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予防できない病になることは、新しい自分に出会うきっかけかも知れない

すぐに治る病気、命が尽きてしまう病気、一生付き合わなきゃいけない病気。
世の中には色々な病がありますが、一生付き合わなきゃいけない病気にかかることについては、悪いことばかりじゃないと思っています。場合によっては、新しい自分と出会うきっかけになると。
この記事は、最終的に私が変わることができた、病気とのお付き合いの話です。

私は、バセドウ病でした。
過去形にしてますが、この病は完治しないため、また症状が出る可能性がある寛解(かんかい)という状態です。
正式な名前は、甲状腺亢進症(こうじょうせんこうしんしょう)。
甲状腺は、脳や新陳代謝、心肺などを活性化させるホルモンを分泌して、身体を調整する器官です。
例えば、思いっきり走った後に、ドキドキしたり、息切れをするのも甲状腺が働いてます。
バセドウ病は甲状腺が働きすぎてしまい、常に体が活性化した状態になってしまいます。

私の症状がはっきり出始めたのは、5年前に北海道に転勤してきたとき。
体重がどんどん落ちていきました。
はじめは、地方生活に必須の車の購入のために食費を削ったことが原因だと思っていたのですが、その他にも症状が出始めました。
目立ったのは、急激な体力の減少、睡眠障害、イライラ。
元々、中学と高校で運動部だったため体力には自信がありました。
それがいつの間にか、平地を30分歩くだけで膝を地面について動けなくなる状態になっていました。同僚からは顔が青いと言われてしまうほどでした。
合わせて、睡眠が浅くなって2~3時間で目が覚めてしまうようになり、神経質な状態にもなっていました。のんびりで面倒くさがりな元々の状態とはかけ離れている状態でした。

なぜすぐに病院に行かなかったのかと今は後悔していますが、当時の私は病院に行くのが苦手でした。また、本心は病名を知るのが怖かったのかもしれません。
我慢し続けた結果、転勤して約3か月間で体重は約80kgから約65kgまで減少。風邪のような症状が長期間治らない状態になって、ようやく病院にいきました。

近くの病院では病気を確定できず、2時間かけて札幌の専門病院に行ってバセドウ病と診断されました。
その後、担当の先生に色々指導していただき、治療の方針を教えていただきました。
放っておくと心臓に負担がかかりすぎて、狭心症のような症状が出ていたかもしれないこと。たとえば、バセドウ病は常に運動後の様な心拍数になっていて、その上で運動を実際にすると心臓に大きな負担がかかり続けるためだということ。
今後の方針については、投薬からはじめ、効き目がなければ手術をして甲状腺の一部を切除すること。手術した場合は、ほとんどの人が一生投薬が必要だということ。薬の副作用が出て、体調を大きく損なう人もいること。

ただ、はじめの投薬で9割以上の人が症状を改善していることも教えていただきました。

衝撃と不安が私を襲いました。
自分が手術を必要とする1割になったらどうしようか。信頼できる人が近くにいない中で、1人暮らしで症状が悪化したときに大丈夫だろうか。

孤独を感じました。

泣きそうになりました。

はじめて神社で健康祈願をしました。

後日、幸いにも薬が効き、副作用も無く、手術も必要ありませんでした。
毎日薬を服用して、2週間に1度札幌に通い、約半年で数値も正常値に戻っていきました。

ただ今度は、薬によって甲状腺の働きを抑えていることからくる症状が出始めました。倦怠感やだるさです。
甲状腺が働くことで身体は活性化しますが、それを抑え過ぎてしまう症状がではじめたのです。先生曰く、これはどうしようもないことのようでした。

集中力の低下、朝に弱くなる、何となくやる気が出ない状態が続きました。

運動してごまかしながら約2年が経ち、やっと薬を飲む必要が無い状態にすることができました。

そして、現在に至ります。

この病気は色々なことを教えてくれました。
自分の「死」についてイメージさせてもらえたこと。
その時に抱く不安な状態。
人はホルモンの状態で、意図せずに性格が大きく変わること。
体力が無い人の気持ち。
前向きに生きることの大切さ。
同じような境遇の人に出会ったときに、その人の心に寄り添うためのヒント。
本当に色々なことを教わりました。
今では、健康を意識して生活するようになっています。昔と比べたら考えられないことです。

また、病気の経験者にしか本当に理解してもらうことは難しいこと。1人で立ち向かう必要があることも経験して、少し強くなれた気がします。

この病気に出会ったことで、経験したくてもできないことを私は経験できたと思います。今の自分があることと、病気になったことに感謝をしています。

もっと大変な思いをしている人はたくさんいると思います。
どうか、みなさんの心が安らかでありますように、健康を取り戻せるように祈っています。

駄文でしたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

#日記 , #バセドウ病 , #健康

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