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2019年ルヴァン杯決勝の想い出〜深井一希が我々に見せてくれたもの〜

サッカーの忘れられないシーンは何か。
私の脳裏には、いつも同じシーンが浮かび上がる。

ルヴァン杯決勝の深井一希の同点ゴール



あの日私は瞬きもせず、テレビにかじりついてこの試合を観ていた。エレベータークラブと揶揄され、2016年に昇格を決めるまで長くJ2を主戦場としていたコンサドーレがここまで辿り着いたという事実に、私は胸を高鳴らせずにはいられなかったのだ。

試合は前半10分に早速動きを見せる。白井のクロスがファーサイドに流れ、それに反応した菅のボレーシュートで札幌が先制点を奪った。

札幌でも戦える。

そう思わせてくれるような力強いシュートだった。しかし、そこからは札幌が押し込まれる展開が続き、前半ATに阿部のシュートで同点に追いつかれてしまう。さらに終盤の88分に小林に逆転弾を決められ、先制点の勢いを失い窮地に追い込まれた。

だが、そんな状況でも赤黒の勇者たちは諦めなかった。

後半AT。

裏に抜け出した鈴木武蔵が粘ってCKを獲得。札幌はここで点を取らなければ負けが確定してしまう状況。GKのソンユンも攻撃に参加し、ラストプレーであるCKにすべての望みを託す。福森が蹴り上げたボールは見事な曲線を描き、選手たちの元へ向かっていく。

そのボールに合わせたのは、
我らが不屈の男、深井一希だった。

彼が試合を振り出しに戻すヘディングシュートを叩き込み、試合を延長戦に持ち込んだのだ。

私はこのゴールを見た時に、今までの深井の努力が報われたような気がしてならなかった。

深井はここまで3度の前十字靭帯断裂を経験し、長い期間怪我に苦しんできた選手。靭帯の断裂は選手生命を左右するような大怪我で、中には引退を考えてしまう選手もいるほどだ。しかも深井はミシャが監督になるまで、試合に復帰するたびにこのような大怪我を繰り返していた。3度目の断裂の時に流石の本人もダメかもしれないと思ったという。


だが彼は諦めなかった。

周りからの励ましや反骨心を糧に怪我を乗り越え、ここまで上り詰めてきたのだ。 その努力が実り、2018年初めて怪我をせずにシーズンを完走。チーム最高順位である4位への躍進に一役買う活躍を見せた。

そんな諦めない彼だからこそ、チームのピンチを救うような同点ゴールを決めることが出来たのかもしれない。

試合は延長戦。

福森と小林悠のゴールでお互い一点ずつ分け合い、PK戦に突入したが、結果は4-5で札幌の敗北。あと一歩のところでタイトルを逃すこととなった。だが、我々は選手たちの最後まで戦い抜く姿、そして深井一希の精神の強さをあの試合で見ることができた。

負けはしたが、あの試合で得たものは大きかった。

心からそう思う。

あの選手たちの背中を見て私は確信した。

このチームはまだまだ強くなる。

そしてこれから強くなっていく札幌の中心となってチームを引っ張ってくれるのは深井一希。

彼に違いない。

どんな時でも諦めない不屈の心を持つ彼なら、今度こそチームをタイトルへと導いてくれると信じている。

ついに始まった2021シーズン。
札幌、そして深井一希の活躍からは目が離せない。

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