なつかし劇場/キ・キ・キンチャン
クラスに1人。いや、学年に1人はいたと思うのですが、落語で言うところの与太郎キャラが欽ちゃんです。
欽ちゃんの家は長屋みたいな平屋のアパート。
掘っ立て小屋という表現が脳裏をかすめますが、言葉に出す訳にはまいりません。
そのアパートの前で様子を伺う小生とへーちゃん。
数時間前。
学期末の最終日。欽ちゃんが病欠と言うことで、中学校のクラスで配られたプリントやらなんやらを、近所に住むへーちゃんが欽ちゃんの家に届けるよう先生に言われたのです。
本当は生徒を気遣いお見舞いも兼ねて、担任の先生が届けるべきではないかとへーちゃんは思ったそうです。
しかし、先生も人の子、断れば成績を下げる報復があるかもしれません。
渋々引き受けるへーちゃん。
でも、へーちゃんは欽ちゃんの虚言癖というか訳わからない言動が嫌で、別のクラスではありますが小生を助太刀に選んだのでした。
意を決して戸口をノックすると、すぐに欽ちゃんが出てきました。
「ごめん、ごめん。今、トンネル掘ってたからさぁ」
やべーです。
そもそも健康だし病欠の件はどうなってんのでしょう?
小学校が違うので、欽ちゃんをよく知らない小生「トンネルどこまで掘ってたの?」と欽ちゃんに問うと、
「刑務所だよ。父ちゃんが無実の罪で入ってるからね」
その後も「ボートで魚釣りに行ったらサメが引っかかって、夜通し引っ張られ気が付くとハワイで、トップレスのアグネスラムを見た」等とんでもない虚言に圧倒される小生。
欽ちゃんが大好きになりました。
その後、欽ちゃんとは1度もクラスは一緒になれず。卒業前に田舎に引っ越してしまったのですが。
へーちゃんから聞いた話をいくつか置いておきます。
給食のデザートのバナナに貼ってある青いシールを収集。
他のクラスに乱入してシールを略奪。シールは第二次世界大戦の戦闘機の撃墜マークの様に学生カバンに貼っていた。
給食の時間。麻婆豆腐の早食いが得意で、3秒で完食。食器をかかげたビクトリーポーズでおかわりし、クラスのみんなから拍手喝采を受けるも先生に禁止される。
冷蔵庫にペンギンを飼っていると言い張るが一度も見せてくれない。
これは、とある5時間目の授業中の出来事。
「うええええええん!」
突然、クラスに響きわたる欽ちゃんの泣き声。先生が驚いて理由を聞くと、
「2時間目の休み時間に、橋本くんがいじめた〜!」
3、4時間目と給食、さらに昼休みを挟んだ時間のへだたりを乗り越え、いじめられた悲しみが去来し、泣きまくるキンチャン。
思い出し笑いは聞いた事がありますが、思い出し泣きという新ジャンルを開拓した欽ちゃん。
さすがです。
最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。(*´∀`*)
鳥裸族
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