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012 プロジェクトは、任せて任される

唐突ではありますが、サッカーの試合で日本とドイツを比べてみると、ドイツの試合運びは無駄が無いなぁ と感じてしまいます。日本人は、毎年ドイツ人よりも354時間長く働いているのに、国民1人あたりのGDPは、ドイツよりも約13%少ないと言われています。日本の1人当たりのGDPは2018年に26位まで転落。その理由の一つとして日本人は会議と書類整理に時間を費やし過ぎと指摘されています。仕事の仕方でもやはり日本は無駄が多いと言えるのでしょうか?

周囲のコンセンサスを得ないと事を進めるのが難しい日本文化。どうしても報連相が必要で、その為の会議と書類に時間がかかるといった構造。つまりコンセンサスを得る為の時間を費やす⇒スピード感が無い⇒GDPの低下⇒働き方の改革⇒役割の詳細設定という事に今の流れに繋がっているのかもしれません。これはとても気になります。

1.任されることを意識し、任せることを学ぼう

上位下位を含め多数の人を巻き込み作業する場合、どうしても人間関係を意識しなくてはなりません。ここで問題が発生するととても非効率。よって厚い階層や強い上下関係があると細かな報連相が重要となり、なかなか効率化が進みません。

仕事をプロジェクト化してしまえばフラットな組織のため効率化が進みますが、さらに一歩進んで「コンセンサスを得る為の時間」を減らしてみましょう。それは報告書を書かない、会議を開かないといった表面的な事ではなく、任かされる、任せることです。それには相互信頼関係といった本質的な部分の見直し、つまり「信頼貯金を殖やす」事に他なりません。これは、和を重んじるという日本古来からの考え方にも通じるもので、我々日本人にとってもしっくり馴染むのではないでしょうか。

信頼貯金は仕事を効率化するというだけでなく、成果を追求する機能集団=プロジェクトを成功させるための大事な要素となるのです。その信頼関係を築くためにはちょっとしたコツがあるようです。
◆先輩から信頼を得るためには、教えを乞うこと。
◆同僚から信頼を得るためには、出し抜かないこと。
◆後輩から信頼を得るためには、見守ること。
◆外部から信頼を得るためには、Win-Winを築くこと。

そして、自分事として純粋に仕事に取り組む。

2.プロジェクトは連携プレー

プロジェクトチームでは上下組織と違い、フラットな組織になるのでお互いを尊重することがとても重要となります。これがチームプレー(連携プレー)と言えます。例えば、何かを依頼する場合にそれは「命令」ではなく、「お願い」に近いと言えるでしょう。お願いされる側はお願いする人を見ています。自分がやりたくない仕事、無茶苦茶な事を押し付けると、それは一発で見抜かれると同時に大切な信頼貯金を減らしてしまいます。サッカーで例えば「無理なパスを出しておきながら、受けられなかったのはお前が悪い」というようなもの。これではメンバー間もギクシャクするし、何よりも成果(ゴール)に繋がりません。

質の高いチームプレー(連携プレー)を演じるためには、全体を俯瞰する管制塔(監督)と、それを現場でコーディネイトするキャプテン、そして相互信頼をベースにしたプレーヤーが必要となります。残念ながら命令するだけのボスはプロジェクトの中では機能しません、必要なのはお互いの長所短所を理解したリーダーであり、キャプテンだと言えるでしょう。

そしてチームプレーのレベルをブラッシュアップさせるためにチームビルディングを行うのです。チームビルディングとは、お互いの長所短所を理解し、特性やキャラを理解し任す・任されるといった連帯感を高める為に行うものなのです。

3.連携プレーはタイミングを意識

信頼関係が築かれると、連携プレーの質が向上します。連携プレーに必要なことは、相手の理解とタイミング(時間軸)。このタイミングについて考察してみましょう。

プロジェクトがスタートすると、複数のTaskが動き始めます。各Taskは直列であったり、並列であったり様々ですが、これら全体の進行プランをまとめ上げたものがスケジュールです。「今回はこんなスピード感でいくよ。ここまで来たら、こうなるから、構えていてね」といった相互関係のタイミングを現したものと言えます。誰がいつどこで、どう絡んで最終的にゴールにたどり着くかというゲームを組み立てるストーリーの様なものです。プロジェクトのリーダーはこのストーリーを描きしっかりと伝える為に、スケジュールの調整・改定は大事な業務となります。極論ではありますが、プロジェクトの成否はこのタイミングを考慮したスケジュールの良し悪しに大きく依存するのは事実です。

ストーリーやシナリオ通りに進まない事は多々あります。そういった危機における判断も重要です。そのような時、基本となるストーリーを表現したスケジュールがしっかりと描けているという事は、管理・監視という側面だけでなく、あらゆる判断や決断をする上でとても役に立ちます。スケジュールはとても重要なのです。

具体的にプロジェクトを安全運航していく上では、スケジュール管理、フェーズ管理、チェックポイントなどといったToolや手法がありますので、これらはまた別のコラムでお話し致しましょう。













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