アラサーテレビディレクターより就活生へ
私はテレビ局の局員ではありません。
「番組制作会社」の社員です。
テレビ業界には100以上の番組制作会社(プロダクションとも言います)があり、
みなさんが普段 見ている番組には
テレビ局の局員が企画・制作し、テレビ局が著作権を持つものもあれば、
制作会社の社員が企画・制作し、制作会社も著作権を持つものもあります。
番組を見たら是非、エンドロールまで見てみてください。
社名が出たら、それが制作会社の名前です。
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未だに春になると「就活の季節が来たなぁ」と思う。
それは、母校からテレビ業界志望の学生を紹介されたり、自社の採用が始まったり、就活イベントで喋ったりすることがあるから。
(こないだは就活生からtwitterでDM来てびっくりした!!)
私はこの業界に多くの人を迎え入れたいので、
番組制作会社を志望する就活生に毎年する話を、そのまんまnoteにします。
2014年度の新卒採用で番組制作会社30社を受け、5社から内定を頂き、その内1社に入社した、あるアラサーテレビディレクターの体験談にすぎないけれど、この業界を目指す誰かの参考になればハッピーです。
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テレビ局に就職できれば給料は安泰。
だけど、人事異動は避けられない。
制作部を希望したのに営業や経理に配属された、ベテランの作り手が突然制作の現場から外された、なんて話もなくはない。
一方、制作会社に就職すれば 必ず番組作りに携われる。
ずっと現場に出て、職人のように長年かけて実力を磨き続けることができる。(多忙で薄給だけど)
そんな違いを理解した上で、制作会社を志望する方は
まずこの本を手に取って下さい。
主な制作会社100社の歴史、制作番組、得意ジャンル、受賞歴などが載っていて、辞書的に企業研究・比較ができます。
かなり昔の本(1円!)だけど、今でも十分参考になるはず。図書館にも割とある。
本と同時に、ATPのサイトも見て下さい。
ATPは、番組制作会社の多くが所属する連盟。
制作会社の合同説明会や就活イベントも主催しています。
おすすめは、ATPの「会員社一覧」から各社のHPに飛びまくること。
HPのデザインや制作番組ラインナップから、なんとな〜く各社の特徴がわかるはず。
(バラエティ番組の会社は、HPも派手で元気いっぱい!!)
雇用形態や給与制度も割とばらつきがあるので、要チェックです。
(私は自信がなかったので、成果型給与の会社は避けた)
当たり前だけど、その会社の制作番組は必ず見て下さい。
番組を見ることは企業研究以上に、面接対策になります!
だいたい現役のディレクターやプロデューサーが面接官をするので、
「御社の番組見てます〜」って言われたら単純に嬉しい(=好印象)から。
テレビでオンエアを見るもよし。
TVerやNHKプラスで過去番組を探るもよし。
私の時代はサブスクが乏しかったので、横浜の「放送ライブラリー」に通いました。
NHK/地上波に限らず、あらゆる過去番組が無料で見られる施設。
制作会社名でも検索ができたので、志望度が高い会社は90年代の番組まで遡って見ていました。
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面接・筆記試験は、意味不明な質問だらけです。
一見「ハァ??」と思うだろうけど、
それらは全て 現役のテレビマン つまり「他人を見抜き、演出する」プロたちが、あなたを知るために用意したものです。
以下は、私が当時戸惑った質問と、今ならわかる出題の意図(たぶん)です。
「作文問題」は、「文章力」と「伝える力」を図られてます。
言葉に力がある人は、ナレーションやセリフを書くのが上手い。番組の企画書も上手い。
なにより「第三者にもわかりやすい順序で、物語をわかりやすく・おもしろく伝えられる」人は、番組を構成するのが上手です。
(だーーからテレビマンはエピソードトークが得意なんだ)
「芸能人の名前を答えよ」=「トレンドを追えていますか?」です。
流行りを知らないとキャスティング案が出せないから。
”これから売れる人”までアンテナ張らなくていいけど、せめて”今人気がある人”は知っておきたい。
私の就活時代に出題されたのは、
「きゃりーぱみゅぱみゅの正式名称を答えよ」
「ももクロの紫の名前は?」
「今期 朝ドラのタイトルは?」などなど。
きゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅ、数社で同じ問題がでたので未だに覚えてる…
「時事問題」は「時勢に興味を持てていますか?」です。
映画やyoutubeは何年後でも繰り返し視聴されます。ファンもいます。
一方テレビは、時と共に放送されて、消えていくメディアです。
視聴者は、子供から高齢者まで 東京から過疎の村まで、あらゆる人です。
この業界でものづくりを志すなら、世間の流れと無関係ではいられません。「今を生きる人たちに、今 届けるべきものは何か」を考える日々です。
時事問題はドキュメンタリーやニュースの制作会社ではもちろん、
バラエティやドラマの制作会社の試験でも出ます。
「面接に私服で来て下さい」は、最低限のTPOとセンスが試されています。
オシャレしていく必要はないけど、極端に場違い・ダサいのはよくないかも。
我々ディレクターが私服で働く理由は、毎日現場が変わるからです。
今日は出演者と打ち合わせだからジャケットにヒール、
明日は畑でロケだから長靴、来週は和室でロケだから白靴下を用意しようみたいな、常識的な配慮は持っていて欲しい。
さらに、実務の中では、スタジオのセット、出演者の衣装、テロップの色やデザインなどを演出することもあるので、最低限の美的感覚は必要。
他にも、戸惑った質問はたくさん。
「五体栄養素を答えよ」(教養を試している?)
「次の写真から物語を妄想しろ」(男性の顔写真だった。想像力?)
「最近あった面白いことを4コマで描け」(絵コンテ?構成力?)
「貴方が作りたい番組の企画は?」(これは鉄板で聞かれた)
「故郷の方言で喋ってみて」(素を見たかったのかな?関西弁で話した)
「泳げますか?」(yesと答えた人はサバイバル番組に配属されたらしい…)
こうした謎質問たちに、過去問や就活本で対策しても無駄です。
でも、全ての出題意図は共通して「あなたの人柄を教えて下さい」 なので
”答える” というより、”応える” つもりでリラックスして挑んでください。
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最後に。
面接で会社を訪れたら、トイレを借りるべし。
特に女性トイレの場合、クレンジングや歯ブラシが見えるところに常備されてる会社は、たぶん皆さんめっちゃ徹夜してるぞ!!!!
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