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3月7日 韓国発の自動着色AIを試してみた。

 韓国発の自動着色AI『ウェブトゥーンAIペインター』というものがあるようなので、試してみた。
 紹介記事によると、「手書きの線画を読み込ませると、人間が手作業で塗るよりも高いクオリティを発揮する」そうな……。
 ほうほう、それはそれは……面白そうなので、私の絵を放り込んでみた。

 おおっと、色がはみ出ちゃってる。そうか、線が途切れているから、そこで人物と背景の区別がつかなくなるのか。
 しょうがないなぁ……。今回のために、線が途切れていないバージョンを作成。これをツールに放り込んでみた。

 線をきっちり繋いだら、きちんと塗り分けてくれた。
 まずポイントは、脚。「生足」と「ジーンズ」を認識して塗り分けている。次に右の女の子の脚の塗り方だけど、脚の曲面を認識して、中心部分に光が当たっているように塗られていて、さらに影が落ちているところの色が濃くなっている。膝を立てているポーズなのだけど、これも認識して、膝から下を影として塗っている。
 次に左の女の子。チュニックを着ているのだけど、絵で描かれている陰影部分を読み取って、きちんと影を付けている。
 ちゃんと「服」か「肌」かの区別もしているし、絵からどのような形かも認識している。なるほど、これはよくできている。
 でも、それ以外のところが……。

 実はこちらも「線が途切れているバージョン」を試してみたのだけど、服まで全て肌色で塗られてしまって大惨事だった。線が途切れていないバージョンは……。
 さっきのイラストの場合もそうだったけれども、ちゃんと頬にチークが入っている。口紅も塗り分けている。目の「白目」の部分を認識して塗り分けている。それから輪郭線の下、首に少し深めの影が落ちている。髪の毛からちらと覗いている「耳」も認識して塗り分けている。顔の細かなパーツを認識して塗り分けているのは、なかなか優秀。
 問題なのは、「センス」で、肌色が濃すぎ、口紅も濃すぎ……。この女の子はこんな口紅は塗らなさそうだな、という色が使われている。
 大変なのは服の配色。胸元が青で、腕のところが紫っぽい灰色。首の後ろの方も、同じような紫っぽい灰色で塗られている。そこも「首」だと認識できなかったのは惜しい。
 どうやらAIに足りてないのは「センス」のよう。
 実は配色についてはこちら側から指定することもできるそうだけど、なにしろツールが韓国製なので、ぜんぜん読めなくて……。

 3枚目はこちら。ノーマルなセーラー服姿の2人。さっきの絵は服の配色が大惨事だったけれども、こちらは実在する衣装のはずだから、きちんと塗り分けてくれるはず……。
 顔だけど、こちらも頬のチーク、唇を認識してくれている。顔の下、首に落ちる影もきちんと認識してくれている。
 セーラー服の、「腕の下」になっている影も、元絵に影としての指定を入れていないのにかかわらず、影を入れている。配色がおかしいけど、「そこに影が入るはず」と考えて色を入れていることがわかる。
 それから袖の下、スカートの下にも影を入れている。絵に描かれているキャラクターがどんな姿をしているのか、きちんと認識して、適切と思われる箇所に影を入れている。AIがちゃんと考えて色を入れている……という感覚が伝わってくる。
 ただ、問題なのが配色で、セーラー服の影色に強すぎる水色に、さらにオレンジが入っている。なぜその配色にした?
 左の女の子の髪色も、灰色で塗られてしまった。もとが「モノクロ画」だったから、その通りの配色をしてしまったようだ。

 AIがキャラクターを認識し、立体的に色を入れようとしていることがわかり、確かにそこは凄い。ただ、これが色塗り仕事の代用になるかというと……。まずAIのセンス問題。AIにセンスを教えるのは、まだまだむずかしいようだ。
 もし仕事だったら、全部リテイクだね。「この色はないよ」とまず突っ込む。それに細かい塗りがぜんぜんダメ。
 最初に「人間よりも着色が上手い」という話だったけど、そこまでじゃない。AIにこういったクリエイティブな仕事を奪われる……というのはまだまだ当分先のようだ。時間がなくて、仕方なく……という瞬間には使えるかもしれないけれど……。コンピューターに読み込ませて1秒後にはこの絵が出てきたわけだから、スピードはとにかく速い。でも仕事しては使えない。
 今のところはAI着色は「話のネタ」に使えるくらいかな。


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