雨門ゆうき

「細めの雪にはなれなくて」という小説を書いてます。 7~9万字になる予定で、前編は無料…

雨門ゆうき

「細めの雪にはなれなくて」という小説を書いてます。 7~9万字になる予定で、前編は無料です。それと「魂替の主」という小説も書き始めました。こちらは3~4万字になる予定です。 気に入って頂けたら”スキ”や”フォロー”、”シェア”して頂けると喜びますw コメントが一番うれしいですw

マガジン

  • 細(ささ)めの雪にはなれなくて 後編

    細めの雪にはなれなくて、の後編です。ここからが実質本編です。 後編は20,000~30,000字になる予定です。 随時更新していきますので、宜しくお願い致します。

  • 細(ささ)めの雪にはなれなくて 前編 (学生編)

    細めの雪にはなれなくて…かおりという主人公の人生を描いた小説です。前編はほとんどタイトルの本質部分には触れず、そこまでの人生のバックグラウンドを描いています。 後編は、こちらは有料にしようと考えていますが、随時更新していきます。

最近の記事

細めの雪にはなれなくて 7 第二部

¥700
    • 細めの雪にはなれなくて 6 第二部

      ¥700
      • 細めの雪にはなれなくて 5 第二部

        ¥700
        • 細めの雪にはなれなくて 4 第二部

             同僚の社内での自殺があった週の土曜日、かおりは奏介のアパートにいた。アパートへの道すがらスーパーに寄り食材を買って、今日は奏介に鍋をふるまうつもりだったのだ。この日の奏介は会ったときから機嫌がよく、自分の気持ちと裏腹で少し気後れする気持ちもあったが、単純に彼の人生が上手くいっているのだと、うれしくもあった。

          ¥700

        細めの雪にはなれなくて 7 第二部

        ¥700

        マガジン

        • 細(ささ)めの雪にはなれなくて 後編
          7本
          ¥700
        • 細(ささ)めの雪にはなれなくて 前編 (学生編)
          10本

        記事

          細めの雪にはなれなくて 3 第二部

           19歳の秋の終わり、かおりは壊れ始めていた。オフィス街の街並みにも落ち葉が吹かれて舞うのが目立ち始める頃、かおりは都内で営業先を周っていた。徐々に冷たくなる空気とリンクするように、かおりの心も重くなっていった。

          ¥700

          細めの雪にはなれなくて 3 第二部

          ¥700

          魂替の主 3

           …………………。目の前の異様なものから視線を外さないように、一瞬顔を見合わせる二人。……………。『いや、お前らが来たから話しかけてるのに何で無視するんだよ。』………。「え、誰ですか?あなたは、、、」恐る恐る声を絞り出す裕介。「魂の神様、、ですよね??」大地が尋ねる。『んー、わかってるなら無視するなよ。まあ間違ってはいないけど、神って言うと違うと思うぞ。どちらかと言うと怨念に近い。』  怨念……そのワードに裕介、大地共に半歩ずつ後ずさりした。「怨念ってことは、呪いとか、あん

          魂替の主 3

          細めの雪にはなれなくて 2 第二部

           かおりは入社式の日を迎えていた。会社で貸切ったホテルの商業スペースにて午前中の間、社長の挨拶、新入社員代表の挨拶などの各イベントが事務的に行われ、午後は新入社員も含めた全員が帰社し、さっそく会社の具体的な説明を受けた。設立がいつで、どんなビジネスを行っており、等々。

          ¥700

          細めの雪にはなれなくて 2 第二部

          ¥700

          細めの雪にはなれなくて 1 第二部

           かおりは東京にいた。現在は19歳。高校卒業後は大学へと進学せず就職の道を選んだ。とある人材会社の営業職として働いている。この会社は求人票にも大学卒が必須ではなく、試しに受けてみると一度の面接でいとも簡単に入れてしまった。初めての東京での一人暮らしに不安はあったが、それでも東北の田舎しか知らなかったかおりにとっては、東京というだけで無条件に惹かれるものがあった。

          ¥700

          細めの雪にはなれなくて 1 第二部

          ¥700

          魂替の主 2

           週末の土曜日、裕介は昼過ぎにようやく目が覚めた。スマホの時間を見ると13:00を少し過ぎたところ。そして、スマホの画面には友人の大地からの鬼電が7件。あ、やばい。アパートの窓から外を見ると、そこには軽自動車にもたれかかる大地の姿が。この日、裕介は大地と11:00の約束で群馬へと向かう予定だったのだ。部屋着のままアパートを出てそっと大地に近寄った。  「おい、お前な。」そうとう怒っているようだ。「悪い、昨日一人飲みで、飲みすぎました…。すぐに着替えます。お待ちを…。」そうい

          魂替の主 2

          細めの雪にはなれなくて 10 第一部学生編 完

           高校二年も後半に差しかかる冬の大晦日、かおりは他校に行った友人の葉子と幼馴染の孝一と一緒に、地元の神社を訪れていた。最近始めた水彩画も、進藤と一緒に色々な所を周りながら着々と腕が上がってきており、本格的に趣味となりつつあった。何よりもかおりにとっては、進藤と一緒に、というところが大きく、一緒にスケッチに出かける度に、進藤の抜けたところや、穏やかな人となり、何よりも彼の醸す不思議な雰囲気に引き込まれていたのだ。  今日は小学校時代からの友人との久しぶりの再会と初詣を楽しみに

          細めの雪にはなれなくて 10 第一部学生編 完

          魂替の主 1

           「裕介―、心理のコマのレポートどんな感じ?まさかもう終わってるー?」場所は○○大学のキャンパス内、中庭のベンチに腰掛けてパンをぱくつきながら講義の資料をみている三年の田所裕介に、友人の神谷大地が声をかけている。「いやー、今まさにその資料みながらどうしようか考えているところだ。お前は?」「どうするって、まさか迷ってるって、やるかやらないか迷ってんのか??これ落としたらお前結構単位やばいんじゃないのー?」大地もコーラを片手に隣に腰掛けた。「うーん、まさにそれだな。もう心理とか正

          魂替の主 1

          魂替の主 前書き

           ある山奥のさらにずっとけもの道を抜けたところに、魂替(たまがえ)の主と言われる神様がいるという噂がある。実際に奉られている場所へ行ってみると、それは普通の祠といったところ。そもそも現地の人々にその話を聞いても、魂替の主などと言われるものは知らないと言う。  ではあの祠は何なのか聞くと、大昔に禁足地として扱われ、恐れ多いものとして奉られていたものだと言う。それは農作物の豊作を祈るものであり、魂替などとは関係なく、そもそも100年以上前から禁足地でもなくなっており、現在は誰も

          魂替の主 前書き

          細めの雪にはなれなくて 9 第一部

           日曜日、現地集合で画材屋の進藤と約束を取り付けたかおりは、再びあの湖畔に来ていた。前回描いた用紙を以前のようにスケッチスタンドに貼りつけ、手にあごを乗せじーっと待っている。やはりここでする音はきれいだ。水面下からする水音、種類はよくわからないがときおり甲高く奏でる鳥のさえずり、海沿いとは違った、緑の匂いをそのままイメージできるような音たち。それでいて静かだ。  しばらくすると、背後から声がした。「麻生さーん?」振り返るとそこには、ベージュのパンツにブルーのシャツのさわやか

          細めの雪にはなれなくて 9 第一部

          細めの雪にはなれなくて 8 第一部

           かおりはある湖畔にいた。大き目の石に腰を掛け手を伸ばし、筆を立ててじっと前の湖の向こうを見ている。目線の少し下には木製のスケッチスタンドに貼られた用紙に、うっすらと鉛筆で下書きをしたような跡がある。どうにもそこから先に進むのに勇気が出ず、かれこれ小一時間悩んでいるようだ。  いくら筆を前に出して構図を図っても、もう下書きは終わっているのに。ようやく意を決して空の色から入れ始めたが、初心者なのでどういうアプローチで描いていったらいいかわからず、辺りの鳥のさえずりに気を取られ

          細めの雪にはなれなくて 8 第一部

          細めの雪にはなれなくて 7 第一部

           かおりは地元のショッピングモールを友人達と歩いていた。今は高校2年の春、始業式後、クラスの友人達数人と高校生になってからほぼルーティンワークと化している街ブラの最中だ。特になにを買うわけではないが、雑貨店をうろついたり、服を見てみたり、後はベンチにに座ってひたすらしゃべって時間をつぶしたり。  中学卒業後、かおりは志望通りの高校に入学し、幼馴染の孝一も頑張ったことに加えてかおりの補助もあり、同じ高校に入学できていた。当時別れを告げた元恋人の高崎は、医者になるべく都内の有名

          細めの雪にはなれなくて 7 第一部

          細めの雪にはなれなくて 6 第一部

           中学3年の秋、この頃になるとほとんどの学生は自分がどこの高校に行くかを決め、そこに向って取り組んでいる時期だろう。特に希望がなければとりあえず地元の普通科に進学、高校卒業後は就職と決めている人は商業科や工業科の高校を志す等、様々だ。  かおりはまだ自分のやりたいこと、将来についてなどはこれ、と意識できるようなものがなかった為、地元の普通科の高校に進学する予定で勉強をしていた。幼馴染の孝一はかおりと同じ普通科の高校への進学を選んだが、現状の学力が充分ではなかった為、部活も卒

          細めの雪にはなれなくて 6 第一部