11月8日 コンビニ話の余談

 先日、コンビニの弁当工場での話を書いていて、その後、ちょっと思いだしたことがある。

 私は1日中ずっとニワトリ肉を加工処理する仕事をやっていたわけだけど、当たり前だが、ニワトリの肉はどれも一緒ではない。大きさも違えば形も違う。そういうのを見ると、「ああ、生きているものなんだなぁ……」という気がする。
 毎日ニワトリ肉と向き合っていると気付くが、日によってニワトリ肉が大きい日と小さい日がある。両方がごっちゃになることは基本、ない。
 そういうのを見て、「ああ今日の鶏は育ちがいいんだなぁ」とか「今日の鶏は育たなかったんだなぁ」とか思いながらの仕事だった。生き物なんだから、個体によって育ちからが違うのは当たり前の話だけど、なにしろ年単位で鶏肉と向き合っていたから、そいういうことばかり考えていた。
 生き物なんだなぁとか思いつつ、毎日大量のニワトリを切り刻んでいたわけだが。
 日によって育ちのいいニワトリと、育ちの悪いニワトリが来る理由は最後までわからなかった。生まれた日でなんか変わることがあるのだろうか?

 私は養鶏場に勤めることはなかったのだけど、コンビニ弁当工場の前にはニワトリを繁殖させ、育てている工場があって、弁当工場が「100だ」とオーダーしたら100のニワトリを育てて、増やしすぎると損が出るからきっと数をコントロールしているんだろうし、おそらくはこちらの工場に回らず廃棄になるニワトリもいるんだろうし……(弁当工場でも失敗して廃棄になるやつは結構あったから)。
 弁当工場での仕事も大変だったが、養鶏場の仕事も大変なのだろう。

 それでふわーっと思ったのは、コンビニを作るということは、こういう工場……弁当工場や養鶏場、他にも牛や魚やそういう業者との連携がセットでやっと成立する……というものなんだな……と。なんかすげー話だよな。
 そうやってやっとできあがったものを、500円くらいでさっと消費される。一瞬で胃の中に消える。何の感慨もなく、さも「店にあるのが当然」「食べられるのが当然」みたいに思いながら、それを作るまでに何があったかも考えることもなく、胃の中に消える。「500円でこれを食えるのってすげー」とかたまには思って欲しい。
 作るのに100、消費するのに1……あっ、こういうところ漫画も映画も一緒だ。
 食べるって大変だよな……って話。
 食べられるって、ありがたい。
 食糧自給率はきちんと一定以上キープしなくちゃダメだ。

 おお、そうそう。定期的に「コンビニの弁当には大量の化学調味料、保存料などが使用されている」という内容のネットニュースが話題になるけど、あれはデマだよ(この手の記事は大抵、後半「オーガニック食品は素晴らしい」という話になる)。弁当工場にいたけれども、そんなもん入れてなかった。「コンビニ弁当の中身はほとんど中国製」というのも見たけれども、これも嘘。ほとんど国内で作られたもので構成されている。中国から来たのはほんの一部……小エビとかだけだった。
 多分、あんまりにも言われっぱなしで信じる人も出て来たから、最近セブンイレブンがCMで「保存料、合成着色料は使ってません」みたいなことを言い始めたんじゃないかな。みんな聞き流してるんだろうなーとは思ってCM聞いてるけど。

 ただ「栄養が偏る」というのは本当で、ご飯にパスタにハンバーグってとんでもない構成だな……と思いながら作ってた。調味料作る仕事もやっていたけど、ものすごい量でマヨネーズを投入していた(やっぱりマヨネーズは万能だ……と思った。ありとあらゆる調味料にマヨネーズが入ってる)。もうちょっとヘルシーなのをつくればいいのにね、とはいつも思ってた。「これを食べれば一日の栄養をきちんと摂れる」……みたいなお弁当。なんでそういうのをやらないのかは、未だに知らない。

とらつぐみのnoteはすべて無料で公開しています。 しかし活動を続けていくためには皆様の支援が必要です。どうか支援をお願いします。