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「会社を再建できるんですか!?カッコイイ!」とたまに言われる事があります。この一言に、救われて事業再生なんて因果な仕事を17年も続けているのかもしれません。

何も知らない人にまでスゴい!と思われるくらいには、事業再生は難しい仕事です。必要な知識も経験も多く、会社を取り巻く関係者の広範な理解と協力を取り付ける事が必須の仕事です。

その為、理論がわかっていれば会社が再建できるというものではないという所が、難しい所でもあり、面白いところでもあります。

鳥倉は認定事業再生士という資格を有しておりますが、
https://tmajapan.jp/ctp/
今回は資格試験対策という視点ではなく、始めて事業再生を学びたい、触れてみたいと思ったときに、基礎が学べて、興味も持てる、必要な心構えができるという視点で書籍を選びました。MBAで事業再生のクラスがあったら読むレベルかもしれません。

事業再生で稼ぎたいと考える人は、事業再生で必要となる“経営改善計画書”の書き方を覚えようとします。確かに、書類を作成し提出するだけでお金はもらえます。

しかし、ただそれだけで良いのであればTKCを利用している税理士さんが顧問税理士であればシステムで一瞬にして“経営改善計画書”を打ち出すことができます。

要領よく金が儲けられたら良いのでしょうか?事業再生を志すのであれば、事業を再生してこそ本物です。書類が書けることは必要条件ではありますが、十分条件ではありません。

事業再生を志すものは真に事業を再生するプロのコンサルタントである必要があります。そういう観点から今回は絞りに絞った7冊をお勧め致します。難易度が高い本もありますので、事業再生を志す方向けの選書となっています。

『戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ』三枝匡 日経ビジネス人文庫

あなたが事業再生に全く縁が無いのに勉強を始めるのであればまずこの本からが良いと思います。企業変革するためのチームの作り方、要所の抑え方が学べます。財務やコンサル思考より現場思考!事業再生の世界で生き残る古株の多くは、三枝匡に憧れて事業再生を志したものです。3部作ありますので3つとも読んで損はありませんが、最初の1冊がこの本です。

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『事業再生要諦 志と経営力-日本再生の十年に向けて-』越純一郎 商事法務

ドラマ『ハゲタカ』の柴田恭兵演じる“柴田建夫”のモデルの一人。商事法務の本なのに熱量を感じる本。現場を再建する意思や意欲を学び取るのに有用な本。日本の事業再生を作った一人と言って良い。事業再生には、内科的手法と外科的手法があるとの説明は大変わかりやすい。

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『ハゲタカ』真山仁 講談社

事業再生に関わる人なら1度は読みたい名作。NHKドラマで見ても良い、映画より連続ドラマの方がわかりやすく秀逸です。基本的に原作へ忠実、元ネタあり。債権者債務者ファンドと事業再生の中で入り乱れる関係者を上手に描いています。私はリサパートナーズで働いた事もありあの案件だなと思う話も。正しい理論だけで事業再生ができないのはなぜなのか?を垣間見させてくれます。


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『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』ゴールドラット ダイヤモンド社

事業再生は資料作りじゃない。現場の再生!再生する際の視点はいつも“ボトルネック”探し。あらゆるセクションのあらゆるボトルネックを探して歩く。この本読んでない人は事業再生できないと思う。立派な経営改善計画書でなぜ会社が再建できないのか?立派な経営改善計画書であればあるほど、網羅的な指摘となり優先順位が曖昧。問題の真因に切り込んでいないからです。一丁目一番地の大きな問題に着手し、解決してから次に取りかかるからこそ企業の問題は解決していくのです。


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『ターンアラウンド・マネージャーの実務』フロンティア・マネジメント(株)商事法務

必要な再生策は全て網羅されています。再生現場で検討されうる内容は全て。不朽の名作。自分が案件と向き合う際に抜け漏れないか、検討したりない要素はないか振り返るのにも使えます。感謝しかない力作。読みこなし、使いこなすためには、経営や法律、会計の知識が必要となります。絶版となっていますがKindleで買えます。高い本ですが一生ものです。これが使いこなせていたら、事業再生コンサルタントとしても一流です。


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『実践的中小企業再生論【第3版】』・『実践的中小企業再生論【別冊】』藤原敬三 きんざい

再生支援協議会が必要とする経営改善計画のがわかる本。これくらいがまとめられれば仕事として文句は言われない。再生支援協議会のノウハウの結集と言える本。改版続いています。現在は第三版です。最新のトレンドを踏まえて改定されるため、改訂版が出る度に買い直してください。優れた本ですが、これだけできれば良いとこの本に飛びつくのは、事業再生の仏作って魂入れずと言えます。他の本を読んだ最後くらいでちょうど良いです。


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『M&Aによる事業再生の実務』佐武伸 他 中央経済社

法的整理前後における事業再生型M&Aのノウハウが惜しみなく語られています。民事再生、破産と絡めてM&Aすれば理論上世の中に売れ無い会社は原則ない。債権者の同意や手続きの公平性透明性を担保しながらあらゆる会社を売る。自力再建だけでは救えない会社も、スポンサー型事業再生で救っていきます。事業再生のノウハウでも最期の切り札、ジョーカー的な作戦が細かく解説されています。


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以上7冊をお勧め致します!年末年始にいかがでしょうか?来年はコロナ禍で国の支援策を受けて何とか延命した企業が過剰債務問題で苦境に陥ります。コロナ禍の2年間は倒産件数が過去最低で推移していました。言うなれば国の支援策で温存されていた企業が2年分、一挙に倒産しかねない勢いです。

来年に備える上でも、歯ごたえのある書籍紹介となったと思います。ぜひご一読ください!

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