自己犠牲を美徳とする聖母を更新する
自己犠牲を美徳とする聖母にはなりたくない。
子どもに失礼だと思う。
っていうか、子どもの立場として、娘として、私がイヤだった。
だから、子どものためにも自分を犠牲にする母親にはなりたくない。
…と思う世代から現れた一人が、大葉ナナコだったと思われます。
2005年頃、雑誌や著書で「バースコーディネーター」を名乗る大葉ナナコのお名前を知りました。
当時は今で言うところの「キラキラ」という言い方は、たぶん、ありませんでしたが、まさに「キラキラ」の聖母像を打ち出していました。
もちろん、大葉ナナコ自身が「キラキラ聖母」でいらっしゃいます。
バースコーディネーター大葉ナナコは、妊娠、出産、育児をコンテンツとする会社の代表取締役、つまり起業家です。
会社のホームページは、以下です。
http://www.birth-sense.com/
会社の事業として、「バースコーディネーター」の養成もされています。
お子さんは5人いらっしゃるそうです。
よっ、キラキラ企業家!
゛はしり゛だったのかもしれません。
小谷博子著『出産で女性は賢くなる』(ごま書房、2006年)も、ポジティブな聖母像が描かれています。
表紙折り返し部分には、
赤ちゃんはあなたへ
たくさんのプレゼントを
持って生まれてくる
1つ目は・・・
『あなたの身体を丈夫に健康に、
そして美しく生まれ変わらせる』
2つ目は・・・
『あなたのキャリア・ビジネスに
役立つ能力を身につけさせてくれる』
3つ目は・・・
『あなたのストレスを半減し、
精神的な安らぎを与えてくれる』
とあり、たいへんポジティブです。
著者のプロフィールは以下からご覧いただけます。
https://www.tokyomirai.ac.jp/faculty/child/teacher/kotani.html
こちらの本は2006年に手に取りました。
私も「自己犠牲を美徳とする聖母」にはなりたくありませんでした。
でも、「キラキラ聖母」も、「ポジティブ聖母」も、なんか違うんだよなと思っていました。
そんな私が最も気に入ったのは内田春菊著『私たちは繁殖している』①巻(ぶんか社、1994年)に見られる「性母」像でした。
「性」は「生」で「聖」とかの屁理屈ではなく、「性(エロ)母」です。
ぱんぱんに張った乳房を子どもに吸ってもらうことを「抜く」と表現するとか、そんな感じが「性(エロ)母」です。
「自己犠牲を美徳とする聖母」を「性(エロ)母」で更新したのは、内田春菊の素晴らしい功績だと思っています。
妊娠・出産の話は、本当に辛く苦労した人から語られる他は、たいていは自慢話でありマウンティングだと思っています。
このnoteも残念ながらそうでしょう。
でもいつか、そうではない「語り」を発見し、更新してくれる方が現れると思っています。
その時まで生きのびて、それを見てみたいです。