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ユーラシア大陸横断日記19 カスピ海横断フェリー(カザフスタン)

ユーラシア大陸を西へ西へ、中国の上海からポルトガルのロカ岬まで。
陸路・海路でユーラシア大陸を横断した、ユーラシア大陸横断(2008)の記録です。

ウズベキスタンのクングラードからカザフスタンのアクタウに到着。
アクタウの港からカスピ海を横断するフェリーが出ているはずなので、まずは港探しから始まりました。

前回はこちらです ↓

フェリーターミナルを探して

アクタウでの拠点はその名も「ホテルアクタウ」。
ここに滞在しつつ、フェリーの情報を集めることにした。

カスピ海横断フェリーは不定期の運航。アクタウに港があるはずだけど、正確な場所はわからない。船のチケットがどこで買えるのかもわからない。

なので、
1.フェリー乗り場を探す
2.フェリー乗り場でチケットの買い方を聞く

を最優先にしてアクタウをうろうろ。
とはいっても手がかりがないので、とりあえず港の方にいくっぽいバスに乗ってみる。
タクシーでもよかったけれど、距離がわからないので料金がどれくらいになるか見当がつかなかった。

バスに乗って乗客の方に聞いてみる。
メモ帳に船の絵を描いて「Caspi? Port? Port?」とジェスチャーを交えてなんとか「港に行きたいのだけど…」というニュアンスが伝わるように頑張ってみたらどうやらわかってくれたっぽい。
「今乗ってるバスのままもうちょっと先のバス停で降りる、そこに来るバスが港に行く」と教えてくれた。

そうしてカスピ海横断フェリーの乗り場にたどり着き、さっそく中に入ってフェリーのこと、チケットのことを職員さんに聞いてみると、

「明日フェリーが出る」

なんとも急なタイミング。

このフェリーは運行が不定期で、早ければ数日、遅ければ10日~2週間くらいの間隔でカザフスタンとアゼルバイジャンを行き来している。

そのフェリーが明日出港、となってかなりびっくり。
せっかくアクタウに来たのでもう少し滞在したい気持ちもあったけれど、これを逃して次が10日あるいは2週間後、ともなればそれもしんどい。

またまた非常に悩んだけれど、こういうときは「行ってしまおう」がいつも勝つ。
今回も例に漏れずでとりあえず乗ってしまおうと思った。

「明日の朝8時に港の切符売り場においで」

「スパシーバ!」

というわけでまたも慌ただしく移動となった。

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ホテルアクタウで一晩過ごし、翌朝再び港を訪れる。

ん…!?チケット売り場が閉まっている…!なんで??

チケット売り場の横にある待合室にはこれもまたびっくりなのだけど日本人のパッカーが3人いて、なんというかチケット売り場ではチケットを買えないことを教えてもらった…なんだそれ…

8時って言っていたのは??おっちゃん…

いろいろ「なぜ?」はあったけれど、こうなってはしかたない。
とりあえず、市内に旅行代理店があって、そこでチケットを購入できると聞きタクシーをつかまえて急いで向かう。

2人の女性従業員がいるだけの小さな旅行代理店を見つけて尋ねてみると、

「ごめんなさい Sold outしちゃったの…」

ちょっとこれは本格的にやばいかも。
「船に乗るとき空きがあったら乗せてもらえるかもしれないよ」という代理店のお姉さんのアドバイスに希望を託し、もう一度港に戻って乗船手続きが始まるまで待つことにした。

港に帰ると日本人がさらに1人増えてまたびっくりしたが、この男子大学生もチケットを買えなかったそうで、一緒に待って過ごすことになった。

出港の時間が近づき、乗船手続きが始まる。係員の人に改めてチケットを買えるかどうか聞いてみた。

結局、チケットを買うことはできなかった。

日本人のパッカー3人を見送り、同じく乗船できなかった男子大学生と一緒に、いつになるかわからない次のフェリーをここアクタウで待って過ごすことになった。

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アクタウで過ごす日々

横断フェリーを見送った翌朝、早速旅行代理店に出かけてチケットが予約できないか聞いてみたけれど、次の船が来ないと予約はできないらしい。

次がいつになるかわからないから、それまでは何度もこの代理店に通い、ひたすら待つことになった。
長くなればそれだけ滞在の費用もかさむし、長期にわたる大陸横断の旅だからなるべく出費は押さえておきたい。

当時、「アクタウに安宿はない」が定説となっていた。ガイドブックでも一番安い宿で1泊5000円程度だったと思う。
地元の人なら何か知っているかもしれない、ダメもとで「安くていい宿はありますか?」と代理店のお姉さんに尋ねてみると、1泊1500円の宿を教えてくれた。これはほんとに助かった。ありがとうお姉さん。

そして紹介してもらったこの宿で、ユーラシア大陸を自転車で横断中の男子大学生とも出会った。
大学生2人と自分の合わせて3人となり、次の横断フェリーを待ちながらのんびり過ごす日々が続く。

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カスピ海横断フェリー

毎日のようにカスピ海に行っては海を眺めていたけれど、あとは特に何もすることがないのでただただのんびりしていた。

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それでも代理店には毎日のように通い、行くたびに「何かフェリーの情報ありますか?」と尋ね、そのたびに「う~ん、なにもないの。ごめんなさいね」だった。

代理店のお姉さんは「何かあったら電話するね」と言ってくれて、そんなある日、ついに宿に電話がかかってきた。

「フェリーが来たからチケット買えますよ!」

おおおおー!ついに!チケット!買える!!!

大喜びで舞い上がりながらいつもの旅行代理店に行く。
前にフェリーを見送ってから1週間ほど経っていた。お姉さんもすごく喜んでくれて、

「やっと乗れますね!よかったですね!」

と3人分のチケットを発券してくれた。

お姉さんに「Good Luck!」と見送られ、代理店を後にする。

フェリーの出発はなんと今日の18時。

いつも話が急で、何かすることがあるわけでもなくゆるゆるのんびりと過ごしていたアクタウだけれど、こうなるとちょっと名残惜しい。
フェリーに乗るとなれば、よくしてくれたこの代理店のお姉さんに会うことももうないだろう、これもまた寂しい…
本当にいろいろとよくしてもらった。

いろんな思いを整理整頓する時間もなく、荷物をまとめ、18時の出港に間に合うように港に向かった。
港の待合室で3人そろってフェリーの乗船を待つ。
が…、待てど暮らせど一向に動きがない…

「明日の朝4時に出港らしい」

そんな話も聞こえてくる。
とにかくひたすら待ち続け、出国手続きを済ませてフェリーに乗れたのは翌日の午前5時だった 笑
まあ不定期のフェリーなので焦っても仕方がないか。

やっと乗船でき、これまでの疲れがどっと出てくる。とりあえず寝ようとひと眠りして、何時間かして目が覚めた。

今頃はカスピ海の海上を…、と思っていたら船はまだ港に停泊したままだった。あまりに動かないので大丈夫なのかなと心配になってくる。
なんだかんだそのあとも船は全然動かず、13時ごろになってようやく動き出した。

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ようやく動き出したフェリーに3人で大喜びし、デッキに出て離れていくアクタウの街を眺めた。
バイバイアクタウ。結局10日ほどいたのだろうか。
なんだかんだで楽しく、思い出深い場所になった。

フェリーはこのままカスピ海を西に進み、その後進路を南に変え、アゼルバイジャンのバクーへと向かう。

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こちらに続きます ↓


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