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[読書記録]祖母姫、ロンドンへ行く!(椹野道流) / かっこよ

「一生に一度でいいから、イギリスに行きたい。お姫様のような旅がしてみたいわ。」と八〇歳を超え仰ったお姫お祖母様と孫である著者とのワクワク旅行記です。

日本の航空会社のファーストクラスでの往復、五つ星ホテルに高級デパートでの買い物に最高のディナー…。様々な計画を練ってお姫様をおもてなしする秘書のように振舞う筆者椹野さん(それに対する羽目の外し方も面白い)。行きのファーストクラスで、

「大切なのは、お祖母様には何ができないかではなく、何をご自分でできるのかを見極めることだと思います。できないことを数え上げたり、時間をかければできるのにできないと早急に決めつけて手を出したりするのは、結局、お相手の誇りを傷つけることに繋がりますから」

「祖母姫、ロンドンへ行く」椹野道流より

とCAさんに教わり、五つ星ホテルでもデパートでも、お祖母様を囲む全ての人からお祖母様の尊厳を傷つけないお取り扱い方法や、お祖母様のご機嫌の取り方をサポートして貰って、そして教示されて、旅をして行きます。これって、全世界の人が目上の方とまみえる時に、本当は対応すべき方法なのではないかな、と思いながら私の希望も込めて読みました。お年を召した方を赤ちゃんのように扱うやり方を、私はずっと、とてもいやだな、と思いながら生きているので。「老いては子に従え」とはいうものの、私が赤ちゃんみたいに話しかけられたり、扱われたら多分いやだから。

それにしてもすごいなあ、ロンドン。ロンドンの一流を扱う方々のお客様へのリスペクト。
それにお祖母様のきっぱりとしたセンスや視点の軸がとてもしっかりとしていて、読んでいてとても気持ちがよかったです。その分お孫さんである椹野さんは大変な思いをされたようですが。

旅の最後のお祖母様の言葉、お化粧や身だしなみに関することを著者の椹野さんに仰るのですが、それがとても良くて、じーんとしました。
私の二人の祖母も、いつも「きちんとしていないと」と言っている人でした。自分のために身嗜みをきちんとしていることは、それだけで少しだけ自分を肯定する気持ちを高め、楽しい気持ちにさせてくれる、と今も私も思っています。

それにしても、バトラーティム…!かっこよすぎてクラッとします。夜の海に「惚れてまうやろー」とよくならなかったな、と勝手にきゅーんとしました。

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