あらしの夜に

今日、きみは外で食事をしてきたんだね
生臭い血の匂いでわかる
うわずる声でわかる
目の奥にまたたく恍惚の色でわかる
ぼくは気づかないふりをします
「隠さなくていいよ」
「ありのままを受け容れるよ」
そんなきれいぶったもの言いが、きみを傷つけることは、もう、知っている
本能に従えば、奪うがわと奪われるがわに分かれる
あらしの夜に
雷に打たれたぼく達は
純粋である特権よりも、嘘をつく罪を負うことを選んだ
ここは嘘に守られ温かい
ぼくが気づかないふりをしていることに、きみも、気づかないふりをしているのかもしれないね

いつか、という約束を果たして、居場所を得たぼく達
今は、ずっと、というお化けを恐れます
ずっと一緒にいよう、という言葉で、いつ別れがくるかしれないと確かめてしまう
そしてかえっていきます
あらしの夜に
もし、朝を迎えたのなら、深く感謝することでしょう
ずっととは、ずっとなんかどこにもないと知るもの達だけがつく資格のある嘘であり、誓いです


映画『あらしのよるに』杉井ギサブロー監督
の、二次創作でした。
オオカミ×ヤギの物語。

週刊プレイボーイ(集英社)にて、『ムツゴロウさんの最後のどうぶつ回顧録』なる連載があります。
子どもの頃に察していた以上に、ムツゴロウさんが変態すぎて、ドン引きしつつも見守っています。
〇〇×ヒトとか。
アレ、単行本化できるんだろうか・・・

なんて言いつつ、実は貴志祐介『天使の囀り』や、坂東 眞砂子『狗神』で、異形×オンナには濡れる私です。
どっちも角川。

人のことは言えず、すみませんでした。



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