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尾上祐一 : ギター・アルバム

普段、リボンコントローラー回擦胡の自作楽器2本立てメインで活動していますが、ギターも合間を縫って独奏や多重録音作で発表しています。ここでは、私のギタープレイがメインな曲をセレクトしてみました。演奏のみならず使用ギターやエフェクターを駆使したサウンドメイク面でも様々なユニークなトライがあるとおもいます。ぜひブックマークの上、色々ご鑑賞頂けたら幸いです。

Asian Blue - ベトナムギター独奏

これは、フレットとフレットの間の異様にスキャロップ加工された指板が特徴のベトナムのエレキギターの独奏。ギターについて詳細はこちらを。バックで薄くビヨーンと鳴っているのはKORG AX1Gマルチエフェクトのサワリ付き共鳴弦エフェクトのDroneによるもの。勿論このギターで作曲。2020年8月現在、View数が12万回と私がこれまでにリリースされた曲の中では最も再生数が多い作品です。

Rainbow of Twilight - 多重録音作

2005年の多重録音作Vongoleより。オープニングとエンディングでリボンコントローラーの多重録音がフィーチャーされている以外は、エレキ・ギターメインの楽曲。捻れた、しかしポップなワルツ。楽曲、演奏、録音いずれも我ながら気に入っています。エレキギターはライン録音でKORGのPandora3のAMP部とイコライジングでサウンドを作っています。

Sazae Goes to TorigoyaSound - 独奏

サザエさん、通好みの火曜版エンディングテーマ(C D E F G A Bスケール使用)をドリアンフラット2ndスケール(C Db Eb F G A Bb , KeyはAmで)で通好みにアレンジ。アラベスクとホールトーン感が同居した怪しいしあがりになっております。
Original Version(明るいサザエさん-火曜日ED)はこちらにあります。

Ionization/Refrection - 多重録音作

多重録音作Vongoleより。変態ファンクとも変態プログレとも言えそうなお気に入りのナンバー。エレクトリックギターとギターシンセの可能性を大いに探っており、金属ボディ感をだすKORG AX10AResonatorエフェクトを掛けたスライドギターや、中盤のギターオーケストレーションなどなど聴きどころ満載です。

Kara-Age - by 尾ジョー

盟友ジョー山本氏とのデュオ。曲はワナナバニ園やサンピンの演奏でもよくやっているKara-Age。自作楽器である回擦胡で作曲したものをギターに編曲して弾くという形になっています。山本氏の入魂のドラムプレイが素晴らしい。回擦胡で演奏しているワナナバニ園版サンピン版と比較してみても面白いと思います。

Small Mountain - 独奏

2018年の夏休みに作った曲。子供の頃から小さい山がすきで、川崎の枡形山、稲城のありがた山、逗子の鷹取山、府中の浅間山・・・登りましたねぇ。いまの住まいの近所にはかわいい里山もあります。そしてかっこよくて気さくだった兄貴分のギタリスト。”小さい山”にはいい思い出があります。Vox VSS-1 StarstreamのAcoustic Large音色よる基本独奏ですが、VSS-1のシンセ音色によるソロも入っています。因みに一つ前のKara-Age同様にワナナバニ園でも演奏しているですが、こちらはギターで作曲したのをリボンコントローラー+ベース×2+ドラムス編成にアレンジしたものとなっています。

カニ大星雲 - 多重録音作

これはずっと遡って1994年の多重録音作。カセット4chMTRによる録音ですが、実に熱量高く当時の熱血宅録状態を垣間見れる良きサンプルとなっております。ギターはライン録音ですが歪とイコライジングでアンプ感を出しています。アンプシミュレータの類は大してなかった頃かと思いますが、ここはDIY精神で音つくりでもあります。ベースはフェンダー・ジャズベースにKORG ToneWorksのG5というベースシンセサイザーエフェクトを全編に掛けたもの。ヘヴィでクレイジーかつファンキーな仕上がりかと思います。アルバム Early Days 1983-97に収録しています。

Vox VSS-1 Banjo, Sitar Resonator Guitar

近年の私のメインギターVox VSS-1 Starstream。ここではその様々な音色のサンプル的な3部作をお届け。いずれも弦振動をデジタル信号処理で加工してバンジョー、シタール、レゾレーターギターっぽい音にしています。

三度の溜息(三聲無奈) - Vox Starstream Sitar Guitar音色独奏

そのVox VSS-1 StarstreamSitar音色で1曲弾いてみたのがこちら。曲は、古い台湾の歌謡で、私はフェイバリット・アーティストの鄧麗君(テレサ・テン)が台湾本国でデビューしたての頃に歌っていたバージョンを基にアレンジして弾いています。フィンガースタイルですが主旋律のアジアっぽいスライド表現のためフィンガリングによるスライド、ライトハンド、アーム・バーも積極的に使ってます。シタール・ギターというとインド風の音楽への使用をイメージされることが多いかと思いますが、実際はそうでもなくソウル、プログレ、ポップ、ロック、ハードロック、メタル、演歌を含む日本の歌謡曲など様々なジャンルの楽曲でオリエンタルな音色を加える形で使われているケースが大半だったりします(そういった楽曲についてはこちらをご参照ください)。

Arumi H Sin - 多重録音作

こちらは、1991年の4chカセットMTRによる多重録音作。冒頭の混沌とした45秒ほどは、更に昔の1982年か83年にエレクトーンをラジカセのライン入力に思いっきり過剰入力して歪ませて弾いた物をベーシックトラックに使用したもので、何も知らないが故の神がかった演奏を披露した後、ポップな本編に投入。その本編ではRoland JUNO-106シンセも要所で入れてますが、メインはエレキギターによるサウンド群で構築。ナチュラルなエレキサウンドも入っている一方、主旋律などで聴けるプロセスされたエレキギターのサウンドは、尾上ジャンクロック・ギターシンセサイザーと名付けた自作のシステムによるものです。これは、オクターバーや歪で倍音を生成し、それをエンベロープ・フィルターで加工する方法に拠る、発振器駆動ではない簡易な自作ギターシンセサイザーシステム。まぁ、発振器駆動型ギターシンセは、当時1990年頃の自分には難しくて作れなかったのでこうした・・・という所なのですが、結果的に独特なサウンドになったんじゃないかなとも感じます。アルバム Early Days 1983-97に収録しています。

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尾上ジャンクロックギターシンセサイザー

Locust Hop - ベトナムギター独奏

1曲目にご紹介したAsian Blueより再びベトナムギターのオリジナル曲の独奏。こちらはよりポップなブルース・プレイになっております。通常のギターでも弾ける曲ですが、ベンドの感じとかはこのギターならではと思います。

海底超特急 - アンドロジーナ

こちらは、1996年から1年活動したアンドロジーナというバンドの楽曲で、バンドリーダーでベース担当のモンド松田の作曲。ギターでバンドに参加した数少ない記録の一つです。シンセやシンセドラムの使用などテクノポップをベースに、サイケフォークなユニットで活動していた紅一点のイリアラミエルのボーカルをフィーチャーしたバンドでした。僕はトーキングフィルターエフェクトをかけたしゃべっているような不思議な音色のギターを披露しています。ワウペダル以上に文字通りワウワウいう感じのサウンドです。このバンドでは、サウンドエフェクトやレコーディング、機材エンジニアとしての役割もしていました。

雲取 - 多重録音作

これは2000年録音の多重録音作。出だしはハードなリボンコントローラーのソロ序奏が1分ほどありますが、そのあとはギター中心の演奏となります。クリーンなギターでややアトーナル気味な感じと中盤は日本調を感じさせる音使いなどドラマチックに展開します。多重録音アルバムVongoleより。

Sabot in D - 独奏

Vox VSS-1 StarstreamのSmall音色による小品。普段ギターはバンドでは弾かず家で一人で弾くことが大半なのでフィンガースタイルで弾くことが多くなっており、そんな中でできた一曲。タイトル通りKey in Dですが、半音でぶつけるシーンや中盤の転調の多用など聴き処です。

Vongole24 - 24平均律調律ギター

2005年の多重録音作Vongoleより。2000年前後に色々試行錯誤していた24平均律チューニングを施したギターをフィーチャーした楽曲。使っているのはごく普通のエレキギターですが、弦を低音側より
6弦=E
5弦=B(通常の5弦Aより1音上げ)
4弦=B+(通常の2弦Bより1/4音上げ)
3弦=B(通常の2弦Bに同じ)
2弦=E+(通常の1弦Eより1/4音上げ)
1弦=E(通常の1弦Eに同じ)

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という調弦を施すことにより24平均律ギターを実現しています。ただ調弦の性格上Key in Eの重力が強い24平均律ギターになります。またこの曲の3分過ぎからのキーボードソロは、やはり24平均律が可能なMIDIキーボードによる演奏となっています。

ガラクタ村祭り - 多重録音作

これもさかのぼる事1993年録音のカセット4ch MTRによる多重録音作。自作のエフェクター群で歪とイコライジングでアンプ感を出したエレキギターがフィーチャーされている一方、通常のギター音色だけでなくレス・ポールやマイク・オールドフィールドがやっていたようなレコーダーの速度を半分にして録音することにより得られるダブル・スピード・ギターや、Roland SPV-355 Pitch to Voltage Synthesizerをアウトロでのギターに掛けたりもしています。また2ヴァース目は尾上Co-Qをフィーチャー。様々なサウンドメイクの試みがここに詰まっています。アルバム Early Days 1983-97に収録しています。

Starstream - Sustain Guitar独奏

最後は締めにふさわしい小品を。Vox VSS-1 Starstreamの音色の1つにサスティンギターというこの動画で聴けるように弾いた音がずっと持続する物があり、それをフィーチャーした楽曲。勿論このギターでこの音色で作曲。ストリングス合奏の様な響きを得ています。

リンク

DIY音楽家 尾上祐一の経歴 - 自作楽器、宅録、バンド、作曲
フレットの間が異様にスキャロップ加工されたベトナムギター
Vox VSS-1 Starstream



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