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手にあまる余白

暗黙の了解。

まるで何かの罰のように
あなたは
ひとつしか言葉をくれない。

わたしも
素直にもっとと
欲しがれないほど 子どもで。

―愛している。

あなたがくれたのは
答えだという
たったこの一言だけ。

それ以上に何が要るの。

わたしの前に開かれたページの
大きすぎる余白を受け入れることが
秘密に満ちた大人の恋の
守るべき作法ですか。

洗練を装うあなたがさらす白い部分に
傲慢さをなじる汚い言葉を
何度でも書きなぐる。

わたしの輪郭をなぞり
従順さを強いるその唇が
痛みのうめきをもらすように

大切だったはずの
答えまでぬりつぶして
あなたを
あなたにふさわしく黒く汚す。

あなたの中のわたしと
わたしの中のあなたが
すべて
塗りつぶされてしまうまで。

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