6月10日 ラセター、ディズニーやめるってよ
→IGNJapan:ピクサー/ディズニーCCOのジョン・ラセター、年内に退職へ
ラセターは2017年11月にセクハラ問題で休職していたが、そのまま退職するようだ。後任はジェニファー・リーとピート・ドクターが候補に挙がっている……とのこと。
ジョン・ラセターはクリエイターとしてもストーリーテラーとしても超優秀。まだデジタルアニメの技術が未成熟と言われていた時期に『トイ・ストーリー』を大ヒットさせ、その後も『バグズ・ライフ』『カーズ』と見事な作品を制作していった。一言で言って天才。
2006年5月、ディズニー、ピクサー両方のチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任。暗黒期を彷徨っていたディズニーを救い、第3次ディズニー黄金時代を築いていった。
ディズニーは有能な監督・プロデューサーが去った後、必ずといってもいいほど暗黒期に突入する。ウォルト・ディズニー死後と、ジェフリー・カッツェンバーグが去った後。ラセターという超強力な監督が去った後もまた暗黒期が来るんじゃないか……という懸念がある。
ラセターが築き上げたイズムはおそらく残っていくだろうから、ラセター去った後、突然低迷する……ということはないとは思うが……。
※ ジェフリー・カッツェンバーグ……プロデューサー。『リトル・マーメイド』をはじめとして、『美女と野獣』『アラジン』『ライオン・キング』など次々にヒット作を送り出し、第2次ディズニー黄金期を築いた。1994年、ディズニー側と対立し、退社。現在はドリームワークス・アニメーションの最高経営責任者。『シュレック』などに関わっている。
後任として候補に挙がっているのはジェニファー・リーとピート・ドクター。
2人がどんな人かと言うと……。
ジェニファー・リー
シュガー・ラッシュ 脚本
アナと雪の女王 共同監督、脚本、声優
ディズニーとしては初となる女性監督。
ピート・ドクター
トイ・ストーリー 原案
トイ・ストーリー2 原案
モンスターズ・インク 監督・原案・声の出演
マイクとサリーの新車でGO! 監督・原案
ウォーリー 原案・製作総指揮
カールじいさんの空飛ぶ家 監督・脚本・原案・声の出演
トイ・ストーリー3 シニアクリエイティブチーム:ピクサー
メリダとおそろしの森 製作総指揮
モンスターズ・ユニバーシティ 製作総指揮
インサイド・ヘッド 監督・脚本・原案・声の出演
情報はWikipediaから。
うーむ……。キャリアとしてはピート・ドクター。ジェニファーはもう少し現場にいたほうがいいでしょう。組織のトップになると現場に戻れなくなるし、そこから得られるはずの経験値も得られなくなってしまうので。
しかしアメリカの企業は何かとこういう表舞台に女性を引っ張りだしてきて、「進歩的」であることをアピールしたがる傾向がある。ディズニー社はどちらを選ぶだろうか……。「会社の今後」を取るか、「社会的な評判」を取るか、という話になりそうだが。
※ 6月18日追記
ジェニファー・リーとピート・ドクター、2人共同で後任に就くようです。
→IGNJapan:『アナと雪の女王』と『インサイド・ヘッド』の監督がディズニ ー・アニメーションとピクサーのトップに!
結局、2人を同時にトップに就ける。
うーん……無難な選択をしたものだな……。
ジェニファー・リーにはもう少し現場にいて、実績を積んで欲しかったような気がするけども。
このところ肥大化し続けるディズニー。『スターウォーズ』や『X-MEN』といろいろな作品が作られているけど、中心はディズニー・アニメ。次世代をいい感じに紡いで欲しいところです。
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