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映画感想 スターウォーズ エピソード7(2回目)

この記事はノートから書き起こされたものです。詳しい事情は→この8か月間に起きたこと。

 エピソード8はまだ見ていない。

 さあ、『エピソード7』のテレビ放送だ!
 『エピソード7』はたぶん、映画館で観た最後の映画。同日に見たのが『傷物語』。『傷物語』のインパクトが大きすぎて、当時は『スターウォーズ』の印象がかすんでしまい、あまり内容に集中できていなかった(『傷物語』も結局1作目しか見られてないな……)。
 『エピソード7』を視聴するのは、その時以来だ。ストーリーそのものはそこそこ覚えているほうだけど、記憶を確かめながらの再視聴だ。

 『エピソード7』を見ていてまず嬉しかったのは、出てくるエイリアンたちが特殊メイクや着ぐるみだったこと。これにアニマトロにクスも加わっている。もちろんCGもあるけれど、特殊メイクや着ぐるみのほうをメインにしている。
 最近は架空のキャラクターはなんでもCGになりがちだったから、特殊メイクや着ぐるみが出てくるのが嬉しいし、やっぱりいいもんだな……としみじみ思う。その場所にいて、俳優と目を合わせて芝居をする。やはりこれが大事だ。
 旧シリーズと新シリーズ、続けて見ると、特殊メイクの技術もめちゃくちゃ上がったんだな。エイリアンの顎髭にうっすらと生えている髭描写とか、目元、口元のぬめりとか。表情に合わせた頬皺の動きとか……。どうやったらあんなふうにできるのだろう。よくできてるし、実在感あるな……と驚く。

 劇場で見たときは、セットの奥行が薄いことが気になっていたが……改めてみると、そんなに気にならない。当時はなんでそこに引っかかったのだろう?
 引っかかった理由は、もしかすると「劇場の大画面だったから」かも知れない。今回はテレビサイズで見たからさほど気にならなかったかも知れない。これは私も確信が持てないので、どこかの機会で再び劇場サイズで見たら、同じところを気にするかも知れない。

 新しい主人公はレイ。この女優さん、立ち姿がいい。すらっとしているが、力強さもある。美人なのに言動や身振りが少年のようで、そのギャップがなんともかわいらしい。スターウオーズ新章の主人公に相応しいし、私個人的にもお気に入りだ。
 相棒のエイトBBはドロイドとは思えないくらいの感情表現。これまでのシリーズといえば、R2-D2とC3POの2機。R2-D2も感情豊かなドロイドだったが、C3POのアシストがないと何を言わんとしているのかわからなかった。
 が、エイトBBは何を言いたいのか、どんな感情を抱いているのか、ものすごく良く伝わる。よくもあんな無機質なロボットに感情を語らせたなと驚く。
 それにあの可愛らしさ。欲しくなる。いつかエイトBBモデルの家電が出てきてほしいものだ。

 敵役となるカイロ・レンはかつてのロックスター・ダースベイダーにあこがれる田舎のヤンキー。不満があると赤ライトセイバーで物を壊して八つ当たり。絶対に思春期だ。思春期どころか、反抗期のヤンキー。老いた両親が悲しむぞ!

 ストーリー、シーン、キャラクター、どれをとってもなかなかの出来栄え。あの、今となっては古臭くもあるシリーズを、現代の映画へと鮮やかに刷新した。ただのファン向けの続編というのではない。新しい魅力を載せた作品だ。
 注目は映像のもっともらしさ。昔ながらの着ぐるみや特殊メイクが中心だが、ああいったものでもちゃんと進化している、ということを見せている。特殊メイクや着ぐるみは時代遅れの表現ではない。
 特殊メイクや特撮だけではなく、画そのものにも厚みが増した。旧シリーズはなんとなく背景が嘘くさい。作り物っぽさがあったが、今回は映画に映っているすべてが、物語を動かすものとしてしっかり機能している。

 この難事業を監督したのは、天才JJ・エイブラムス。ネタ不足のハリウッドではリブート、エピソード0、新章は頻繁に作られているが、ほとんどが残念な結果に終わっている。ただ過去作の要素を、中途半端に引用した駄作が多い。
 JJ・エイブラムスはまずあの『スターウォーズ』のイメージを一切壊さなかった。下手な自己流も再解釈なども入れずに、きちんと『スターウォーズ』を作った。そのうえで、これまでにない新しいストーリーや新しいキャラクターを展開させていく。それも旧シリーズが霞むくらいに魅力的なキャラクターとストーリーだ。ある意味での原作越え。それを原作の上にきちんとラインを引いたうえで作っている。

 公開当時から一番感心して、今回の視聴でも楽しかったのが、描写の細かさ。冒頭の、ブラスターのビームを空中で静止させる場面。今までありそうでなかった場面だし、フォースがいかなるものかがよく伝わる。
 高田馬場……じゃなくてタコダナの城破壊シーンは、崩壊していく過程を一つ一つ丁寧に描いている。旧作のような、「とりあえず爆発」みたいな描き方じゃなくなった。
 雑魚兵ことストームトルーパーにも一人一人個性が見えてくるのもいい。冒頭のフィンのヘルメットに赤い手形を付けるのは、描写として目印として良い。話題となったトンファーのようなもので戦うストームルーパーもいい。ストームルーパーといっても個々に持っている背景があり、それぞれ違うスキルを持っている、というのがわかってくる。
 スターキラーはまたお前かと思ったが、ビーム発射までの木々が熱でなぎ倒され、地面がえぐられる描写。“現象”をきちんと描くことで、その脅威がわかるし、その犠牲者となる人々がいるというところまで描いている。旧シリーズではなにもかも俯瞰で、結果しか描かれなかったから、ああいったものがどういったものかいまいちわからなかった。
 スターキラー崩壊シークエンスでは、逃げ出す士官も描かれている。こういった描写が丁寧だし、ノイズにもなっていない。

 物語といえば、基本的にはエピソード4と変わっていない……というか敢えてなぞるような描き方をしている。辺境の惑星で過ごしていた少女が宇宙へ旅立ち、フォースに目覚めて、最終的にはスターキラーを破壊に導く。
 変わり映えがないといえばその通りだが、細かく積み上げられた描写の数々で、これまでにない厚みをもちつつも、しかし軽妙なエンターテインメントに仕上げている。
 いやいや、エイブラムスの実力が良くわかる作品。

 気になるといえば、レイが何者なのか、結局わからなかったこと。レイはあの惑星で、誰を待っていたのか。レイの両親は何者なのか……。
 エピソード3の段階で、一度ジェダイ騎士団たちは全滅。残るフォースの継承者は、スカイウォーカーファミリーだけ……のはずだった。
 ルークが持っていたライトセイバーに引き寄せられる場面もあり、カイロ・レンの双子じゃないかと一時思ったが、ハン・ソロとレイアがそのことにまったく言及しないのもおかしい。
 とすると、考えられる可能性は……。このあたりの答え合わせはいつかそのうちに!
 そうそう、フィンにもライトセイバーを扱えた理由は何だろう? 彼にもフォースがあるのだろうか。

 ……うーん。『フォースの覚醒』がサブタイトルだから、フォースを持つ人々が再び生まれ、ジェダイ騎士団が復活していく展開なのだろうか。するとジェダイの宿命である暗黒面が巨大になり、運命は再び繰り返す……。これが次なるエピソード10~12の内容だったりして。
 で、どっかでジェダイやフォースそのものの存在が疑問視されるようになり、新たな摂理が生まれるまでの物語に――どうなんだろうね?

 まだエピソード8を見ていないので、ネタバレを食らう前に見ておきたい。レイの正体はなんなの!?


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