2点目なんて一度奪い返すもセカンドボールを回収しきれずに決められるという展開でしたし、甘さが出てしまったと思います。それでも3点取って再逆転したのは見事としか言えません。失点数もリーグトップクラスに多いのが今の札幌ですから、修正に期待します。

ここまで長々と好調の要因を書いてきましたが、あくまで個人の見解なのでそこはご了承ください。正直自分でも絶対にあってると言える自信はないです()

好調とはいいますが、ロングボール頼りのビルドアップとプレス回避、緩さが垣間見える守備、徹底的に引いてくる相手への対処法など、まだまだ課題もあります。特に今の札幌は小柏と浅野の2トップだからこそ成り立っていますから、彼らがいなくなるとまた低迷の影が忍び寄ってきそうです。そこの対処法も少しずつ見出していってほしいです。

次節の京都サンガ戦はまた殴り合える相手なので金曜を楽しみに待ちましょう。自分はバイトで見れませんが...

終わり

この記事が参加している募集

サッカーを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?