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[読書感想]「ただいま神様当番」(青山美智子) / 振り返ってみる

自分がどうなりたかったのか、どうすることがいいのかを振り返って、とか、立ち止まって、足元を見たりするように、考えたくなる作品でした。

青山美智子さんは人の中の弱さや小ささをふわっと包んで、どうすると気持ちが良いのかをそっと差し出すようなあたたかい文章を描かれるので、少しうまくいかない時などに励まされるのかもしれないな、と思いました。
いつもほっと一息つくような安心感があります。

自分の中の本音を代弁する神様。その自分の中の本音を意識することではじめて動くことができることって、案外多いのかもしれません。まずは自分の本音を知るって、きっと大切なことなんだろうな、と思います。
そして、本当はどうしたいのか、そのためにどうしたらいいのか。それを自分の中から取り出して、くるくると磨いて行く。そういう作業がきっと自分を苦しめずに生きるということなのかもしれないな、と思いました。

左腕に突然現れる「神様当番」の文字。それが神様当番の合図で、神様を満足させることができれば、その文字が消えて、お当番は終わりです。神様はその間、お当番さんとずっと一緒にいて、神様を満足させるためのヒントはくれるけど、決して大切なことは言わずに、本人が気がつくようにサポートしてくれるのです。その過程で学んで行くこと、気がついて行くこと。それがお話のテーマになっています。

それにしてもこの神様、とってもキュートです。
登場の仕方も、

左腕が疼いたあと神様がぽんっと現れ、ぴょこぴょこ足踏みする。そして、フィギュアスケーターみたいに一回まわって、くるんと左手に戻っていった。

ただいま神様当番(青山美智子)より

なんて、にんまりするほどだし。

いつか私のところにも来てくれないかな。神様。
そっといろんなヒントをくれながらそばにいてほしいな、なんて思いました。

今回もふんわりと心をあたためて頂きました。


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