見出し画像

8月の旅行②日生・広島・周防大島

実家が九州は大分の別府にある。東京に住んでいる。そういう人間が帰省する際に使う手段は専ら飛行機だろうが、何か楽しいことが起きるのに備えて事前に予定を決められない性分なので予約ができず、どんどん飛行機代が吊り上がり空路を諦める。あと飛行機の移動を人ほど好きになれない。そんな自分は新幹線で移動し、途中の大阪で大学時代の友人に泊めてもらって一泊、翌朝九州に向けて移動しつつ時間の許す限り途中下車して瀬戸内海の町並みを楽しむ。社会人になってからはそういう帰省をしている。2020年ごろは飛行機代がめちゃ安だったこともあってやっていなかったこのシステムの帰省をやることにした。すごくよかった。

8月10日~12日
大阪~日生~広島~周防大島~小倉

8月10日、帰省の荷物を詰めたリュックで出勤。服装は今日捨てる予定の服。マネージャー陣が軒並み会議に入っていた夕方、オフィスは遊び惚ける雰囲気で平和そのものだった。定時と同時にスニーカーをロッカーにしまいサンダルに履き替える。会社を出て品川駅へ。酒とつまみを買い、トイレに入って今着ている服を脱ぎ、Tシャツ短パンに着替え、脱いだ服をゴミ箱にシュート。俺の帰省が始まる。旅で服捨てるの好きすぎてやめられない。

新大阪で途中下車。前日に声をかけていた軽音楽部の後輩の安達の家に泊めてもらう。前日に声をかけてOKしてもらえる、という事実にずっと甘え続けている。最寄り駅が大学生活の行動範囲ではあったものの絶妙に寄ってなかったエリアで新鮮味があり、なおかつ北摂らしさも兼ね備えるハイブリッドな楽しみ方ができた。どんなに小さな駅だとしても、最寄り駅の飲み屋を開拓するのは楽しい。そういうマインドで飲んだ。安達をダシにして横の駅に住んでるゆうしも誘いだすことができた。0時ごろまで飲んだ後は安達の家で二次会、積もる話があったわけではないのに思い出話や近況や実は俺が最近聴いてる下関のバンドミズニウキクサとつながりがあったりとか、大学の頃も安達と夜な夜な話していたことがあってその気分が蘇ってきた。大学4回頃、やることもなく暇だった俺に付き合ってくれた後輩への尽きせぬ感謝の念が浮かぶ。本当にありがとう。5時ぐらいまで飲み続けた。

8月11日、起きたら9時半ぐらいで、睡眠不足のまま飛び出るように安達の家を出た。夏の朝の空が大阪に住んでた大学時代とリンクしてすごく後ろ髪をひかれた。大都会だけども東京の空とも違う。いちばん夏を楽しんでたあの頃の空と同じで、「大学行かない?」と言いたくなったがぐっとこらえて電車に乗った。

新快速の播州赤穂行きから相生で降りる人たちを眺める。一気に人が少なくなって快適になった鈍行列車、これが赤穂線の始まりである。山陽本線ではなくこっちに乗る理由は途中にある日生駅でカキオコを食べること。2014年に行って以来、寄れるときはなるべく寄る。狭い店内で鉄板に向かって大盛りのカキオコと対峙しつつ、客とそのおばあさんの播州弁の会話を聴き、すべてをアサヒビールで流し込むのが良い。お盆または正月の楽しみの一つ。今回はいつも行ってる店が閉まってたので初めての店へ。勝手口から案内された。

こういう町並み
最高
勝手口

電車まで一時間あるので迷路みたいな町を散策しつつのんびり駅に向かう。港町は良い。岡山まで鈍行に乗り、岡山~広島間は新幹線でワープする。尾道以外はあんまりおもしろくない。

前日の新幹線の中で「Mazda Zoom-Zoom スタジアムで野球みよ」と思い立ってチケットをとったので、広島で降りて野球を観に行く。カープに興味がないので無視してたけど、ちょうどよく時間が空いてたので初めてのマツダスタジアム。

めっちゃいい球場だ。当たり前だけどメジャーの球場っぽい。マーリンズパークと構造がそっくり。こうなると来年完成のエスコンフィールドもがぜん行きたくなる。好きな球場ランキング4位ぐらいにきた。ちなみに1位グリーンスタジアム神戸2位横浜スタジアム3位明治神宮球場です。あとNPBフランチャイズで行き逃してるのは札ドと楽天のみになった。だからもう札ドは行けない。

対ヤクルト戦で、どっちでもいいけど強いて言うならと思って三塁側の席に座ったら三塁側もほぼ赤いユニフォームの連中でびっくりした。カープ女子みたいなやつが少なくなってるおかげで、夏休みの中国地方のおじさんおばさんが多くて周りが方言にまみれていてよかった。横の席の兄ちゃんが偶然ヤクルトファンで、こっちもヤクルトファンのふりをして会話を合わせた。島根からバスで来たらしい。島根でヤクルトファンやるの難しすぎるだろ。試合は俺がカープうどんを食べてるうちに出た西川のホームランで決まっていた。

試合が終わり電車に乗って本日泊まるスパ銭に向かう。前週の旅行でスパ銭に泊まる良さを知ってしまった。場所は坂駅。坂とか広とか、呉線の名前は面白い。宇都宮にはそんなにいなかったのに、このスパ銭にはやんちゃな若者が多かった。広島。

8月12日、寝た場所の床が固くて全然熟睡できなかったが出発。鈍行に乗って岩国へ行き、岩国駅でカーシェアを借りてドライブする。

化学工場、電車、多島海 いかにも山陽の風景

目的地は周防大島。宮本常一記念館に行きたかった。

昨年図書館で宮本常一の本を何冊か借りてその精神性に惹かれた。説話・民話や方言ではなく、民具に着目しつつカメラを通した視点でのフィールドワークを中心とする、足で稼ぐタイプの文化人類学者、そういったところにすごく共感した。俺の旅は軽音の先輩のみおりさん曰く"フィールドワーク"らしい。フィールドワーク、人文学を専攻した人間には懐かしいが俺そのものでもある。こうやって先人の足跡に触れることで俺もそうでありたいと強く思う。小さな施設ではあるが、1時間ぐらいじっくり滞在した。受付の人が地元のおばあさんらしき人を招いてヒアリング調査をしてたのが印象的だった。そのおばあさんは呉の日本製鉄にゆかりがあるらしい。ここにもまた山陽の生活がある。

宮本常一記念館は周防大島の民俗資料館の要素もはらんでいる。その土地に旅行したら民俗資料館は押さえておきたい。先に訪れて旅の選択肢を広げるのもよければ、最後に寄って旅に深みを与えるのもよい。今回は前者をとった。周防大島は島である以上に田舎なので生活費のために出稼ぎをする人が多く、大工として愛媛やら広島やらに行って神社仏閣の建築に寄与したという長州大工の話が良かった。

道の駅で海鮮丼を買ってその辺の適当な堤防で食べた。横でおっさんが釣りをしたりビキニギャルが肌を焼いたりしていた。堤防で。

Aコープにて お盆を感じる

周防大島はレジャーも盛んな島なので、浜に行ってレジャーを味わった。きれいな海なのに空いていて穴場感がある。俺が化学メーカーの社員で徳山あたりの配属になってたら海水浴に来ていただろうね。なってないけど。

周防大島、よかった。大きすぎるから島内の移動に意外と時間がかかる。離島だけど離島じゃない。

その後徳山で新幹線に乗り北九州へ。仕事終わりのきよきよの車に乗っけてもらい、一緒に別府へ帰る。これにて帰省完了。一番やりたい交通手段をとれたことに満足した。

実家には弟だけがおり、暇だったので近所のおいしくはないラーメン屋に2人で行った。「季節ごとにちゃんと帰ってきて本当にすごいな」と言われた。関東に住んでいる人は帰省するだけですごくなる。確かに盆と正月とGW、ほかにもう1回ぐらいは毎年帰っている。すごいことなのかもしれない。地元に帰って気軽に遊びに誘える人年々減ってるけど、それでも帰り続けている。

母親が実家(実家て)に帰っていたので、お盆は父親と弟と3人でドライブをした。

日田で山と川とダムをみた
こういう喫茶店を父親も弟も好きで、みんなおじさんなんだなと思った

晴れててよかった、夏休み。晴れてるだけで勝ち。雨は負け。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?