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今年叶えたい夢「コンポスト友だちを作る」

コンポストとは、家庭から出る生ゴミを微生物の力で発酵、分解して作る堆肥のことである。堆肥を作る容器のことはコンポスターと呼ぶべきらしいが、容器のほうも、慣習的にコンポストと呼ぶことが多いので、以下でもコンポストと呼ぶことにする。

コンポストは楽しい。ペットのように愛おしい生き物だ、と言ったら、きっとコンポスト愛好家だけは頷いてくれるだろう。

農家育ちのおばあちゃんにくっついて育ったので、米のとぎ汁は水やりに使って当たり前、そのまま流しに捨てるなんて罪悪感があった。裏が白い広告は八つ切りにしてメモ帳を作るし、新聞紙なら、野菜を包んだり掃除したりありとあらゆることに使うし、ティッシュはもったいなくて滅多と使わないし、ゴミをできる限り減らすのが好きだった。なのでコンポストにも当然興味が湧いて、自治体が募集していた使用者モニターに応募し、ダスクリンというコンポストを始めた。これはレバーを回して土を撹拌するのだが、端っこは混ざりにくいので、端を混ぜるための竹べらが付属している。その棒の名前が、わざわざ「ダスクリンまぜまぜ棒」という。そんなところがかわいいメーカーである。

やってみると、てきめんに生ゴミが減ったのが実感された。確か当時は 1 ヶ月で 3 kg くらいだったろうか。水分の多いゴミは焼却にもよりお金がかかるので、生ゴミを減らすのはとてもいいことだ。本来、土に返しておけばなんの費用もかからないどころか、どこかの生き物の栄養として、自然の循環の中に還っていったであろうものを、わざわざ人と資源を費やして燃やすなど、無駄の極みである。しかも、生ごみ処理のイメージと違って、基本的に臭くならない。土の匂いがするだけだ。キッチンにおいても違和感がないし、野菜くずが出るキッチンに置くほうが便利だ。ダスクリンが消化しやすいように、荒く刻んだ野菜くずを土にまぜ、ときどき水分量を調節する。数日前に入れたゴミがもう姿を消しているのに気づく。するとなんだか、だんだん、かわいいペットをお世話しているような愛着が湧いてくるのだ。

しかしダスクリンに虫が湧いた。別にダスクリンのせいではない。コンポストをやる限り、入れすぎた生ゴミを処理しきれずに悪臭がしたり、たまに虫が湧くのは避けられない。虫が湧くと、土をしばらく天日干しして、また再開できるのだが、あいにく、山の麓の実家から大都会に引っ越してしまい、天日干しもまともにできなくなってしまった。そこで手を出したのが、二代目のコンポスト「ル・カエル」である。これまた自治体の助成で半額(4000円)で買えた。ちなみにダスクリンは 2 万円を超える代物だが、モニターとして使ってそのままいただいたので無料であった。自治体ありがとう。

ダスクリン以外のコンポストをはじめて使ったが、その違いも面白い。ル・カエルにとって理想的な土の状態はサラサラしていることであり、ダスクリンが理想としていたような、握るとわずかに団子になるような状態は水分多すぎとみなすらしい。ダスクリンでは、タンパク質系のゴミは匂いのもとになるから非推奨であったが、ル・カエルでは、タンパク質系のゴミこそ分解活動を促進するのでちょくちょくいれたほうがよい、野菜ゴミだけでは分解が遅くなるという。撹拌のためのハンドルがないタイプのル・カエルを買ったが、不織布の袋に入ってるので、箱から出せば底からまぜやすいのも良い。匂いはやはり森の土という感じ。

ダスクリン時代の反省を踏まえ、あんまりバンバンいれないようにした。かつては、全ての生ゴミをなくそうとしていたから、しばしばキャパオーバーし、それがよくなかった。余裕で分解できる量にセーブすれば、森の土の香りのままコンポスト生活を楽しめる。離乳食を手づかみで食べ、しばしば投げ落とす 1 歳児がいるため、コンポストに入れる残飯に事欠かくことはない。

昨年になってさらに、自治体がやっていたダンボールコンポストにも応募し、これまた無料で土とダンボールを入手した。2つのコンポストが稼働するようになって、処理できるゴミも増加し、ますます楽しい。そしてふと、このコンポストへの愛おしさを共有できる友人がほしいなと思った。生ゴミを細かく切って、入れて、混ぜる、という単純な作業に見えて、愛着が湧いてくると、自然と、細やかな工夫を試行錯誤したくなるコンポストライフ。誰かとこの楽しさを語り合いたいものだ。

ところで冬こそ、コンポストを始めるのに向いているかもしれない。冬は分解が遅い代わりに、虫が湧きにくいし匂いもでにくい。春が近づくにつれ、生ゴミの分解が早くなるのも実感できて楽しい。寒い日に、お部屋でコンポストをぜひどうぞ♪



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