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ありがとさま

展示で訪れた山形での出来事。

「よぴかりになっちまうからね。夜さ寝れねーでいることよ。コーヒーとかお茶とかダメなんだ。」

自分で作った茶器を持ってきてお抹茶を点ててくれたおばあちゃん。午後四時以降にお茶を飲むとカフェインが強くて夜眠れなくなっちゃうとのこと。

「最近の若い人なんてもったいないの。なんでもすぐ途中で投げ出して。長く続けることって信頼されるってことなの。だから60年もお店やってると宣伝なんてしなくても有名な人が来るんだから。」

仕事を変えようかと相談するお客さんにきちんと道を間違えないようはっきりとお説教をする79歳の現役バーテンママさん。

「レンジ入れても大丈夫な器、入れてチンするんだ。キャベツ1枚ちぎって、玉ねぎ生でも大丈夫だから1/4くれえ入れて。余ったのは甘酢に漬けとけばいつまでも食べれっから。あとは卵落として半熟で美味しいの。ベーコンとかお肉とか動物性たんぱくも摂るの。」

肌荒れをしている女の子を見て野菜不足を指摘し心配する郁文堂書店のぶ子さん。優しい。

山形の女性はみんなカッコいい。そしてはっきり強くておせっかいなくらい優しくて。

なんでも知っていて必要なことを丁寧に、伝わるように教えてくれる。

山形の人々と過ごして思ったことは、暮らしの質が高いこと。生活がとても充実しているのだ。

その充実さはきっと場所や環境だけでなく、暮らしの密度が大切で。寒い場所特有の、果物が熟すのをじっと待ったり野菜を雪で冷やすことで美味しくさせたりする「待つこと」を楽しむことは近い未来が待ち遠しくなる過ごし方なのかもしれない。郁文堂書店ののぶ子さんの生き方は本当に素敵で理想的だ。

自分の作ったものを大切に飾ったり、体調を崩さないための過ごし方を考えたり、遠く離れる大切な人にこんなことがあったよと絶えず近況報告をきちんとしたり。

過ごす時間の使い方が、近い未来の自分が思い出して喜ぶような出来事の積み重ねでできているようでとても素敵だなと思ったのです。

土地や環境の影響もあるかもしれないけれど、気づいたことから少しずつやっていけば東京でも少し変われるかな。

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