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013 内部改革は上手に外圧を利用

大企業にとって社内の改革はやたら骨が折れる。こういう時は外圧を上手に利用してみましょう。外部と上手く連携し内部を変えていく。大企業ほど、新規事業への進出や、社内改革、DX化の推進などと大きなスローガンを掲げているのですが、実は社内でそれを推進することはとても大変だという実態があります。そこでベンチャー企業の力を借りて推し進めよう!という話は枚挙に暇がありません。しかしながら、どれも上手く進まないケースが殆ど。

これらはコラボレーションプロジェクトによって解決してみてはいかがでしょうか?

1.そもそも課題を共有しないことが最大の課題

しかし、そこには大きな関門があるのです。大企業とベンチャー企業のコラボレーションで最初に躓く大きな理由として「大企業側が課題を明かさない」という問題があります。ベンチャー仲間同士のあるあるで「大企業にとってそもそも課題を共有しないことが最大の課題」という合言葉があります。思わず(笑)かもしれませんが、かなり真剣な課題なのです。と同時になかなか両者がスタートラインに立てないというジレンマでもあります。

ベンチャー企業側は、新たなソリューションで課題を解決しようとしています。もちろんそこには適合性や副作用といったまだ見えないことも内包しています。進化の途中なので当然でしょう。それをリスクとして考えるのかチャレンジとして考えるのか?この考え方のGapが以外にも大きいことに気づきます。

2.小さな失敗を気にして大きく変われない

大企業ほど守るものが多く冒険出来ない、リスクを取りたくないという守りの姿勢に入ります。それが体制を変えられない大きな理由であることは理解できます。そういった意識が大きければ大きいほど「課題」をオープンにしません。表面的な課題だけを共有したところで、本質が明らかにされないとなかなか打つ手が見えない。また、表面的で部分的な課題に対する策を講じてもなかなか根本的な改革にならず、結局浸透せずに失敗する。

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出典)日本企業のDXを阻むのは、「21の習慣病」
--アビームコンサルティング https://japan.zdnet.com/article/35160978/2/

この失敗というのは実は本質的な失敗ではなく、改革の結果を受け入れたくないとか、これまでのやり方を否定されたくないといった保守心理的な要素も大きく占めていそうです。

3.中期計画(MRP)に入れ込もう

ベンチャー側の立場では、大企業とコラボレーションプロジェクトを成立させる一つの方法として、先方のMRPに盛り込む。これは一つのポイントです。大企業側の立場で、社内でも大きな課題としてTopが認識しているのであれば、必ず中期計画に施策を埋め込まなくてはなりません。公式な経営計画に組み込まれてこそ、リソースや予算そして責任が割り振られるのですから。

中期計画が前提となるとプロジェクトの期間は概ね3-5年となります。この時間を使い、しっかりとコラボレーション計画の練り上げ、課題の共有から課題の解剖を行い策を練る。余談ではありますが、ハードウエア・デバイス系プロジェクトのOne-Coolが2~4年というのはとてもよくある期間。私個人の経験でも2~3年というのは緊張を保つのと、スピード感的に丁度良いですね。5年あればプロジェクトを2回まわせるといったイメージです。別の視点で例えば海外駐在の一拠点任期が2年、留学のワンクールが2年、車検が2年とか(笑)一つのことを完結するにあたり心と身体の両面で丁度良い期間かもしれません。

4.プロジェクトを利用しよう

先方の中期計画に盛り込むことが出来たらコラボレーションプロジェクトとして形を造る。そして大企業側のリソースとパワーを存分に利用する為に大企業側の人材をプロジェクトリーダーとして招き入れ、自分達の味方になってもらいましょう。大きな組織で活躍している人はマネジメントの経験と人脈は豊富です。この様な人材をしっかりとサポートすることで、巻き込む人数を増やしてコラボレーションの根っこを強靭にするのです。

以前のコラムでも紹介しましたが、大手企業のプロジェクトリーダーは「このプロジェクトで何が変えられたのか?」「進化したポイントは何か?」という部分をとても重要視しています。ベンチャー企業側はそこをしっかりと掴んで、プロジェクトリーダーの心に響くストーリーを提示してあげましょう。ベンチャー側の立場で言うと、丁度良い外圧となれるかどうか?といった感覚です。

大企業側にとって、ベンチャー企業が最新の技術や、流行りの手法で解決提案をすることは想定済。しかし、それだけではなく、斬新な開発プロセスや、異業種コラボによる新鮮感、スピード感、働き方など大企業内では見ることが出来ない「特異な経験」を期待しています。この会社と組んで良かった!次も新たな発見があるかも!と感じてくれたら、そのコラボレーションはかなり成功率が高いと言えます。

何故かというと、貴方のプロジェクトだけではなく、クライアント(大企業側)自身の「自分事プロジェクト」に変化したからなのです。丁度良い外圧、一つの戦術として悪くありません。



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